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新“ブルーレイDIGA”「DMR-BZT900」で観る「アバター」の奥行き感山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」Vol.56(2/2 ページ)

» 2011年02月02日 00時05分 公開
[山本浩司,ITmedia]
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 後者は倍音の美しさで定評のある真空管アンプの高調波分析を行い、その特徴をシュミレートした、じつに“趣味的”な高音質モード。従来の3モードから6モードに増やし、その真空管サウンドの音の違いをさまざまに楽しめるようにした。音楽番組、とくにクラシック音楽のライブ中継などでこのモードを生かすと、思いの外ぴたりとハマる場合がある。自分の好みの音を探すという意味でも興味深い提案だ。

 その他、個人的にはあまり興味はないのだが、SDカードを用いたモバイル端末との連携やDLNAを生かして離れた部屋でコンテンツを共有する「お部屋ジャンプリンク」なども進化、より使いやすくなっている。また、インターネットを介してビデオ通話ができるSkype(スカイプ)にもレコーダーで初めて対応した。単身赴任中のおとーさんや離れて暮らす祖父母との通話などに重宝がられるに違いない。

「奥行きコントローラー」で快適な3D映像

 DMR-BZT900をチェックしてみて、もっとも興味深かったのが、「3D奥行コントローラー」だ。これは左目用と右目用の映像の視差(オフセット値)を調整することで、3D映像の飛び出し量や奥行感を自在にコントロールする機能。本機の3D画面モードに入ると、“奥行 ー5〜+3”の『手動』調整項目があり、これを動かすことで、3D効果を細かく調整できるわけだ。Blu-ray 3D作品の場合のオリジナルは0、マイナス方向に動かすとより奥行感が強調され、プラス方向にすると飛び出し量が増えるという仕組み。

「3D奥行コントローラー」の概要

 本機を購入すると入手できるBlu-ray 3D「アバター」でこの機能を試してみた。予想通りプラス方向の調整は飛び出し量が増え、違和感が大きくなるが、マイナス方向に調整していくと、より自然なパースペクティブが得られるようになり、じつに快適な3D映像が楽しめることが分かった。同社製プラズマテレビ「TH-P54VT」でその効果を確認したが、マイナス方向の数字を大きくしていくと、このテレビの向こう側により大きなテレビが用意されていて、それを54インチのフレーム越しに眺めているかのような錯覚をおぼえるのだ。これはこれまで体験したことにない新鮮な感覚だ。

写真は昨年10月に一般販売された2D版の「アバター(Blu-ray Disc+DVDセット)」(4990円)。発売・販売元は20世紀 フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン

 それからこの奥行調整の他に、DMR-BZT900では3D映像をより快適に楽しむための機能として、曲面表示と画面の縁のぼかし効果が加わる。曲面表示とは、画面全体を凸状に折り曲げる、すなわち画面の両端を奥行方向に曲げて表示する機能で、実際に試してみると、目に対する圧迫感が減り、よりいっそう見やすい3D映像に変貌する。後者は画面のふちにぼかしを入れる機能だが、そのぼかし幅が3通り、ぼかし部分の色が4色(黒・グレイ・青・赤)用意されており、使用するディスプレイや好みに応じて細かく調整することができる。

 3Dは2Dに比べて映像がより小さく感じられ、フレームの存在がより強調されると実感していただけに、このパナソニックの提案はじつに興味深い。3Dブルーレイの高度なオーサリングを手がける米国のPHL(パナソニック・ハリウッド・ラボ)とさまざまな意見交換を続けてきた成果が、こういうところにも表れているいるのだなと実感した。

 原画をいじるということは、ディレクターズ・インテンション(制作者の意図)を損ねることになるのでは? といぶかしく思われる読者もおられると思うが、ぼくはこういう優れたツールが提供されたのならば、至らない(完成度の低い)3D映像はどんどん自分で調整していけばいいのではないかと思う。ぼくたちAVファンにとって、ホームシアターは、自分がワガママな王様になれる唯一の場所なのだから。

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