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初のオープン型はフラグシップ、シュア「SRH1840」登場

» 2011年12月06日 20時19分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 シュア・ジャパンは12月6日、同社初のオープンバック型のヘッドフォン2機種を発表した。ヘッドフォンアンプの併用を前提としたフラグシップモデル「SRH1840」と、一般的なポータブルオーディオで利用できる「SRH1440」をラインアップ。同社の岩崎顕悟社長は、「2009年に日本でヘッドフォンを導入して以来、ハイエンドモデルを求める声は多かった。もともとプロオーディオの会社なので“ハイエンド”の定義は難しかったが、ついに投入できる」と挨拶。全世界に先駆け、日本で発表したという。

シュア・ジャパンの岩崎氏と新製品の「SRH1840」

 同社のいう“ハイエンドの定義”は、音楽制作に携わるプロフェッショナルと、それを聴くコンシューマーが共通して求める音を提供することのようだ。発表のために来日した米Shureのアソシエイト・プロダクト・マネジャー、Michael Johns氏によると、ターゲットユーザーはサウンドエンジニアとオーディオファンの両方であり、音楽制作現場のニアフィールドモニタースピーカーに近い特性を持つという。

 「余計な色づけやひずみがなく、原音に忠実に再生する。エンジニアが意図した音がそのまま聴けるため、音楽ファンにも非常に喜んでもらえるだろう」(同氏)。

プレミアム素材をふんだんに使用した「SRH1840」

 SRH1840は、プレミアムな素材をふんだんに使い、軽さと耐久性を両立させたモデルだ。ヘッドバンド部は堅牢なデュアルフレーム構造として左右の均一性を保ちつつ、装着時の負荷を軽減する。フレームとハウジング部をつなぐヨークには「6061-T6」と呼ばれるアルミ合金を使用。「6061-T6は、航空機などに使用される“エアクラフト・グレード”の素材。強度が高く、軽量だ」(Johns氏)という。

ヘッドバンド部は堅牢なデュアルフレーム構造(中)、ヨークには「6061-T6」と呼ばれるアルミ合金を使用した(右)

 イヤーパッドにはベロア素材を採用してつけ心地にイヤーパッドは交換も可能。ケーブルはケプラー素材強化ケーブル(OFC)で、MMCXコネクターにより着脱が可能だ。パッケージには、交換用のイヤーパッドとケーブルが同梱(どうこん)されている。

イヤーパッドにはベロア素材(左)。ケーブルは脱着可能。MMCXコネクターではあるが、同社製イヤフォン用のケーブルとは凹凸が異なり流用はできない(中)。6角形パターンのステンレス製グリル(右)

 ドライバーユニットは、ネオジム磁石を採用した40ミリ径のダイナミックタイプ。スチール製のドライバーフレームでがっちりと固定しつつ、センター・ポールピースには通気孔を設けることで「ドライバー前後の均一性を高めた。これにより、音の質感が上がる」。ドライバーの背面にも空気の流れを制御するスクリーンを配置。これは周波数フィルターの役目も持つという。ハウジングの最外部には6角形パターンのステンレス製グリルを設け、強度と見た目を両立させた。

内部構造(左)と周波数特性(右)

 再生周波数特性は10〜3万Hz。Johns氏は、「グラフを見てもらえば分かるが、ダンプはまったくない。中域はあくまでフラットで、高域にかけて伸びのある特性だ。ディティールを保ちつつ、優れたオーディオスペクトラムを持つ」と胸を張る。なお、インピーダンスは65オームで、音圧感度も96dB/mWのため、ヘッドフォンアンプとの併用が前提となる。

 「最大許容入力が1000mW(1ワット)という点も重要。現状、1ワットもの出力を持つヘッドフォンアンプは存在しないため、どんなアンプでも安心して使えることになる」(Johns氏)。

適度な遮音性も確保した「SRH1440」

 一方のSRH1440は、オープンバック型の良さを保ちつつ、適度な遮音を実現したというモデルだ。ネオジム磁石採用の40ミリダイナミックドライバーや強固なハウジング、リアダンパースクリーンなど上位モデルに準じた構造で、異なる部分としてはヘッドバンドがスチール製でシングルフレームになっていること、また低反発性のフォーム材を使用したイヤーパッドなどが挙げられる。

SRH1440はスチール製のシングルフレームヘッドバンドを採用。重量は上位モデルより少し重い343グラムとなっている

ベロア素材のイヤーパッドやケーブルは着脱可能

 また、音圧感度は101dB/mW、インピーダンスが37オームと、SRH1840に比べて一般的な数値になっている。「周波数帯域の全域にわたって感度が高く、iPodなどのポータブルデバイスでもドライブしやすい」。プロやセミプロ向けに開発されたSRH1840に対し、より幅広いコンシューマーを対象にしたモデルがSRH1440といえそうだ。

SRH1440の周波数特性(左)。Michael Johns氏と米Shureのモニタリング・カテゴリー・ディレクターのMatt Engstrom氏(右)

 周波数特性は、「低域から緩やかに上ってスムーズな中域。低音をオーバーに再現することはない。また7000Hzあたりが少し上がっているが、これによってヴォーカルやインスツルメンツでは鮮明な音になる」という。

 そのほかの主な仕様は下表の通り。なお、価格や発売時期は未定としているが、シュア・ジャパンの岩崎社長は、「SRH1840は7万円前後、SRH1440は4万円前後になる見通し」と話していた。

型番 SRH1840  SRH1440
型式 ダイナミック型
ドライバー 40ミリ径
周波数帯域 10Hz〜30000Hz 15Hz〜20000Hz
音圧感度 96dB/mW 101dB/mW
インピーダンス 65オーム 37オーム
最大許容入力 1000mW
コネクター 3.5ミリステレオミニプラグ(金メッキ)
ケーブル 両だし、着脱式ケーブル(OFC)、2.1メートル
折りたたみ機構 なし
重量 268グラム(ケーブルのぞく) 343グラム(ケーブルのぞく)
付属品 交換用ケーブル(2.1メートル)、交換用イヤーパッド、標準プラグアダプター、ジッパー式保管用ハードケース
価格 未定(7万円前後になる見込み) 未定(4万円前後になる見込み)
発売時期 未定

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