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全文公開! 賢いテレビって、どんなもの?(中編)「ITmedia スマートテレビ研究所」第一回シンポジウム(4/4 ページ)

» 2011年08月24日 20時11分 公開
[ITmedia]
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乙武 今、みなさんにテレビとインターネットがつながっていることの利便性で色々お話いただきましたけれど、またここで事前アンケートをとっておりまして、テレビやレコーダーをインターネットにつないでいるか、いないか、ということも事前に聞いています。また本田さんに……。どれくらいの割合なんでしょう。インターネットにつないでいるという方が、どれくらいいらっしゃるんでしょうか……え! 7割の方がつないでいる。

驚異のアンケート結果【41分20秒前後〜】

麻倉 これ驚異的ですね。ITmediaの編集長インタビュー読んだら、全然つないでいないんだけど、なぜ? みたいな。

本田 ITmediaでアンケートをとったから高いというのも当然あるんだと思います。

いとう そうですね!

乙武 もともと意識が高いとか、そういう環境に慣れている方が答えてくださっているのかもしれないですね。

いとう どこが母数になっているかで変わりますもんね。

本田 いとうさん、つないでいます?

いとう うち、つないでないです(笑)。うち、これでいえば31%のところですね。

乙武 これは思ったよりも高い数字かなと思いますが、松村さん、どう思われますか?

松村 いや、だから結構つないでいる率が高いんだな、というのもありますね。確かに使う機会が、さっき、「Webブラウザとかも今まであまり便利じゃなかったから」とかという理由で、使う機会が少ない割には、かなりつないでいるんだなというのが分かりますね。

本田 実際、使っているかどうかは分からないですよね。まあ、インターネットを引いている人はたくさんいらっしゃると思うので、そこにLANの口があったらプチっとつないでおく、という人はいるんだろうけどが、実際にそれを使っているかどうかは分からないですよね。

麻倉 アメリカだったら、もっと多いと思うんですよ。というのは、今、アメリカのVODがものすごい伸びていて、アメリカはそもそも、そんなに番組が面白くないので、自分が面白いと思ったものを見ようというVODが、特に「ネットフリックス」というのがあるんですけど、ものすごい伸びているんですよ。それは非常に安く定額制をやったんですけど。

 ですから、テレビはそうですし、今やアメリカのBlu-ray Discプレーヤーは全部ネットワークですね。つまり、我々の世界って、結構テレビを単体で考えちゃうんだけど、アメリカってセットトップボックスっていって、他にこういうチューナーみたいなのを必ず付けるんですよ。CATVのものがあって見るって感じですから。その中に入っているとね、すごく伸びていますね。だから、もしこれがアメリカだったら、一般国民ですね。

本田 ネットフリックスは本当に……VODっていうのはビデオオンデマンドで、見たいと思ったときにすぐにネットで探してきて映像を見られる、というサービスですが、アメリカ全体のインターネットのトラフィック、データのね、全体の確か、はっきりした数字じゃないですけど、23%くらい、21.3%かな。どっちかです。実は一番多いです。Webでいろんなアクセスがあって、いろんなデータがあるんだけど、実はネットフリックスでテレビ見ている人が多くて、それだけ普及はしてきているんですね。ただ、日本だと、なんででしょうね。なかなか普及してないですよね。

麻倉 なんかね、本当にそうなの? とか思いますよね。つまり使ってるのかな、とね。つながってるのは確かにつながっていますよ。

本田 日本でも数万のコンテンツがあって、VODで見られるようになっているんだけど、ま、すごく見難かったりとか、とてもじゃないけど自分で使いたくないようなサービスだったりして。でも、何か理由があるはずですよね。使いやすければ見られるはずなのに、「あんなものとてもじゃないけど使わない」って機能になってしまっているっていうのは。

麻倉 YouTubeが一番多いと思うんですけどね。でも、やっぱり基本的にはパソコンだと思うんですよね。テレビでありますけども、ちょっとやっぱり貧弱。だから、なんでだろうな、というのがちょっと分かりませんね。

乙武 本田さん、このテレビやレコーダーとインターネットがつながっているというのが、ましてやこれだけ高い数字の割合の方がつないでいるということに着目した場合、メーカー側が次にどんなサービスといいますか、使って利用者を楽しませることが考えられるようになるんですかね。

