まず、補完処理がミスしにくい理由は、単純に2倍速だからと考えるのが自然だ。動き補完は、画面上のテクスチャーが次のフレームでどの位置に移動したかを検索し、その間になる映像を作り出す。しかし、似たようなテクスチャーが連続するような場面、例えば花畑や髪の毛などのようなシーンでは、果たしてどの位置とどの位置をマッチングさせるべきなのか、判断することが難しい。
2倍速駆動は、比較した4倍速に比べて時間的な余裕があるため、同世代の映像処理エンジンを使うのであれば、より詳細で広範囲の画像検索が行える。適応できる映像の幅が広くなり、エラーも少ないというわけだ。実際に比較してみると、トータルのパフォーマンスとしては、2倍速で液晶を高速化した方が良いと感じた。
液晶ディスプレイは、液晶分子の向きを電気で変えることで透過する光の量を調節し、映像を表示している。この液晶分子が動く速度が、液晶パネルの応答性を決定づけていることは言うまでもない。
ハイスピードUV2Aでは、液晶材料の粘性を下げ、液晶分子が動きやすい状態にした。といえば簡単に聞こえるが、ガラスと電極の間にある隙間と液晶材料の最適マッチングを取る必要があり、技術的なハードルは非常に高い。同社によると、従来型クアトロンパネルに比べて36%も高速化したという。平均応答速度は、従来のクアトロンパネルが4ミリ秒だったのに対し、ハイスピードUV2Aでは3ミリ秒にまで速くなった。
さらに応答の”特性”についても、従来よりも安定した速度で応答することが可能になったという。従来のシャープ製液晶パネルは、白と黒の切り替えは高速だが、中間階調と中間階調の間を行き来する速度が遅かった。しかし、新型パネルでは中間応答の速度が向上し、これまでよりオーバードライブ制御が容易に行えるようになっている。また、VA型液晶パネルには階調ごとに応答特性が変化して画質面に影響を与えることもあった、ハイスピードUV2Aで安定した応答が得られるようになったことで、単純に動きボケが改善される以上の効果をもたらすだろう。
試聴時には、Z5ラインの絵作りがまだ完成しておらず、詳細な評価は控えたい。しかし、完成までにはさほど時間が必要だとは思わなかった。とくに動きボケの低減効果は大きく、従来機より質感表現がより明瞭になっていることが容易に感じ取れた。なにより価格と機能のバランスを考えれば、2倍速で4倍速並みの動画表示性能を持つスタンダード機というのは、とても魅力的な存在だと思う。
シャープはまだ、今年中に別の新しい技術を投入する予定と聞いている。何が登場するのか。液晶技術のトップランナーとして、何を次に見せてくれるのか。今から楽しみだ。
LED AQUOS「Z5ライン」と同時に発売される「V5ライン」は、エントリー機ながらもUV2Aパネルを搭載したハイコストパフォーマンスシリーズだ。シャープの30年にも及ぶ研究の成果であるリブ・スリットレス構造のUV2A技術は、豊かな色再現と高速応答、高コントラスト、そして高い省エネ性能を誇る。40V型で97kWh/年(年間消費電力量)という数字は業界トップクラスである。
もちろん、上位機譲りの外付けUSB HDD録画や「ホームネットワーク」機能も搭載。52V型から20V型まで6つのサイズをそろえ、26V型と20V型にはホワイトのボディーカラーも用意している。リビングのメインテレビはもちろん、寝室や個室に置く“2台目テレビ”としても非常に魅力的な製品といえるだろう。
型番 | LC-52V5 | LC-46V5 | LC-40V5 | LC-32V5 | LC-26V5 | LC-20V5 |
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画面サイズ | 52V型 | 46V型 | 40V型 | 32V型 | 26V型 | 20V型 |
画面解像度 | 1920×1080ピクセル | 1366×768ピクセル | ||||
外付けUSB HDD録画 | ○ | |||||
ホームネットワーク | ○ | |||||
HDMI入力 | 3系統(1080/24p対応) | |||||
年間消費電力量 | 149kWh/年 | 124kWh/年 | 97kWh/年 | 45kWh/年 | 44kWh/年 | 35kWh/年 |
実売想定価格(※) | 29万円前後 | 22万円前後 | 14万円前後 | 9万円前後 | 8万5000円前後 | 7万円前後 |
発売日 | 3月10日 | |||||
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提供:シャープ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2011年4月24日