ついに姿を現す“日本流スマートテレビ”。ITmediaの各編集長が公開討論会ITmediaとことん放談(2/3 ページ)

» 2011年06月27日 10時00分 公開
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芹澤:テレビのネットワーク機能がどれくらい使われているかという点に関しては、昨年夏のデータですが、テレビのネットワーク接続率は15%程度という数字があります。昨年の夏といえば、すでに結構な数のテレビにネットワーク接続のための有線LANポートが装備されていたはずですが、それでも15%しか接続されていない。これはやはり、そもそも使う以前にテレビをネットワークに接続するということのハードルが高いのかもしれません。

浅井:その高いハードルを越えてまで接続したいと思うほどの快適さが見えていなかった、あるいはそもそも魅力的なネットワーク機能がなかったということですかね。

芹澤:ただ、無線LANなら物理的な面で非常に手軽なので、最近はテレビにも無線LAN内蔵の製品が増えています。使い方も多様化していて、例えば、先日シャープが発売した“フリースタイルAQUOS”「FE1シリーズ」などは、チューナー部とディスプレイ部を分け、ワイヤレスでテレビを視聴できます。小型のチューナー部だけをLAN接続しておけば、リアルタイムのテレビ視聴はもちろん、録画済み番組、インターネット上のコンテンツなどをどこでも楽しめる。新製品の「L5」も無線LAN機能を内蔵していますが、そうした意味でハードルを下げてあげるというのも、スマート化の前提として大切なのではないでしょうか。

田中:テレビのネットワーク接続率が低いのは、おそらくさまざまな機能を使えるといっても、いざ使うときにはインタフェース面で障壁が感じられたからだと思うんですよね。仮に通常のキーボードを使えたとしても、大型テレビの視聴距離では釣り合いが取りにくいし、操作自体が問題になる。まず、そこが解決されていないと、いくら豊富な機能が提供されていても使わない。そもそもネットワークに接続しないのではないかと。


テレビとPCの境界線

浅井:テレビの操作が面倒という問題は、PCに搭載されているテレビ機能を利用することでも解決できるのかもしれないですが、実際にPCでテレビを見ている人はどれくらいいるんでしょうね?

田中:昨年あたりは、デスクトップPCを買おうというお客さんは、とにかくまずは地上デジタル放送が見られるかどうかを購入するか否かの判断材料にするという風潮もあったようです。だから、メーカーとしても、使う使わないはともかく、テレビ機能はできるだけ搭載させておくという状況。でも、正直、PCにテレビ機能が搭載されていたとしても、ずっと使い続ける人は2割くらいにとどまるのではないかと考えています。

浅井:やはり、まだまだ使いにくいということなんでしょうか?

田中:多くの場合でPCを起動していないと使えないというのは大前提として、ほかの面でも、専用品としてのテレビと比較すれば、いろいろなスムーズさに欠けるのはたしかでしょう。ただ、機能としては以前は特に録画周りに制限があったものの、いまは複数番組同時録画、Blu-ray Discへのダビングなども含めて、PCのテレビ機能もテレビにひけをとらない感じにはなっています。

浅井:逆にPCのテレビ機能ならではのメリットはありますか?

田中:メタ情報の活用でしょう。料理番組などの情報番組を見ながら、その情報をもとにすぐに検索ができる、あるいは、検索しなくても関連情報を表示してくれるといったふうに。テレビ視聴アプリケーションを作り込みさえすれば、いろいろと便利なことができる。そうした快適さはPCならではといえます。ただ、そういう使い方もほかのテレビ視聴デバイスに追いつかれつつあるという感覚はありますね。

松尾:テレビを視聴できるデバイスがあまりにも多くなりすぎているので、PCでやるメリットが相対的に薄まってきたという印象でしょうか。

田中:あと、番組表の表示などに関しても、実際、大画面テレビのほうが観やすかったりしますからね。

芹澤:数年前まではテレビの表示解像度のほうが劣っていましたから、電子番組表はPCのディスプレイに表示したほうが明らかに一覧性が高かった。でも、最近はテレビもフルハイビジョンが当たり前になったので、情報量の面で見劣りすることはなくなりましたね。

