どんなに高機能であろうと、一体型スピーカーであるため、設置に関してはほとんど手間はない。強いて挙げるとすれば、存在を強く主張するデザインなので、周囲のインテリアにも多少気を使いたいところだろうか。
逆に、使いこなしに関しては、多機能ゆえに多少の慣れが必要だ。正確には、慣れというよりも説明書の熟読が必要といっていいだろう。というのは、製品のキャラクターゆえにモニターが用意されておらず、また専用のiOSアプリなどもないため、選択ソースやモードなどの状況はドックポート下部のインジケーターの色で確認するしかないからだ。しかしながら、そういったシンプルなインフォメーションしか用意されていないこともあり、リモコンまたは本体の電源ボタンで主要操作はほとんど行えるよう配慮されているので、慣れてしまえばまず迷うことはない。
筆者の場合も少々手間取ったのは、PCとのデータ同期モードへの移行と、低域ボリュームの調整くらい。データ同期モードはいったん電源を切り、2秒以上電源ボタンを長押しすることで移行する。一方の低音ボリュームの調整は、ドックポートにiPhoneやiPod touchを接続してから、iPhone/iPod touchの設定内に現れたスピーカー項目で操作を行うことになる。後者は多少手間がかかるが、いちど設定してしまえばそう何度も操作することはないため、とくに不便さは感じないはずだ。
LANの設定は、無線LANを使う場合でもいちど有線で接続してZeppelin Airの設定ページを開き、無線LAN設定項目を操作する必要がある。とはいえ、特に問題もなくスムーズにアクセス(Windows 7の場合はエクスプローラーのネットワークデバイスからZeppelin Airのアイコンをクリックするだけで設定ページがオープンする)できたので、自宅のLAN設定を自分で行ったことのある人ならまず迷うことはないだろう。
さすがというべきだろう、25ミリツイーター×2、75ミリミッドレンジ×2、125ミリウーファー×1という、小口径ユニットによる2.1ch構成とは思えないスケール感の大きいサウンドが堪能できる。とにかく音の広がりがスムーズで、本体のサイズを忘れてしまうほどだ。試聴したのは6畳ほどの空間だが、それでも狭いといわんばかりに、音が隅々まで広がってくれる。しかも抑揚感に富んでいて、演奏がダイナミック。それでいて解像度もかなりの高さを確保しているため、フルオーケストラでもライブ感を存分に堪能できる。下手なミニコンポなど尻尾を巻いて逃げてしまうくらいのクオリティーだ。
音色的には、中域重視のチューニングといえる。高域はスムーズに延びているが、量感をそれほど欲張っている印象はなく、とちらかといえば自然で聴きやすい印象を覚える。一方の低域は、ボトムラインへの伸びは欲張らず、量感で充足感を補うタイプ。このため低域のキレやフォーカス感は多少甘くなっているものの、そのぶん広がり感の良好さや女性ボーカルが柔らかな歌声になるため、一概に否定はできない。あくまでも好みの範囲だろう。
なお低域のボリューム感に関しては、ある程度の調整が行えるため問題はない。デフォルトでは広めのリビングを想定しているのか、わが家のような木造屋では多少過大に感じた。こういった空間では、ー2あたりまで低域を押さえたほうが良好だろう。
このようにZeppelin Airは、一般的なiPodドックスピーカーとは別物の、音質的にも機能的にも大いに満足できる製品だ。もしデザインにほれ込んで音を聴かず購入したとしても、そのサウンドに不満を抱くことのない、優れた“本格オーディオ製品”であると断言しよう。
音質評価 | |
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解像度感 | (粗い−−−○−きめ細かい) |
空間表現 | (ナロー−−○−−ワイド) |
帯域バランス | (低域強調−○−−−フラット) |
音色傾向 | (迫力重視−−○−−質感重視) |
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