Fiioは、中国の広州に本拠を構えるオーディオメーカーで、ポータブルプレーヤーのアクセサリー製品などをメインに手掛けている。日本ではオヤイデ電気が代理店となり、ヘッドフォンアンプを中心に幅広いラインアップを取りそろえている。そのなかでも今回オススメしたいのがE5である。
最新「iPod nano」とそれほど変わらないコンパクトサイズだが、先代にあたる「E3」に対して高品位なパーツやICチップを採用するなど、サウンドのアップグレードが推し進められている。また「Flat」と「Bass Boost」の2タイプにモードが切り替えられるサウンドエフェクトが搭載されている点もユニークだ。
本体サイズが小さいため、持ち運びに不便はない。iPod nanoでの使用時は、シャツの胸ポケットに充分入るサイズだ。また裏側に現行iPod nanoのようにクリップが付属することから、ジャケットの内側からベルトまで、かなり自由な場所に装着できる。ヘッドフォンアンプとしては望外の扱いやすさだ。
あまりに小さすぎるゆえに、操作面では多少の扱いにくさも生じている。特に+ー式のボリュームは、ヘッドフォンコネクターのすぐ横にあるため筆者のように指が太い人間だとマイナスボタンが押しにくい。また電源スイッチは、ボタンを1回押すとオン、長押しでオフという分かりやすい操作だが、カバンなどに入れておくと何かのタイミングでオンになってしまい、いざというときにバッテリーが切れていた、ということもあるだろう(実際試聴中に1度あった)。連続20時間というバッテリーの持ち時間があるためそれほど心配はないと思うが、スライド固定式の電源ボタンを採用するなど、もうひと工夫あると良かったのかもしれない。とはいえ、価格を考えると充分な装備だと感じた。
とにかくコストパフォーマンスの高さに驚いた。確かに音質は飛躍的に向上したイメージというよりも、元気になった、もしくはちゃんと鳴らせるようになったというレベル止まりだが、それゆえにヘッドフォンアンプ本来の役割は充分に果たしていると思う。フィリップス「SHE9900」のようなアンプに駆動力を求めるカナル型イヤフォンでも、きちんとメリハリ良く音楽が再生されるし、ソニー「MDR-Z1000」では音楽のダイナミック感が明らかに向上した。
なによりも、ドック出力のサウンドにグレードアップできるだけでも、iPod nanoなどでは導入する価値がある。ドックケーブルと合わせても、4000円強でこのクオリティーが手に入るのはありがたい。コストも音の変化も良好な、ヘッドフォンアンプ入門者に安心してオススメできる製品だ。
音質評価 | |
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解像度感 | (粗い○−−−−きめ細かい) |
空間表現 | (ナロー−○−−−ワイド) |
帯域バランス | (低域強調−○−−−フラット) |
音色傾向 | (迫力重視○−−−−質感重視) |
製品名 | Fiio E5 |
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SN比 | 95dB |
ひずみ率 | 0.009%(10ミリワット) |
適応インピーダンス | 16〜300オーム |
出力 | 150ミリワット(16オーム)、12ミリワット(300オーム) |
電源 | 内蔵バッテリー(200mAh) |
本体サイズ | 44.2(幅)×38(高さ)×12.6(厚さ)ミリ |
重量 | 30グラム |
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