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全文公開! 賢いテレビって、どんなもの?(後編)「ITmedia スマートテレビ研究所」第一回シンポジウム(3/6 ページ)

» 2011年09月08日 14時29分 公開
[ITmedia]

乙武 先程いろんなアンケートがありましたけれども、「もうインターネットにつないでいるよ」という方は、数値的には高く見えても、僕はまだまだ一般的にはそこまで多くないのかな、という気がするんですが、これが、「今までそんなことも考えてなかった」という方も「スマートテレビを使っているよ」という風になっていくには、まだ時間がかかるのか、それとも、意外に近い未来なのか、というのは気になるところなんですが、どういった層がターゲットになってくると考えればいいんでしょう。

麻倉 基本的には全国民ですよね。まあ、始めはリテラシーのある人ですけども。私が思うに、従来のテレビでもできない、パソコンでもできない、ということができたらいいな、という。1つ提案すると、例えばコンシェルジュみたいのがいて、さっき言ったことでいえば、「何を見ていいか分からない」「どれを見たらいいか分からない」というときに、クラウドの中に分身がいて、その人が勧めてくれたり、あるいはその人が前もっていろんなサイトに行って取捨をしてくるわけですよ。取捨してきて、「先生、これがいいですよ」みたいなことをやってくれたり、それが人1人にくっついてこれると思うんですよ。

 つまり、今までの電波っていうのは、単に東京タワーからパッと来るだけですから、全然方向性がないんですけど、今、クラウドで双方向。クラウドっていうのは個人の価値が最大限に生かされると思うので、そういうようなサービスがもしあれば、これこそスマートテレビじゃないとできないサービスですから、それは全国民のテレビユーザーにとって等しく自分の「一番好みのものを、あなただけに作ってあげました」っていうことになりますからね。そういう風になると、いいなと思いますね。

乙武 先ほど、麻倉さんがおっしゃっていた「何か面白いものが見たい」っていったときに、「あなたにとっての面白い番組はこれですよ」って提供してくれるのは、もしかしたら夢物語かもしれないとおっしゃいましたけど……

麻倉 いや、夢じゃなくてね、NHK技研が今年発表したのは、カメラを用意して、そして、その(視聴者の)反応を調べるんですよ。反応を調べたときに、熱心に見ているときにはしゃべらない。だから「このドラマの中で、熱心に見ているのはこうだから、この人の好みはこうだろう」って蓄積していくんですね。それによって推薦してくれるとか。単に見た履歴だけじゃなくて、見た質もね、この中で見てくれるようなことが、今、実はすごく研究されているみたい。決して夢じゃないと思いますね。

乙武 なるほどね。例えば、それこそ携帯電話の予測変換機能だって、今まで自分が「あ」って入れたら、会いたいとか自分が「あ」を使った言葉から「これですか?」って提示してくれるわけですから、似たようなことですよね。

麻倉 だんだん精度が上がっていくんですよ。ホントにね、半年くらい付き合うと離れられなくなりますよね。

乙武 本田さん、どんなユーザーがこれから掘り起こされていくんですかね。

本田 掘り起こされるというよりは、すべてのユーザーが何も知らないうちに、その価値を使うことができていく。そうならなきゃいけないだろうな、と思います。だから、どう掘り起こすのではなくて、だれでも使えるようにどう作っていくか。これはメーカー側の責任なんじゃないかなと思います。というのは、やりたいだけだったら、パソコンを使って今、何でもできるじゃないですか。で、アクティブな人はどんどんパソコンで新しいことに挑戦すると思うんだけど、そうじゃなくてそれ以外の人も巻き込んで、映像を中心に楽しもうと思ったならば、やはりテレビ側でそれ以外の人たちにきちんと使えるようなオファーをしてあげるというのは大切かなと。

 そしてもう1つ、そういうことはしなくてはいけないんですが、サービスってたくさん出てくるでしょ。例えば、今回の生放送はUstreamでもやっていて、ニコ生でもやっていて、この2つは違うじゃないですか。「どっちに対応したテレビを持っていればいいの?」という話ですよね。で、クラウドの話がありましたが、クラウドの中っていろんな価値が、どんどん新しいものができているので、それにどう柔軟に対応していくのかって、すごく大きなテーマだと思います。

 だって、タブレットやスマートフォンって2年に1回くらい買い換えたり、短い人は1年くらいで変えたりしますよね。でも、テレビってまあ、短くても5年くらい、長い人で10年くらい使うものなので、買ったものが5年後にはあまり使い物になりませんっていうことじゃ困るので、じゃあ大きな枠組の中で、スマートテレビ、どうやったらネットの向こう側にあるクラウドの価値を楽しめるのか、ということを、後からインストールできるような、アプリケーションって通じて、ネットの向こう側の価値を自分で手にできる、そういう仕組みを入れていかなきゃいけないのかなと思いましたね。

新しいサービスどう柔軟に対応していくのか【1時間5分10秒前後〜】

乙武 いとうさんは、先程、ご自宅ではテレビとインターネットはつながっていないよ、というお話だったんですけれども、本田さんのお話にもあったように、すべての人がいつのまにか価値に気づいているというような状態になってきたときに、「もっとこんな風だったら、私もつないでみようかな」って思い出しますかね。

いとう どうですかね。つなぎたい……そうですね。まあ、今回、デジタル放送で変わったじゃないですか。で、私も何を隠そうAQUOSを使っていまして。買い換えなきゃと思っていたんですが、実はウチのマンションが、アナログの放送は終了だけど、デジアナ変換を勝手にされていて、テレビを買い換えなくてよかったんです。2015年までテレビを買い換えなくていいわ、と。

本田 それ、ケーブルテレビですよね。

いとう そう、知らなかったんですよ。でも、まだ見られるってことが分かって。でも、今度買い換えるのであれば、やっぱりもっと違ったことができるテレビ、今言われているスマートフォンなり、なにか欲しいとは思うんですけど、本田さんがおっしゃったように、ある枠で決めた中で「最新です」っていっても、本当に5年後にはたぶん、もう古い。今、本当にいろんなことが速いので、古くなってしまうと思うんですね。だから、そういった意味では、本当にスマートフォンと同じように、アプリケーションで好きな機能を自分のところに入れる、という方が、お仕着せじゃなくて選べる、自分の好きなものにカスタマイズしていけるって方が、私はいいなと思うし、そういうのであれば、本当に欲しい。これから買い換えようと思っている人だったら、そういうのなら欲しいと思われるんじゃないかなと思いますね。

本田 どんな機能がいいかというのは、今、メーカーも分からない。どんなサービスが生まれてくるのかというのも、サービスをやっている人たちは別々だから、何が流行るかも分からないじゃないですか。そういう意味では、どういうものが欲しいのか、というのは、せっかくインタラクティブでUstreamとかニコ生でやっているので、みなさんに意見をもらうような機会っていうのは(欲しい)。今回、(意見を)うかがっているわけですけど、Facebookページとかね、メーカーと視聴者、オーディエンスの人たちとのインタラクティブな接点ってあるじゃないですか。この場でスマートテレビ研究所のFacebookページを作るとか、そういうことをやっていったらどうですかね。そこで意見を集めて、今回、シャープさんの提供なので、シャープさんに「こういうスマートテレビを作りませんか」「こういう機能、できませんか?」という議論の土台にするといいと思うんですけど。できますよね……あれ?

いとう なかなか難しいんじゃないですか、まだ今は。

本田 でも、Facebookページなんてすぐにできちゃうから、それを作ってそこに来てもらって、コメントだけじゃなくて、意見をどんどん出してもらうと。

いとう そうですね、準備してください(笑)。

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