シャープが考えるテレビの“スマート化”とは?(前編)本田雅一の視点(3/3 ページ)

» 2011年09月01日 10時00分 公開
[本田雅一,PR/ITmedia]
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標準規格で実現した「ホームネットワーク」と「スマートフォン連携」

 横の連携を語る上で、もう1つ欠かせないのが「ホームネットワーク」機能だろう。ホームネットワークは、業界標準のDLNA(Digital Living Network Alliance)ガイドラインをベースにした機器間の相互接続機能だ。DLNAでは機器同士の通信手順としてUPnP(ユニバーサル・プラグ&プレイ)を採用し、各社の製品が共通で対応すべきフォーマットやユーザーインタフェースのあり方を定義している。DLNAに対応した製品は、メーカーを問わずに相互に接続が可能で、動画や写真、楽曲などをネットワーク経由で楽しめる。

DLNAで他社との差別化もできると話す山下氏

 DLNAは、ここ数年で急速に普及したが、用途としてはマニア向けの色合いが強く、シャープは採用にかなり慎重なほうだった。しかし、この春に登場した「AQUOS PHONE」と「AQUOS L5シリーズ」では、一気に対応を進め、逆に他社製品にもあまり例がないほどの積極的な実装が行われた。DLNA関連を担当した山下氏は、「以前はDLNAについて、あまり積極的に打ち出していませんでしたが、ここ数年で一般的に使われるようになったため、現在は力を入れています。スマートフォンについてもDLNAのコントローラーやプレーヤーを載せ、他社との差別化を図りました」(山下氏)。

 DLNA対応機器は、その役割によってサーバ(DMS:デジタルメディアサーバー)やプレーヤーといった呼び方をされる。例えばBlu-ray Discレコーダーは、動画などを送り出すためにサーバの機能を持ち、テレビにはプレーヤーの機能を載せるのが一般的だ。このほか、コンテンツ再生を指示するコントローラー、指示されたコンテンツを表示するレンダラーといった役割を持つデバイスもあり、この春に登場したAQUOS PHONEは複数の役割を併せ持っているわけだ。

 さらにいえば、AQUOS PHONEはサーバとしての機能も持っている。AQUOS L5シリーズのスマートフォン連携機能を象徴する“手裏剣”操作では、“シュッ”とフリックしたとき、AQUOS PHONE上で動いているサーバに対し、「Smart Familink」(コントローラー)から再生指示が出されている。それを受けて、レンダラーのAQUOS L5が画像を表示する仕組みだ。画像が飛んでいくようなアニメーションなどもあり、よほど進んだ独自技術と思われがちだが、実はベースはあくまで標準規格で、そこに分かりやすい演出を加えたのである。

写真をフリックすると、AQUOS PHONE上では写真が飛んでいくようなアニメーションが表示される(左)。動画を飛ばした後。AQUOS L5の画面右上にDLNAによる動画再生中を示す「リモート再生」という文字(右)

 「アニメ的な演出は、店頭などで理解されやすいようにと加えたものです。画面をフリックすると、AQUOS PHONE上では写真が飛んでいくようなアニメーションを表示し、一方のAQUOS L5では画面の下から写真が出てきます。分かりやすいユーザーインタフェースを目指したものですが、伝送時にタイムラグが生じるため、そこをつなぐ意味もあります」。これらのエフェクトを付加する際は、機器間でメタデータをやり取りするという。ここだけは独自の仕様だ。

 ここで、「なんだ、昔からやっているDLNAなんだね」という方もいるかもしれない。確かにDLNAの取り組みは過去何年も続けられてきたものだ。しかし、DLNAの取り組みはデジタル機器がネットワークを経由して連携するために必要なものだ。

 重要なことは、”DLNAを使っている”かどうかではなく、DLNAの仕組みを使って、いかに直感的に、機能の存在を意識することなく使いこなせるよう工夫しているかどうかだ。その点において、AQUOS PHONEの”手裏剣”操作の実装とこの先の進化は興味深い。ここをスタート地点に、シャープのスマートフォンやメディアタブレットを使った連携機能は、さらなる発展を続けていくことだろう。

 しかし、ここで1つの疑問が生じる。DLNA標準がベースの機能なのに、なぜAQUOS L5のスマートフォン連携は「AQUOS PHONE」限定なのだろう。後編で、さらに詳しく話を聞いていきたいと思う。

ITmedia スマートテレビ研究所
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提供:シャープ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2011年9月30日