本田 難しいですね。難しいですけど、先程からみなさん、色々なアイデアが出ていると思うんですけど、テレビ番組そのものは変わらないわけですから、それをより楽しむためにはどうすればいいのか。だから関連する情報をいかに出すかとか、でも出すといっても画面をじゃましちゃいけないですよね。じゃあ、タブレットとかスマートフォンと連携しましょうって話になるのか、あるいはその場を共有するために、よく知った友だち同士とその場を共有するための何か、サービス、道具みたいなものを用意してあげるのかとか、そういったプラスαで、テレビそのものは変わらないんだけれども、テレビ以外の部分、テレビコンテンツと関連したいろんな情報をどうまとめあげていくところが、鍵だと思います。

麻倉 絶対キラーがあって、これ、見逃していた、つまり、出たものを……あの、これすでにBBCがやっていることなんですよ。キャッチアップサービスといって、ヨーロッパで流行っているんですけども、出てから30分後はその1週間分、全部見られますよと。全部見られるんですよ。今、一応、ある特定のWebサービスみたいなところが見えますけれど、じゃなくて、すべてのものが平等に見られるという。これ、絶対キラーですよ。

 ただ、著作権とかあって、日本ではなかなかうまくいかないんだけども、ユーザーニーズからすると、これが一番高いんじゃないですかね。見逃したものが全部見られると。ビデオオンデマンドだから何でも、何回でも見られるわけで、具体的にいうとね、「通産大臣が泣いた」みたいなところが何回でも見られる。

(一同笑)

麻倉 そういうことがやっぱりできるようなサービスであれば、すごく伸びるんじゃないですかね。

松村 あとは、コンテンツがどれだけ、自分が本当に見たいものが流れてきてるか、というところがポイントだと思っていて、やっぱり、今日、このシンポジウムに出ているのでテレビを見ずに家に帰って、今の時間帯にテレビで何をやっているか分からなくて、で、あまりテレビにコミットしていないと「分からないまま終わってしまって明日になってもいいや」という状態なんですよ。

 でも、実はもしかしたら、僕はこの前完全に見逃したものがあって、ジブリの映画、最新の映画のドキュメンタリーがあったんですけど、映画を見させていただいたので、ちょっとそのドキュメンタリーは見たかったんだけど、いつ再放送されるか分からない、みたいなことがあったりとか、あるいは、それこそあまり政治家の方の涙は見たくないですけど(笑)、Twitterですごく話題になっていて、あるいはFacebookの友だちがみんな見てよかったといっているドキュメンタリーとか、そういうものが、いつやっていたのかも知らないまま見ずに話に乗れない、みたいなことって結構あるんですよね。だから、やっぱり簡単に自分が見たかったものが見られるようになるっていうのは、このスマートテレビで1つ、コンテンツ面で期待する大きな要素になるんじゃないかと思っているんですよね。

乙武 いとうさんは、今もツイキャスをやられていたり、Facebookなんかも活用なさっていますけれど、テレビとスマートフォンというものがつながっていくということに対しては、どういう風にお感じになってらっしゃいますか?

いとう そうですね。今まで、スマートテレビっていう、今聞いている話では今までのテレビとはまた全然違ったテレビがこれから出来上がっていくのかな、という気はするんですけど。例えば、私が先ほど言いましたように、出演しているときにそれに対して、色々な視聴者の方、ファンの方がそこに一緒になって同じ場所を共有しているよね、同時に見て、みんなで意見交換できるんだよ、というような場が、怖い部分もあるけれども、でも、それって今までなかったことなんで。

 双方向とかってすごく言われてましたけど、双方向といいつつ全然双方向じゃなかった気がするんですね。そういう意味では、そういったところが広がると、また1つテレビを見る楽しみが増える。例えば、私が出ている番組じゃなくてもいいんですけど、スポーツ観戦にしても、「がんばれ、なでしこ」っていっているときに、みんなTwitterを見ながらこっちでパソコンとかスマートフォン見ながらテレビを見ると忙しい中を、同じ画面の中で一緒に見て、一緒にできるならば、なお楽しみが増えるんじゃないかな、と思うので、そういう広がりは楽しいかなと思いますね。

――後編に続きます。

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