ソニーは1月20日、液晶テレビ“BRAVIA”の2011年春モデルとして、4シリーズ計13モデルを発表した。「EX700」シリーズ後継のスタンダードモデル「EX720/EX72S」シリーズがすべて“3Dレディー”となったほか、新映像エンジンの「X-Reality」、USB接続の外付けHDD録画対応など、見どころの多いラインアップに仕上げた。2月中旬から順次発売する。
今回の新製品により、同社は32V型から60V型まで幅広いサイズで3D対応機をそろえることになった。現行機種とあわせると実に6シリーズ19機種。「2010年3月から11月8日までの販売実績では、10%を超える製品が3D対応か、3Dレディーモデルだった。とくに大型の製品では“当たり前”の機能になると考えている」(同社)。
シリーズ | 画面サイズ | 3D対応 | USB HDD対応 | 発売日 |
---|---|---|---|---|
KDL-EX720シリーズ | 32V型、40V型、46V型、55V型、60V型 | ○ | ○ | 3月中旬(60V型は4月) |
KDL-EX72Sシリーズ | 32V型、40V型、46V型 | ○ | ○ | 3月下旬 |
KDL-EX420シリーズ | 22V型、26V型、32V型 | ー | ○ | 2月中旬以降順次 |
KDL-CX400シリーズ | 22V型、32V型 | ー | ○ | 2月下旬(32V型は4月) |
スタンダードモデルの「EX720/EX72S」シリーズを3D対応にできた理由として、従来の4倍速液晶パネルではなく、倍速駆動パネルを採用していることが挙げられる。通常、倍速駆動は毎秒120コマ表示であり、順次書き替えの液晶パネルでは、右目用と左目用の映像が常時混在することになってしまうが、ソニーはバックライトを上下に分割してそれぞれオン/オフを行う「バックライトブリンキング」を用い、映像を書き替えている部分のLEDだけを消灯する仕組みとした。画面上部の書き替えが完了したところで上半分のLEDが点灯し、今度は書き替え中の下半分のLEDを消灯することで二重像を抑える。
「非常に高い精度でバックライトのオン/オフをコントロールすることで、クロストークの発生を大幅に低減できるようになった。もう1つのポイントは、ソニー独自開発のパネル書き替え制御チップ。書き替えスピードが大幅に改善され、倍速パネルでも4倍速3Dと同等の低クロストーク化を実現した」(同社)と話している。
2D映像視聴時には、倍速駆動にバックライトブリンキングを組み合わせることで4倍速相当の動画表示性能を実現した「モーションフローXR240」が利用できる。モーションフローXR240では、まず毎秒60コマの映像に補間映像を加えて120コマに変換。そのまま表示すると液晶パネルの書き込み時間の都合で動画ボケが発生してしまうが、バックライトを上下に2分割して書き込み中の部分を消灯することで見えなくするという。バックライトの明滅を伴うため本家4倍速パネルに比べると輝度は落ちるものの、点灯時に通常よりも輝度を高める「LEDブースト」を組み合わせて明るさの低下を抑えた。こうした処理により、倍速駆動ながら4倍速表示に迫る動画表示性能を実現できる。
新しい高画質化回路「X-Reality」は、2010年のハイエンド機「HX900シリーズ」に採用された「ブラビアエンジン3」「インテリジェントイメージエンハンサー」「インテリジェントMPEGノイズリダクション」を包含したものだ。「HX900の高画質化回路をすべて入れたうえ、あらたに2つのノイズリダクションを加えるなど強化して新チップを起こした。とくにノイズ低減などに効果が大きい」(同社)。
X-Realityの処理は、DVDや地上デジタル放送にくわえ、上はBlu-ray Discなどのフルハイビジョン映像、下は低解像度の動画配信サービスまで、幅広く適用できるのが特長だ。映像を4つのオブジェクトに分解して最適なエンハンスをかけるインテリジェントイメージエンハンサーに、新たに平たんな部分を検出する機能も加え、効果的に精細感を高めたという。
なお、X-Realityは既存技術の延長線上にあるものだが、その処理によってナイキスト周波数以上の高周波数成分が得られることから、“超解像”の定義に当てはまると判断。今回から“オブジェクト型超解像技術”としてアピールしていく考えだ。
また、すべてのラインに外付けUSB HDDを利用した録画機能を搭載しているのも大きな特長。いずれもシングルチューナー構成のため、録画はテレビを見ていないときの「留守録」、あるいは録画する番組を視聴しながらの「見て録」に限られるが、HDD容量が足りなくなったら簡単に交換・増設できる。同時に接続できるHDDは1台までで、録画はMPEG-2 TSの放送ストリームをそのまま記録するDRモードとなる。
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