シャープが考えるテレビの“スマート化”とは?(前編)本田雅一の視点(2/3 ページ)

» 2011年09月01日 10時00分 公開
[本田雅一,PR/ITmedia]
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 一方、AQUOS Cityに含まれる「AQUOSインフォメーション」では、テレビ画面をフルに表示したまま、録りためていた番組の「未視聴お知らせ」やテレビの番組表から抽出した「おすすめ番組」、あるいは「Yahoo!ニュース」のヘッドラインといった情報を画面右下に小さくポップアップ表示する。これはAQUOS Cityで受け止めている”情報”の一部を、通常のテレビ視聴画面の中でじゃまにならないよう”お知らせ”するものだ。

AQUOS Cityのサービスの1つ「AQUOSインフォメーション」。普段見ている番組(常連番組)が始まる前に教えてくれる機能もある

 映像を楽しんでいるとき、突然ニュースがポップアップすることには抵抗を感じる読者もいるかもしれない。筆者も最初はそう考えていたが、シャープの説明を聞いて納得した。「情報の見せ方、切り口をたくさん用意して、ユーザーがそれを選択できるようにしたいと考えています。どんな情報を取得し、ポップアップ表示させるかはユーザー次第。好みの方法で情報との接点を作ることができます」(宗俊氏)。

 先の事ばかりを考えすぎると、現時点でのテレビユーザーを見失ってしまいがちになるが、まずはしっかりと足を地に着け、テレビのみで使う場合の情報との接点を作ろうというわけだ。

テレビ視聴をじゃませずに情報を提供

 Facebook上に作った「スマートテレビ研究所 分室」で行われたアンケートでは、スマートテレビに求められる機能として、多くの人が「SNS連携」を挙げた。それに次ぐのがスマートフォンやタブレット型端末との連携である。

スマートテレビのアプローチは2種類あると指摘する井上氏

 もちろんSNSそのものであるFacebookのユーザーに対するアンケートであることを考慮しなければならないが、この2つの要素に対するニーズが高いことは確かだ。ただし、連携させるといっても、そのやり方はさまざま。”スマートテレビ”は、米国や中国においてセールストークの1つにもなっており、多くのメーカーが異なる”スマートな”テレビを展開している。しかし、各国ごとに使われているサービスやテレビの視聴スタイルは違う。その代表例が、テレビ自体にアプリをインストール可能な“スマートテレビ”だろう。

 「海外メーカーのように、アプリを入れてテレビ自体を進化させるのも1つの方法でしょう。L5のようにスマートフォンと連携するテレビを合わせ、(スマートテレビに対するアプローチは)2種類あると考えています」と井上氏。「商品企画の視点から見ると、他社との競合もあるので、キッチリとスマートテレビを作り上げていく必要があります。その際に日本のユーザーに対して海外と同じ機能を押しつけるのではなく、”日本人が求めるスマートテレビとは何か”をしっかりと練り込んで商品に仕上げていかなければなりません」(宗俊氏)。

 「アプリの追加よりもむしろ、あふれるほど存在するコンテンツをスマートに見せることが重要だと考えています。ユーザーが目的のコンテンツにより早くたどり着くために検索を容易にして、録画しても未視聴のコンテンツがあればレコメンドするなど、テレビ側から“こんな面白いコンテンツがありますよ”と提案していくことが大事ではないでしょうか」(井上氏)。

 AQUOS L5シリーズでは、番組表やネットの動画コンテンツを検索する際に「AQUOS PHONE」の音声認識を利用できたり、AQUOS PHONE上で見ているWebサイトや画像をAQUOSに映し出すといったユニークなスマートフォン連携を実現した。ここには、コンテンツに早くたどり着けるというメリットに加え、視聴中のテレビ画面をじゃましないという気づかいも垣間見える。

宗俊氏は、”日本人が求めるスマートテレビとは何か”をしっかりと練り込むという

 現在のスマートフォン普及率は10%に満たないが、今後3年以内に50%に達すると予想されている。今後、スマートフォンの普及が進むにつれ、操作ガイドや番組情報をテレビ画面に表示するのではなく、手元にある端末に情報の表示と操作を任せてほしいという要求は高まっていくと考えられる。そこにいち早く目を付け、実用化したのがAQUOS L5シリーズというわけだ。

 「われわれは携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末を商品として持っており、かつてはPDAやPCにも積極的に取り組んでいました。そのため、何か連携できることがあると、すぐに社内でも横につながって連携しようとします。これはシャープのDNAとも言える文化です。テレビ単体での情報アクセス機能を組み込んだ上で、多様な製品とネットワークを通じて連動させることは、シャープにとってとても自然なことなのです」(吉川氏)。

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提供:シャープ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2011年9月30日