今回、おそらく最も巨大なブースを構えていたとみられる韓国Samsung。別エリアにある白物家電コーナー、商談ブースや外のテントブースまで含めれば、競合他社に比べても2倍近い面積を占めていたとみられる。IFA会期中にドイツの裁判所でGalaxy Tabの出荷中止命令を受け、展示コーナーから発表されたばかりの「Galaxy Tab 7.7」が急きょ撤去されるといった問題こそあったものの、「タブレット不在」という問題を除けばコンシューマー向け製品ポートフォリオも最も充実していたメーカーの1つだといえる。
同社で興味深いのは、PC向けなどに利用される液晶モニターも含めてインテリジェント化を進めている点だ。スマートテレビに関して、ほとんどのメーカーではリビング向けの大画面TVを主軸に据え、どのように一般に浸透させるかで各社は試行錯誤を続けているが、汎用タブレットやスマートフォンとの連携、アプリを使った機能拡張といった方向性を見出しつつある。Samsungは自社のPC向けモニターにおいてもこういった拡張の概念を導入し、例えばモニターの近くにノートPCを持ってくるとWi-Fi接続で外部ディスプレイとして利用でき、コンテンツ再生や簡単なWebサーフィン、デバイス連携はPCなしで行えたりと、適材適所でデバイス接続ができたり、個々での動作が可能になるといった工夫が凝らされている。家電メーカーであればTV、PCメーカーであればPCといった形に偏りがちだが、このあたりは総合メーカーならではのアプローチだろう。
スマートテレビ部分に関しては競合他社に近く、TV、スマートフォン、タブレットを使ったデバイス間連携やリモコンアプリ、そしてアプリによる機能拡張など、セオリーを一通りなぞっている感じだ。個人的に興味深かったのは、前述の裁判所命令でSamsungブースではタブレット製品の展示がなくなり、IFA全体ではT-MobileやVodafoneといった携帯キャリアの端末ディストリビュータブースで散見される程度だったのだが、唯一このスマートテレビのデバイス連携デモのところで初代Galaxy Tabを見つけることができた。Androidタブレットでは最大手の同社だが、それを使ったソリューションを晴れの舞台で披露できないところがなんとももどかしい。
ちなみに、本来Galaxy Tab 7.7が展示されていたとみられるスペースには、同社独自のOSプラットフォームである「Bada」をベースにした「Samsung Wave 3」が展示されていた。GoogleのMotorola Mobility買収を受けてAndroid偏重からBadaへの投資を増やしていくという報道も出ている昨今だが、結果的にWave 3の展示スペースが一気に拡大してAndroid製品を凌駕した形となり、Androidから一歩引いた印象すら受けたSamsungブースの展示だった。
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