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“小さなZ”の面目躍如、東芝“REGZA”「32ZP2」を検証する(1/2 ページ)

» 2011年07月12日 16時19分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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 アナログ停波を目前に控え、家電量販店のテレビ売り場は最後の駆け込み需要に盛況となっているようす。エコポイントで盛り上がった時ほどではないものの、販売員の対応を見ていれば、いまも売り手市場が続いていることが分かる。

 しかし同じようなシチュエーションでも、昨年と今とでは店頭に並んでいる製品がずいぶんと違う。この夏に新しく登場した製品は、“取り急ぎ買い替え需要に対応”から“特需後も魅力ある製品”へと明らかにコンセプトが移行し、機能的にも魅力的なモデルがずいぶんと増えてきた。そのような中、個性的なコンセプトを強くアピールしているのが、東芝がリリースした3D対応液晶テレビ“REGZA”「ZP2」シリーズだ。

「32ZP2」。32V型の寸法は、774(幅)×547(高さ)×273(奥行き)ミリ

 ZP2シリーズは、パーソナルユースを強く意識した2つのパネルサイズをラインアップしつつ、大型モデルと同等の機能を盛り込んだ「プレミアムパーソナル」と呼ぶべき液晶テレビだ。画質面・機能面ともに充実した内容を誇っているが、加えて3D表示にも対応している。ユニークなのは、最新の3D対応テレビで主流となっているフレームシーケンシャル方式ではなく、偏光フィルター方式を採用していること。これにより3Dサングラスが軽量化され、視聴時の負担を軽減しているという。実際にZP2の32V型モデルを借用して数日間使用したので、その感想を述べていこう。

まずは2D画質をチェック

 まず映像系に関しては、先行してZ2シリーズにも採用された新しい映像エンジン「レグザエンジンCEVO」の搭載が大きなトピックだ。従来モデルに対し約3.4倍という処理能力を生かして超解像技術「レゾリューションプラス6」を採用、前後あわせて4枚(前2/表示1/後1)という複数フレームを参照して映像を作り上げることで、精彩な描写を実現した。同時に映像の圧縮によって欠落した色情報を復元する機能も用意、地デジなどの放送も色合い豊かで輪郭部の精細な映像を楽しませてくれる。

グラフィカルな「レグザメニュー」で入力切り替えから録画まで、基本操作はほとんどまかなえる(左)。HDMI入力は3系統で、うち1系統がARC対応。ほかにD5端子を含む2系統のアナログビデオ入力や光デジタル音声出力、録画用USB端子などを備える(右)

 色彩やコントラストの表現力については、ハードウェアの進化によるクオリティーアップも顕著だ。新採用のIPSパネルはITU-R BT.709(HDTV向け色空間標準規格)において99%の色再現性を実現し、ハイビジョン映像の色彩をほぼ忠実に表現できるようになった。

 実際の映像はとても繊細な表現が可能で、とくにグラデーション表現は、液晶パネルということを忘れさせてくれる自然さだ。またパネルの特性をうまく生かしているのだろう、ブルー系の発色がとてもよい。青空がとても澄んでいて、奥行き方向の広がりもリアルに感じ取ることができる。

 一方の赤系はというと、東芝らしい落ち着いた印象は健在のまま、さらにピュア度を増したイメージ。これらの相乗効果により、映画などのコンテンツは、色彩感の高いフレッシュな表現となった。

付属のリモコン

 コントラストについては、10分割エリアコントロールを行うLEDバックライトやパネル内部にスリットを設けた導光板を採用。IPSパネル本来のハイコントラストさとも相まって、黒が沈みつつも輝きのある、メリハリのよい映像描写を実現している。例えばBD「300」を見ると、鎧や刀の輝きがとてもまばゆく見え、さらに印象深い映像となった。一方でライブ映像など真っ暗に近い映像では、黒間際の階調表現が淡白すぎる印象を持ったが、こちらはカスタムすることである程度好みのイメージに近づけることができるので心配はない。

 動画性能に関しても、従来のパーソナルテレビとは格別の感がある。液晶パネルの倍速(120Hz)駆動とLEDバックライトのエリアコントロールをあわせて活用し、実効的な4倍速効果を実現する「アクティブスキャン240」で残像を低減する。とくに文字スクロールは動画ボケの低減が顕著で、かなりスピードが速いものでもある程度は識別できるようになった。とはいえ、斜めスクロールや動きの速いアニメーション映像などに対しては、さすがに完璧とまでは行かず、多少の妥協は必要だ。

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