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ハマるとたまらない逸品、ファイナル「Piano Forte X-CC」野村ケンジのぶらんにゅ〜AV review(2/2 ページ)

» 2011年05月06日 19時31分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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サウンドの特長

 「Piano Forte II」の時にも感じたが、とにかく個性的なサウンドだ。オペラなどを聴くと、声の厚みや勢いが、イヤフォンとは思えない濃厚さとキレの良さで堪能することができる。ヴァイオリンなども力強く印象的に響くが、やはり素晴らしいのは人の声。声帯の震えまで伝わってくるかのように細やかでいて、時には張り上げた声が心を勢いよく貫く。何という、ダイナミックな音楽表現だろう。

内部構造

 なかでもフラッグシップモデルであるクロム銅採用のX-CCの、超絶に木目細やかな音楽表現は特筆もの。会場の広さやステージの雰囲気がリアルに体感できるのはもちろんのこと、マイク自身の特徴やクセまでも歌声から感じ取ることができる。何という高解像度、何というダイナミックレンジの広さ、高精細さだろう。

 一方、帯域幅の広い現代音楽に対しては苦手意識を披露する。これはホーンスピーカーの再現を意識した構造によるためなのか、高域側の倍音成分の伸びか大人しめで、ロックやアップテンポのジャズなどを聴くとヌケがいまひとつに感じてしまう。また低域は、最低域への伸びこそそれなりにあるものの量感の減衰が大きいため、随分と軽々しいハードロックとなってしまう。3タイプの中で、ステンレスのIXが比較的ワイドレンジな特性を与えられていて、もっとも音楽ジャンルを選ばないが、それでも万能ではない。

 とはいえ、音のきめ細やかさや人の声の生々しさに関してはイヤフォンの常識を覆すほどのクオリティーを持ち合わせている。より大きなオーバーヘッド型ヘッドフォンであっても、ここまで心地よい響きとリアリティの高さを両立したサウンドは聴いたことがない。クセは強いが、いちど気に入ってしまうと2度と手放せなくなりそうな個性派だ。

「Piano Forte X-CC」はクロム銅削りだしのイオンプレーティング仕上げ

音質評価(X-CC)  
解像度感 (粗い−−−−○きめ細かい)
空間表現 (ナロー−○−−−ワイド)
帯域バランス (低域強調−−−−○フラット)
音色傾向 (迫力重視−−−−○質感重視)

品名 Piano Forte VII Piano Forte IX Piano Forte X-CC
型番 FI-DC1602SB FI-DC1602SS FI-DC1602SC-C
ハウジング素材 真ちゅう ステンレス クロム銅
仕上げ 金メッキ 磨き鏡面仕上げ イオンプレーティング
型式 ダイナミック型
ドライバーユニット 16ミリ径
感度 108dB
インピーダンス 16オーム
コード長 1.4メートル
重量 約38グラム
市場想定価格(オープンプライス) 7万8000円前後 9万8000円前後 22万円前後
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