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高音質CDの進化形、ビクターが「K2HD MASTERING+HQCD」を発表合わせ技です

» 2011年06月23日 21時15分 公開
[ITmedia]

 ビクターエンタテインメントは6月23日、新しい高音質CD「K2HD MASTERING+HQCD」を発表した。同社のマスタリング技術に高品位素材で作られる「HQCD」の技術を組み合わせたもので、一般的なCDプレーヤーで再生できる。7月20日に洋楽10タイトルを発売する予定だ。

 K2HD MASTERING+HQCDは、2008年に登場した1枚18万円のガラス製高級CD「K2HD MASTERING+CRYSTAL」の技術がベースになっている。高価すぎて販売数量が伸びなかったガラス基盤に対し、今回は高音質CDとして音楽ファンにも認知されているHQCD(High Quality CD)を採用。HQCDは、基盤材料として液晶パネルなどにも使われる高品位のポリカーボネートを使用し、反射膜も従来のアルミニウムに代えて特殊合金を使う。

ビクタースタジオの秋元秀之エンジニアグループ長(右)

 一方、ビクターのK2HD MASTERINGは、「オリジナルマスターが持つ100kHz/24bitの情報をCDの44.1kHz/16bitに収める」(秋元氏)というマスタリング技術だ。CDフォーマットでは切り捨てられてしまう20kHz以上の高周波成分に対し、倍音成分を作り出すなどの演算処理を施し、既存のCD規格に準拠しながらオリジナルマスターに近い広帯域のコーディングを可能にする。その音質は、「とてもやわらかく、アナログ的だが解像感はある」(ビクタースタジオの高田英男スタジオ長)。

K2HD MASTERINGの概要(左)。ビクタースタジオの高田英男スタジオ長(右)

 もう1つのポイントは、CDのプレス工程を含むパッケージング技術。K2HD MASTERING+CRYSTALなどを通じて培った技術とノウハウを生かしてパッケージングする。「マスタリングシステムから製造工程までの随所に独自技術を盛り込んだ。CDの高音質化にあたり、音楽情報を変えることなくCDに収めるパッケージの要素は1/3を占めると考えている」(秋元氏)。

 ビクターエンタテインメントでは、製品化の第1弾として、トッド・ラングレンやシャカタクなど、1970年代から80年代の洋楽名盤・レア盤10タイトルを復刻する計画。うち8タイトルは紙ジャケット仕様でオリジナルのアートワークも再現する。

 「今後は、ロック、ジャズ、クラシックなど幅広く手がけていきたい」(同社)。

K2HD MASTERINGの技術をハードウェア化した専用プロセッサー「HDP-1126」も開発した。これまでもプロトタイプは公開していたが、同機は今回がお披露目となった

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