ここ数年、10万円クラスのAVアンプのクオリティーアップが著しい。中でも今年の春夏モデルはさらにすごいことになっている。機能面ではネットワーク関連や音場調整などが最上級クラスに遜色ないレベルまで高められ、製品によっては音質面でも上級クラスを脅かすほどの進化を遂げているのだ。その代表例の1つといえる製品が、ヤマハ「RX-V771」である。
RX-V771は、数多くラインアップされているヤマハのAVアンプのなかで、ミドルクラスに位置する製品である。外観は4月に発表されたエントリークラス「RX-V471」「RX-V571」とほぼ同じだが、そのスペックはまったくといっていいほどの別物に仕上げられている。
まずは、ネットワーク関連をはじめとするデジタルオーディオへの対応だ。RX-V771の先代となる「RX-V767」には、ネットワーク関連機能は用意されていなかったが、RX-V771には上位モデル「RX-V2067」などと同じWindows7&DLNA1.5準拠のネットワーク機能を搭載。PCやNAS(Network Attached Storage)に保存した音楽コンテンツが再生可能となっている。
対応するフォーマットも幅広い。MP3やAACだけでなく、WMAロスレスやFLACなどの可逆圧縮形式、非圧縮のWAVなどをサポート。ビットレート/サンプリングレートも最高96kHz/24bitまで対応しているため、ネット配信のハイレゾ音楽ファイルも再生可能だ。また、これまでのFM/AMチューナー(これが内蔵されるAVアンプはAVレシーバーと呼ばれていることが多い)に加えて、数千のステーションがリストされたインターネットラジオの総合ディレクトリ「vTuner」もサポート。PCなどを必要とせず、RX-V771単体でインターネットラジオを楽しめる。
サラウンド関連についても、さまざまなトピックがある。まず機能面では、いまやヤマハのお得意技といえるシネマDSPの「3Dモード」を搭載。プレゼンススピーカーを使うことで縦方向にも立体的なサラウンド空間を実現させ、3D時代にふさわしい音響空間を味わうことができるようになった。さらにプレゼンススピーカーの効果を擬似的に再現するVPS(バーチャル・プレゼンス・スピーカー)機能も装備し、パワーアンプの増設なく、手軽に9.1ch相当の立体音響を楽しめる。
一方、iPodのデジタル接続に対応したのも大きなトピックだろう。RX-V767にはUSB端子がなかったが、RX-V771でこのグレードにUSB端子を新規採用するとともに、iPodのデジタル音声接続に対応。iPodやiPhone、iPad内の楽曲を高音質で再生できるようになっている。
家庭内LANに接続することが、RX-V771の持つ機能を最大限活用するための前提だ。それは何もNASからの音楽再生やインターネットラジオ対応のためだけではない。なによりも、操作性においてかなりの便利さを享受できるようになるのだ。
ヤマハは、AVアンプのリモコンになるiPhone/iPod touch/iPad用アプリとして「AV CONTROLLER」を用意しているが、これがなかなか便利だ。こちらを使えば、iPhoneなどから電源のオンオフやボリューム調節、ソース切り替えなどの基本操作だけでなく、シネマDSPの音場プログラムの切り替えやZONE(マルチルーム)選択まで、さまざまな操作が行えるようになっている。しかも、実際に使ってみるとこれがかなりの出来で、とても扱いやすいのだ。
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