ついに姿を現す“日本流スマートテレビ”。ITmediaの各編集長が公開討論会ITmediaとことん放談(3/3 ページ)

» 2011年06月27日 10時00分 公開
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購入後も進化するテレビ

浅井:ユーザーの意識で考えると、VODなどで課金される場合にもテレビでそういうことをするのは不慣れというのもあるのかなと思いますね。スマートフォンがベースになってくれるのであれば、少しは安心して利用できるのかもしれません。

園部:確かに、そういう使い方は携帯電話のほうが先行していますし、親しみやすいでしょうね。コンテンツを探すという動作にしても、テレビのリモコンでカーソル操作するよりは、スマートフォンのほうが楽だし、ユーザインタフェースのこなれ方にはかなりの差があります。

田中:そういう意味では、やはり基本的にスマートフォンで操作して、テレビは単純に再生機器として使うみたいなアプローチのほうがいいのかなと思えてきますね。手元に“入力兼表示デバイス”があることで、ずいぶんと快適になる。手元のスマートフォンで見ていて、大画面で楽しみたい、ほかの人と共有したいものがあれば、それをテレビに飛ばすというのがスマートなんでしょう。

浅井:でも、それだと、スマートフォンなどのほうが主役になってしまいませんかね。スマートが意味するところが、インテリジェンスなのか、オートマティックなのか、インタラクティブなのか、それとも、アクセシビリティーの範ちゅうなのか、あるいはそれらの複合なのかは分かりませんが、スマートテレビの主役はあくまでもテレビであるべきでは?

芹澤:それも1つの考え方だと思いますが、テレビ自体がPCのような機能性を持つというより、ある目的を実現するための仕組みがテレビ側に用意されているというところが重要かもしれません。例えばスマートフォンのアプリ連携などにも柔軟に対応できる仕組みさえ持っていれば、アイデアとアプリの作り込み次第で、購入した後でもどんどん進化できます。VODなどを集めたテレビ用のポータルサイトも同じ。サーバ側の改善により、テレビの使い勝手自体も変えることができます。これもスマートテレビとして1つの素養ではないでしょうか。

松尾:進化するテレビ!(笑)

浅井:リビングという場所で、いろいろな人に対して、いろいろな機能を提供するためには、テレビ自体のスマートさ=賢さというのも必要なんだけど、たぶんそれだけではだめだった。テレビがスマートになると同時に、同じくらいのレベルでスマートなデバイスが手元にもあるということが不可欠ということですかね。

芹澤:で、その道具としてスマートフォンは最適であり、テレビのインタフェースを担うデバイスとして、非常に高機能で有益なものだったと。テレビ自体でアプリを実行できるというのも1つのスマートテレビの姿でしょうけど、スマートフォンと連携するほうが、よりユーザーフレンドリーなんじゃないかなと思いますね。

田中:スマートさ=単なる賢さなら、PCをテレビに接続すれば実現できるでしょうからね。

松尾:で、そこを実現するには、テレビ、ネットワークインフラ、そして、スマートフォンと、すべてのものに手を入れていかないといけない。でも、テレビを接続しているかどうかはともかく、ネットワークは普及して、スマートフォンも一般化しつつある。テレビを変える良い機会かもしれませんね。


メーカーの素養がテレビを変える

浅井:最後に、シャープがスマートテレビに取り組むことについては、どういう印象を持ちました?

芹澤:これまでのイメージは、先進的なパネル技術やブランドを持ち、堅実で信頼性も高いけれど、幅広いユーザー層をターゲットにしているだけに尖った部分は少ない。DLNAなどの採用についても最初は慎重でしたから、少し意外な印象はあります。

パーソナルサーバになった先進的なHDDレコーダー「ガリレオ」(2003年発売)

松尾:シャープという企業全体で見た場合には、僕は逆かな。ハイブリッドなことを先駆けてやるイメージがある。

浅井:そのあたりが混在している企業なのかもしれないですね。特に僕や松尾さんは年寄りなので(笑)。もう30年くらい前になるけど、シャープが驚くほど先進的なPC、つまり「X1」(1982年発売)や「X68000」(1987年発売)を出していたということも鮮明に記憶しているし、PDAの先駆者といえる電子手帳やザウルス、あるいは単なるHDDレコーダーではなく、パーソナルサーバとして多彩なネットワーク活用が可能だった「ガリレオ」(2003年)を発売していたことも知っています。というか、持ってますし(笑)。

 そうそう、余談ですが、X1は“テレビ事業部”が開発した製品だけに、テレビ映像の上にPC表示が可能だったり(スーパーインポーズ)、キーボードやプログラムからのチャンネル/音量操作、チャンネル指定も可能なTVタイマー機能(視聴予約)なんかも装備してました。今考えると、すごい仕様。

薄さを徹底的に追求した「MURAMASA」(2003年発売)

田中:Windows PCの分野でも「Mebius」というシリーズ製品をリリースしていましたが、当時としてはめずらしく、薄さを徹底的に追求した「MURAMASA」なんかが印象深いですね。それにハードウェアだけではなく、電子書籍のフォーマットを提唱したり、それに関連して、液晶ディスプレイでも読みやすい表示文字として「LCフォント」を開発したりもしてます。デバイスだけではなく、環境も整えることにも熱心だった。

園部:携帯電話メーカーとしては後発といえますが、現在では携帯3キャリアすべてに端末を提供している国内最大手になっています。使用感、デザイン、スペック、あるいは価格においてバランスのとれた製品が多いという印象がある一方で、液晶パネル、CCDなど自社製のデバイスで勝負する、デバイスドリブンなメーカーというイメージもあります。

松尾:ソフト面も含めた統合がうまくなったイメージはありますね。昔は本当にデバイス勝負というだけで無理やりな感もあった。いまはソフトウェアの力も充実してきて、全体としてうまくまとめた製品が多い。

園部:一歩先を行って早すぎてはいけないので、最近では「半歩先を行く」を目指す事業展開をしているらしいですよ。

浅井:過去のさまざまな製品で展開してきた先進性を鑑みると、シャープが本格的にスマートテレビに取り組むのなら面白そうですね。僕は期待したいと思います。


もっとスマートなテレビへ、「ITmediaスマートテレビ研究所」始動

 モデレーターの事前予想以上に盛り上がった今回の放談企画。普段からスマートフォンやテレビなどの動向を追いかけているだけあり、参加メンバーが一様に“自分なりのスマートテレビの姿”を思い描いていたことが印象的だった。実際、スマートテレビの“スマートさ”には多くの解釈があり、求める機能は幅が広く、奥も深いことが伺えた。であれば、より多くの人たちの意見を聞いてみたい、アイデアを皆で話し合ってみたい。

 ITmedia スマートテレビ研究所では、次に専門的に業界を注視し続けるAV評論家やITジャーナリストといった人たちに声をかけたいと考えている。だれでも視聴できる議論の場を設け、彼らが思い描く“スマートテレビ”の姿を聞いてみよう。詳細は近日中に発表するつもりだ。

ITmedia スマートテレビ研究所発足
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提供:シャープ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2011年9月30日