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リアスピーカーの設置に困ったら? サラウンドに特化したワイヤレス技術「SUMMIT wireless」日本上陸(1/2 ページ)

» 2011年06月27日 16時08分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 5.1chや7.1chのホームシアター環境を作ろうとしたとき、最大の問題は後方のスピーカー設置だろう。部屋の中にケーブルをはわせると見栄えが悪くなり、室内をリフォームするにはコストがかかりすぎる。リアスピーカーを無線化する手段はあるが、電波干渉や音質に関する疑問はつきまとう。

サミット・セミコンダクター日本法人のブライアン・ウィリス社長

 そんな悩めるホームシアターファンにとって、選択肢の1つになりそうなワイヤレス技術が日本に上陸する。米サミット・セミコンダクターが開発した「SUMMIT wireless」は、5GHz帯を使用して最大8ch(7.1ch)の音声データを非圧縮伝送するワイヤレス技術だ。設定は自動で、リモコンのボタン1つで視聴者の座っている場所にサラウンドの定位を移動させるといった便利な機能も備えている。

 サミット・セミコンダクター日本法人のブライアン・ウィリス社長によると、音声データは1chあたり96kHz/24bitを確保しており、Blu-ray Discに使われるHDオーディオ(Dolby TrueHD、DTS MA)をサポート。さまざまな無線機器が使用されている2.4GHz帯を避け、比較的すいている5.1〜5.7GHz帯を利用して信頼性を高めたという。この周波数帯には20MHz幅のチャンネルが19あり、SUMMIT wirelessが使用するのは1チャンネル。ほかの無線機器と干渉する可能性があると、動的に空きチャンネルに移動する仕組みも備えた。

無線はOFDM方式。同社が提供するリファレンス基板には、当初から4つのダイバーシティアンテナが組み込まれていた(左)。無線ユニットとアンプなどを組み込んだスピーカー(右)伝送距離は10メートルほど。アクティブスピーカーのため、コンセントは必要となるが、室内を横断するスピーカーケーブルは排除できる

 オーディオのストリーミングでは、毎秒2000パケットを送受信する。通信にはパケットロスなどの問題が付きものだが、ウィリス社長によると、「エラーが生じても絶対にヘンな音は出さない」という。「PCのデータ通信ならパケットの欠落があっても再送信できるが、音声データでそれを行うと映像と時間差が生じて遅延(ディレイ)になってしまう。このため、パケットの欠損があると前後のデータを比較して平均値を出力する仕組みだ」(ウィリス氏)。レイテンシーはおよそ2.2ミリ秒。8bitのエラー訂正(FEC)も備えているが、実際に利用するケースは極めて少ないという。シアター用途ならではの無線技術といえそうだ。

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