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シャープの次世代テレビ「ICC 4K 液晶テレビ」が2012年度に登場CEATEC JAPAN 2011(1/2 ページ)

» 2011年09月29日 19時53分 公開
[ITmedia]

 シャープとI3(アイキューブド)研究所は9月29日、“次世代のテレビ”をうたう「ICC 4K 液晶テレビ」を共同開発すると発表した。フルHDの4倍の解像度を持つ4K×2KパネルにI3研究所の信号処理技術「ICC」を組み合わせ、質感や立体感に優れた新しい映像表現を追求するという。早ければ2012年度の年央にも製品が登場する見通し。

「ICC 4K 液晶テレビ」の試作機

 説明会であいさつに立ったシャープ執行役員AVシステム開発本部長の寺川雅嗣氏は、「アナログ停波後のテレビ市場は停滞気味。3Dテレビやスマート化など、さまざまな試みで活性化しようとしているが、今回は一度テレビの本質に戻り、改めて臨場感や実物感を追求しようという試み」と説明する。

シャープ執行役員AVシステム開発本部長の寺川雅嗣氏(左)。テレビの画面サイズと精細度を高めることで臨場感や実物感につながる(右)

 ICC 4K 液晶テレビは、60インチ以上の画面サイズを想定している。すでに60インチ以上の製品も珍しくはないが、画面が大きくなると視野に占める割合が増え、「画面から2〜3メートルという通常の視聴距離で“臨場感”が生まれることが分かった」という。一方、映像がきめ細かい(精細)になると人は“実物感”を感じるが、60インチクラスになると1980×1080ピクセルのフルHDを表示しても解像度は不足するという。「60インチ超で精細度を感じるには、4K×2K(3840×2160ピクセル)が必要だ」(寺川氏)。

 しかし、4K×2Kの解像度を持つコンテンツはまだほとんど存在しない、このためI3研究所のICC(Integrated Gongnitie Creation)を採用し、現在のフルHDコンテンツをアップコンバート。「光クリエーション技術」をうたうICCによって映像の精細感を増すとともに、奥行きや立体感が与えられ、物体の存在感すら感じる映像になる(→解説記事)。「テレビのさらなる進化を促すためには新しい価値が必要だ。新しい映像表現ができる製品を作り上げてこそ、新しい液晶テレビといえる」(寺川氏)。

i3研究所の近藤哲二郎社長(左)。試作機によるデモ。フルHDベースバンド信号を入力して60インチのフルHDテレビと比較。誰の目にも違いはあきらか(右)

 i3研究所の近藤哲二郎社長は、実際の処理について多くを語らなかったが、従来のアップコンバート技術とICCではアプローチが違うと指摘する。既存の技術は、4KパネルにフルHDをアップコンバートして映し出す際、4Kカメラで撮影した映像を予測し、それに近づけるのがゴール。「では、4Kカメラで撮影した映像信号を4Kテレビに映し出せば、自然の画と同じになるかといえば、そうではない」(近藤氏)。

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