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“ただし書き”の少ない3番組録画、ソニー「BDZ-AX2700T」を試す(3/3 ページ)

» 2011年11月28日 19時25分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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長時間録画もかなり使える!

 また長時間録画に関しても、「BDZ-AX2700T」にはさまざまな工夫が施されている。映像信号を解析して、風景や夜景、動き、人物といったシーンの内容を特定して最適なエンコーディングを行う「シーン解析エンコーディング」や、ソニーのカメラで採用している顔検出技術を応用して人物の顔や被写体などを認識、効果的にビットレートを配分する「ビジュアルアテンション」、アニメ、スポーツ、映画など電子番組表のジャンル情報を用いて最適な画質設定で録画する「ジャンル別エンコーディング」など、さまざまな情報を活用することによって高精度に録画画質の向上を行っている。

 その効果のほどは、なかなかに良好だ。標準的なSRモード(AVC 8Mbps)はDRに対してエッジのシャープさこそ多少減退するものの、解像度感に大きな違いは感じられない。さすがにLRモード(AVC 3Mbps)以下は解像度感の低下が著しくなり、のっぺりした映像になってしまうのであまり推奨はできないが、基本はSRモード、地上波のバラエティーなど、見たら消してしまうような番組は、LSR(AVC 4Mbps)でも充分に楽しめる。シーン解析とそれに最適化したエンコーディングにより、長時間モードの録画画質が底上げされていることは間違いない。

基本デザインは従来機を踏襲しつつ、「電源/イジェクト」ボタンを前面から上面へ移動下(左)。2系統のHDMI出力に加え、D4、S端子、コンポジット、iLINKなどを搭載(中)。付属のリモコン(右)

映像だけでなく音の空間表現も良好

 音声出力の品質にも注目したい。先の4ミリ厚アルミ天板や偏心インシュレーターなど、強固なボディーデザインに加え、ジッターノイズを大幅に軽減して音質劣化を抑える「ジッタノイズ低減システム」をHDMI出力だけではなく同軸出力回路にも採用。加えて32bit対応DACや、信号に含まれたジッタをDACの直前に除去する「ジッタ・エリミネーション回路」、コンデンサから新開発することでさらなる低ノイズ化を実現した「画音質パルス電源」など、先代に対して大幅な改良が施されている。もちろん、映像と音声でそれぞれ専用のHDMI出力を用意する「HDMI AV独立ピュア出力」も引き続き採用している。

HDMIのAV独立ピュア出力端子と設定画面

 その結果として生み出されたサウンドは、解像度感が高く、ダイナミックレンジも広いため、とてもリアルに感じられる。とくにライブ映像などが顕著で、演奏の細やかなニュアンスから会場の雰囲気まで、見慣れた映像がまるで別物のように感じられる。ここまで録音されていたのかと改めて感心した次第だ。ちょっとした高級プレーヤーに肉薄する、素晴らしいクオリティーといえよう。これだけの音を聴かせてくれるのであれば、別途BDプレーヤーを購入する必要はなさそうだ。

 さらにヘッドフォン端子も重宝した。こちらのクオリティーもなかなかのレベルで、音楽に没入したいときはあえてこちらを使いたくなるほど。単純にヘッドフォン使用時にAVアンプのヘッドフォン出力を使わなくてもいいのはエコ的にありがたい。もちろん、テレビのヘッドフォン出力とは比べるべくもない。

ヘッドフォンの設定。オーバーヘッド型か、インイヤー型かも選ぶ

 また、こちらのヘッドフォン端子には、「VPT」と呼ばれるバーチャルサラウンド機能も搭載されており、まるで前方に置いたスピーカーから音が出ているかのような、自然な音場を楽しむことができる。もちろん5.1ch音声にも対応しているので、手軽にバーチャルサラウンド音声も堪能できる。実際の音は「VPT」をオンにするとSN感が多少減退するものの、大きな違いはないので、とくにサラウンド音声の映画などを楽しむときは、こちらを使うのもいいだろう。

 このようにBDZ-AX2700Tは、レコーダーとしての機能性とプレーヤーとしてのクオリティーを両立させ、どちらも十分にユーザーの期待に応えられる製品に仕上がっていた。従来機に比べると1つ上のステージに上がったようだ。ソニー製レコーダーから久々に名機と呼べる製品が誕生した、といえるかもしれない。

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