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「DEGジャパン・アワード」で見えた“Blu-ray Discの今”(後編)麻倉怜士のデジタル閻魔帳(2/4 ページ)

» 2011年03月04日 17時02分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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ベスト高画質賞アニメ部門ノミネート作 発売・販売元
9<ナイン> 〜9番目の奇妙な人形〜 ギャガ
トイ・ストーリー3 ウォルト・ディズニー・ジャパン
ヒックとドラゴン ブルーレイ&DVDセット パラマウント ジャパン
「9<ナイン> 〜9番目の奇妙な人形〜」

 ノミネート作はどれも素晴らしく、個人的には横一線だと思っています。受賞作の「9<ナイン> 〜9番目の奇妙な人形〜」は、絶妙な質感表現に感動する作品。人形の金属っぽさは、あたかも叩いたら金属音が聞こえそうなくらいです。人形たちが着ている布地のテクスチャー(織り目)再現も驚異的でした。一方で音の表現もすばらしく、ワイドレンジで情報量が多い上にサラウンドの動きも大きく、マニア受けする作品だと思いました。

 惜しくも受賞は逃したトイ・ストーリー3は、色の鮮やかさや輝きなど、ディズニーとピクサーが培ってきた色の世界を堪能できる作品です。絵作りもクリアーで、アニメ的なリアリティーを感じます。

 ヒックとドラゴンの画質もすばらしいものでした。中でもコントラストの高さは特筆モノで、黒の締まり、その対極にある白の伸びが印象的。もともと3D作品ですが、ドラゴンに乗って空を飛ぶような浮遊感は2Dでも十分に感じられ、制作者のこだわりを感じました。

 アニメの面白いところは、制作者が考える“良い映像”のデザインが千差万別ということでしょう。Blu-ray Discには、それを受け入れる土壌があり、ノミネート作品はいずれもうまく使っていたということです。


――ベスト高音質賞・音楽部門です

ベスト高音質賞・音楽部門ノミネート作 発売・販売元
小澤征爾 生誕75年記念作品集 ブルーレイBOX NHKエンタープライズ
マイケル・ジャクソン THIS IS IT ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
ブルックナー:交響曲第9番&第8番 日本コロンムビア
「OZAWA 75th ANNIVERSARY BOX」

 ベスト高音質賞は、わが国を代表する大指揮者、小澤征爾さんの集大成「OZAWA 75th ANNIVERSARY BOX」が受賞しました。NHKエンタープライズの作品は、第1回、第2回のDEGアワードでも受賞していますが、常に音楽を聴くのにふさわしい映像を考えて制作している点が高く評価されました。96kHz/24ビットの音に映像をプラスして音楽を楽しめる。これが3回に渡って支持された理由でしょう。

 THIS IS ITは、ベスト高音質賞こそ逃しましたが、「審査員特別賞」を獲得しました。ハイビジョン映像はもちろん、音もすばらしいです。一方の「ブルックナー:交響曲第9番&第8番」は、日本テレビが制作したもので、その権利を買ってパッケージ化するというスタイルでした。映像は放送時のままで、カメラワークもテレビ的です。もちろんそれが悪いわけではありませんが、パッケージならではの映像的な付加価値がほしかったと思います。


――ベスト高音質賞・映像部門です

ベスト高音質賞・映像部門ノミネート作 発売・販売元
9<ナイン> 〜9番目の奇妙な人形〜 ギャガ
ムーラン・ルージュ 20世紀フォックス ホームエンターテイメント ジャパン
ハート・ロッカー ポニーキャニオン
「ハート・ロッカー」

 ベスト高音質賞の映像部門は、音楽作品を除く映画やドキュメンタリーを対象としたものです。ムーラン・ルージュは、昨年20世紀フォックスから発売された4つのクラシック作品の1つで、映像も素晴らしく、音質も高い評価を得ました。では、なぜハート・ロッカーが受賞したかというと、映像と音の一体感に秀でていたからです。

 ハート・ロッカーは、2004年のイラクを舞台に爆弾処理班の過酷な任務を描いた作品です。地雷処理のときの緊迫した息づかい、爆発時の重低音、一方で静寂な場面で聞こえる虫の羽音や服の擦れる音など、音がいかにリアリズムを高めるかが体験できる技巧的な音作りが評価されました。作品性の中で、音が半分くらいを占めているような気がします。


――次は、ベストインタラクティビティ賞です。Blu-ray DiscならではのBD JavaやBD Liveを生かしたパッケージ作りを評価する賞ですね

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