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» 2011年04月11日 11時12分 UPDATE

本田雅一のTV Style:ソニーが満を持して投入した「X-Reality PRO」の効果を検証する

今年のテレビ上位モデルでは必須になると考えられる複数枚超解像を搭載したテレビが、東芝、ソニーと相次いで市場に投入された。このうちソニーのBRAVIA新製品に採用された「X-Reality PRO」を検証していこう。

[本田雅一,ITmedia]

 今年のテレビ上位モデルでは必須になると考えられる複数枚超解像を搭載したテレビが、東芝、ソニーと相次いで市場に投入された(→薄型テレビ新製品でみえた各社の“持ち玉”)。今回は、このうちソニーの「X-Reality PRO」で実現されているデータベース型複数枚超解像が、どんな効果をもたらすかをお伝えしたい。両社とも良い結果を引き出せおり、共通する良さもあるが、それぞれ持ち味は若干異なる。

 複数枚超解像技術は、前回のコラムでも紹介したように、前後のフレームからよく被写体の動きを検出し、同じ被写体の映像情報をかき集めることで、解像度を高める映像処理だ。同じ被写体が異なる場所、異なる位相(画素配置との位置関係)で記録されている場合、各フレームごとに微妙に違った映像情報が記録されているので、それらを集約することで本来の情報を導き出す。

ts_bravia02.jpgts_hondasony02.jpg 新製品の「KDL-55HX920」(左)とデータベース型複数枚超解像を実現したソニーの新しい映像エンジン「X-Reality PRO」(右)

 しかし、真正面からこうした処理を行っても、なかなか安定した結果が得られない場合がある。デジタル放送時の圧縮ノイズ・ひずみなどによって、正確な復元が妨げられるからだ。このため、複数枚超解像をかけるためには、一般にMPEGノイズの除去が必要になる。MPEGノイズの除去は、ノイズとともにディテールも落ちやすい(実際に落ちるというよりも、ノイズ成分が減って情報が減ったように見える)が、複数枚超解像で異なる時間フレームから情報を集めることで情報量は最終的には増加する。

 ソニーの場合、こうした一連のプロセスの中で、画像データベースを参照して補正に利用するというユニークな手法を盛り込んでいる。一般的な複数枚超解像のプロセスに加え、テクスチャーの補正にあらかじめ用意しておいた映像を参照し、被写体がどんな映像的特長を持っているか認識した上で復元処理する。

 ソニーはこれまでも、DRCという映像処理において、よく似たコンセプトの映像処理を行っていた。DRCは映像の特徴から被写体を類推し、記録されていないはずの情報を”創造する”というものだった。今回の手法は複数枚超解像の中で情報復元を行う際の映像を、自然界に存在する映像情報に近いものにすることが目的だという。

 実際に映像を見ると、質感の大きな向上がみられる。例えば紙とプラスティックと金属とガラス。これらの微妙な質感の違いが明確になる。また輪郭も明瞭(めいりょう)になるが、シャープネス処理とは異なり、ピントの合っている部分がよりホッソリしたスリムなラインで描写され、そこから自然にボケた部分へと被写界深度がつながっていく。特定の空間周波数だけが強調されるような不自然さがない。

 また複数枚を参照して正しい映像波形を探すという仕組み上、I/P変換に伴うジラジラとしたざわつき感は皆無だ。これはとくに解像度が高くモアレが出やすいNHKのBSハイビジョン映像で効果的だ。MPEGノイズの劇的な低減とともに、映像処理による副作用を感じさせない上品な仕上がりだ。

 画像データベースを参照した補正を行わず、あくまで映像情報の中からの超解像処理にこだわる東芝の「レグザエンジンCEVO」と、どちらが良い結果を引き出せているのか。比較する日が待ち遠しい。

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