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音楽の本質を知っている、フィリップスのiPodスピーカー「DS9000」野村ケンジのぶらんにゅ〜AV Review(2/2 ページ)

» 2011年06月20日 18時23分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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 アプリ内には天気予報や時計、タイマー機能なども用意されているので、一般的なiPodドックスピーカー的な使い方も可能だ。音楽ファイルは、アプリ内に用意されたプレーヤー画面から簡単に再生/操作が行える。プレイリストの選択なども行えるため、使い勝手はなかなか良好だ。またこちらからは、現在再生中の楽曲について、TwitterやFacebookへの書き込みが手軽に行える。こちらもなかなかユニークだ。

 一方で、インターネットラジオの番組が手軽に検索/チョイスできたり、再生中の曲の情報を表示させることもできる。ちなみに曲の再生はiPodの標準プレーヤーからも行えるため、iPod nanoやiPod classicを接続しての再生も可能だ。iPadの場合は、画面の広さを生かしてiTunes然とした標準プレーヤーを使うのもひとつの手だろう。

iPhone/iPod touch用のほか、iPad用として配置の異なる専用アプリが用意されている。iPadユーザーとしてはうれしいかぎりだ(左)。アプリには5バンドイコライザーおよびDBB機能を搭載。サウンドバランスを調整することができる(右)

 さらにこのアプリには、サウンドコントロール機能として、5バンドイコライザーとDBB(dynamic bass boost)も用意されている。こちらはフラット/ポップス/ジャズ/クラシックという4タイプのイコライザー設定が用意されており、オリジナルのカスタマイズも可能。バスブーストは、2段階の強さが用意されているので、好みや部屋の環境に合わせて調整すればよいだろう。

 今回使って気がついた弱点といえば、iPad2が充電されないことだ。メーカーに確認したところ、iPad2のみアップルの認証がとれておらず、動作は問題ないものの、充電はできない状態になっているという。こちらは認証が取れ次第、ランニングチェンジする予定という話なので、iPad2をメインに使いたいと考えている人は、それまで待った方が良さそうだ。ちなみに初代iPadやiPhone4などは充電可能となっているので心配はない。

サウンドの特長

 フィリップスといえば、シェーバーなど家電製品のイメージが強い人もいるだろうが、近頃はイヤフォン製品が評価を上げているように、実はオーディオ製品も幅広く手掛けている。ちなみに筆者にとってフィリップスを代表するオーディオ製品といえばCDプレーヤー。少々古いことをいって申し訳ないが、これは多くのオーディオファンが同意してくれるだろうし、現に「LHH1000」(CDドライブとDAコンバーターが別体の高級機)などは今でも音楽ファンの間で人気の高い製品だ。

 ということで、フィリップスのサウンド作りの巧みさは良く知っているつもりだし、その分、評価も自然と厳しくなるのだが、そういった視点をものともせず、DS9000はなかなか良質なサウンドを奏でてくれた。とにかく中域の解像度感が細やかで、表現力が高い。高域への伸びも良く、音がすがすがしく感じる。そのおかげもあって、女性ボーカルはとてもなめらかな歌声を披露してくれる。バイオリンなどの弦楽器もつややかだ。それも弱々しい音ではなく、メリハリもダイナミック感も良好な点がうれしい。絶妙なバランス感覚のサウンドといえるだろう。

 唯一気になるのは、低域の量感だ。デフォルトの設定は、石造り(鉄筋コンクリート)の家、それもそこそこ広い空間を想定しているのか、日本の木造家屋では明らかに過多なボリュームだ。しかしこれはDBBをオフにし、さらにイコライザーの調整を加えればバランスが取れるため、大きなデメリットにはならない。ハードロックなどを聴くともう少し最低域への伸びがほしいところだが、それはDS9000が良質なサウンドを奏でてくれるからこそ生まれる贅沢な要求。一体型のiPodドックスピーカーとしては、とてつもない優等生といえる。そのスタイリッシュなデザインとも合わせて、魅力度の高い製品と断言しよう。

音質評価  
解像度感 (粗い−−○−−きめ細かい)
空間表現 (ナロー−−−○−ワイド)
帯域バランス (低域強調○−−−−フラット)
音色傾向 (迫力重視−−○−−質感重視)
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