浅井:ただ、地上デジタルだけならいいけど、BSも含めて多くのチャンネルで観たい番組を探すのは、テレビのいまのままのインタフェースだとつらいかなと思います。だから、わざわざPCのWebブラウザを使って番組表サイトで検索してしまうことも多い。

松尾:確かに、番組表は改善の余地があります。かといって、いちいちPCで見るのがいいかというとそうでもなくて、番組表や番組情報を得るために手元のスマートフォンやタブレットを使う人も増えていると思います。わが家では全員がそんな感じです(笑)。


スマートフォンと連携する意義とは?

浅井:スマートテレビというと、スマートフォンやタブレットとの連携というイメージもありますが、それはなぜでしょう?

園部:おそらく、“常に手元にあるもの”だからでしょう。家でも充電しているときなどはそうでもないかもしれないけど、だいたい手の届く範囲にあります。それがやはり何にせよ人が行動を起こす際の“起点”になりやすいのではないかと。そのうちの1つとして、リモコンにするという使い方は以前からありますよね。ただ、まだこれからという段階ですかね。Androidなどはオープンな仕様ですし、テレビ製品側で生かしてくれれば、広がっていくのかなと。

浅井:操作でいえば、単純にリモコンのキー配置がそのままスマートフォンの画面に出るようなものもありますが、それってはたして便利なのでしょうか。

芹澤:現状でいえば、まず無線リモコンになるので機器の反応が早いとか、リモコンの向きを問わずに確実に操作できるといったメリットがあります。また、人によって使いやすいリモコンというのは違いますから、一口にリモコンアプリといってもさまざまなスタイルがあって良いと思います。リモコンのキー配置をそのまま再現するのも1つの手でしょう。

松尾:リモコンはいろいろな種類があったほうがいいですよね。テレビに付属しているリモコンをそのまま使う人もいるだろうし、自分専用にカスタマイズしたリモコンを使いたい人もいるだろうし。

浅井:スマートフォンだと、そういうボタンの配置、大きさ、あるいはもっと違うボタン式ですらない操作なども単純に実現しやすい。そういう意味でスマートフォンを操作に使う大きなメリットでしょう。

芹澤:例えば、お年寄り向けにタブレットに巨大なボタンを持ったリモコンが表示できたら、ちょっとスマートかなとも思います。個人的にはジョグダイヤルとシャトルリングのついた編集用リモコンなどがほしいですね。ユニバーサルという意味で、それも1つのスマートさなのかなと。

園部:使う人に合わせて最適なUIを出してくれるなら、それはスマートということですよね。

松尾:あと、シャープの「L5」ですごくいいと思ったのは、やはり“手裏剣操作”ですね。端末から端末へとコンテンツを飛ばす、それをいわゆるフリック操作を利用してと手裏剣ライクにやるというのは、なかなかのアイデアだと思う。これが標準になるかもしれませんね。複数のスマートフォンのスクリーンとテレビのスクリーンを橋渡しするジェスチャーとしてはかなり秀逸なのではないかと思います。

田中:少し前にスマートフォンでのGoogle音声認識検索が話題によく上りましたが、確かに便利ですよね。私のこの滑舌が悪い声でもたいてい一発で認識してくれるので、あれをテレビでも使いたいと常々から思っていました。

芹澤:「L5」は録画した番組タイトルを音声検索で探すこともできますね。

浅井:確かに、テレビに対して音声認識やコントロールをするのは雑音などで難しいと思い込んでいましたが、スマートフォンが手元にあることを考えれば、そこに向かって発声させればいいんですね。あとは検索だけではなく、例えば放送局名とか「4チャンネル」など、どんな呼び方にも対応してチャンネルが変わってくれるとか、番組名が思い浮かばなくても誰か出演者の名前を呼べば、その人がいま出演しているチャンネルに切り替わるとか、いろいろアイデアも出てくるでしょう。でもテレビへのアクションとしてはチャンネル信号の送出だけですむ。音声認識の部分さえクリアできれば、スマートフォンのアプリ作成だけでも可能な気はしますね。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2011年9月30日