シャープが考えるテレビの“スマート化”とは?(後編)本田雅一の視点(2/3 ページ)

» 2011年09月15日 10時00分 公開
[本田雅一,PR/ITmedia]
PR

スマート時代におけるテレビの”たしなみ”

 ”自社製の○○しかサポートできません”というと、どうしても保守的で後ろ向きなイメージを持たれがちだが、理由を聞いてみると納得。他社製スマートフォンでの手裏剣操作はどうなるの? という声もあるだろうが、それも実は問題ない。

 確かにスマートファミリンクそのものはシャープ製スマートフォンの機能である。しかし、実はAndroidにはスマートファミリンクに相当するDMC、DMSの両機能を持つアプリケーションがいくつかある。例えばNTTドコモのスマートフォンであれば、同社の用意するアプリケーションマーケットプレイスで、「Twonky Mobile」というアプリケーションをダウンロードできる(他社スマートフォンでも利用可能だが有償)。

NTTドコモのスマートフォンなら無償ダウンロードできる「Twonky Mobile」は、DMC、DMS、DMR、DMPなど、すべてのDLNA要素をカバーしている

 このアプリケーションはDMC、DMS、DMR、DMPなど、すべてのDLNA要素をカバーしているので、自分自身がDMSとなり、DMCとなって、AQUOS L5に対して自らの端末内にある静止画・音楽等のコンテンツを送り込み、再生させることが可能なのだ。

 では、AQUOS PHONEを買う意味は? というと、まったくそんなことはない。スマートファミリンクはシャープ製のテレビとレコーダー、スマートフォンなどを結びつける接着剤のようなアプリケーションで、操作の統合度合いがとても高い。単につながるだけならば、もちろん他DLNAソフトを使うことで実現可能でも、実際に使いやすいかどうかは話が別ということだ。今時は”つながる”だけでなく、”どれだけ簡単かつ直感的につながるか”が重要になってくるともいえるだろう。

 ネットワーク時代、スマート時代におけるテレビの”たしなみ”として、DLNAに対応してネットワーク連携するのは当たり前。そこから先、どれだけシンプルに、どれだけ柔軟に、メディアを操れるようにするか、というユーザーインタフェース技術こそ重要だ。ユーザーは難しい技術が使われていることなんて知りたいとは思わない。単に見たいコンテンツが目の前のテレビから再生されるという結果を望んでいるに過ぎない。

DLNA連携はもう当たり前。簡単かつ直感的につなげるための工夫が“スマートさ”につながると本田氏

 だからこそ、DLNAで繋がりつつ、自社製品の間はもっとタイトに統合的な体験を演出しなければならない。基本的にはみんなつながるけれど、ちょっとハードルが高いと感じたら、「シャープ製品を使えば確実ですよ」ということだ。

 ところで、こうしたコンテンツのネットワーク連携では、経験則としてデータ形式の細かな違いが問題になってきた。圧縮技術に対応できないといった大きな問題もたまにはあるが、多くはもっと小さな問題である。例えばMPEG-4には対応しているのに、パソコン用などに作られた家電機器向けではない解像度のデータは再生できなかったり、圧縮方式は同じなのにデータ全体の構造が少しだけ違うためにデータを有効だと認識できなかったり、データ形式の記述方法にちょっとだけ違いがあったり……。

 テレビの世界では、映像の解像度もフレームレートも、データ形式も圧縮方式やビットレートも、きちんと枠組みが決められており、各機器はその枠組みに合わせて動作するように作られている。ところが、そこにテレビ関連機器以外が混ざり込んでくると、基本的な技術は同じながら、異文化とも言えるデータが混じってきてしまう。結果、うまく再生できずに使いものにならない、と断じる声があったことは否定できない。

 この点についてシャープは、「現状、認識できるデータは放送に使われている形式やデータ記述ルールに基づいたもので、パソコン向けなどの形式には対応していません。解像度に関してもそうです。シャープ製品間の連携は取れるようにしていますが、パソコンを使ってダウンロードしたり、自分でパソコンを使って作成した動画ファイルは、対応できない場合もあるのは確かです」としながらも、「実は海外では幅広い動画ファイル形式に対応しています。日本向けには高いレベルで映像品位が求められることもあって、テレビ向けの動画形式を優先して作り込んでいます。今後は世界中で使われているさまざまな動画プロファイルやコーデックへの対応にも取り組んでいきたいですね」と話した。

 最後に1つ、筆者がもっとも聞きたかったテーマについて尋ねてみた。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:シャープ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2011年9月30日