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重いだけのことはある? ディーガのトップエンド「DMR-BZT9000」を試す(3/3 ページ)

» 2011年12月13日 20時25分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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最上級を追い求めさらに進化した映像

 「DMR-BZT9000」ならではのアドバンテージといえば、新設計の筐体。3層ベースシャーシによる低重心化や、3.5ミリ厚のアルミ押出し材を採用したトップパネル、アルミ押出し材のサイドパネルによる剛性強化など。一般的なレコーダーとは隔絶の感がある、高級プレーヤーに匹敵する徹底的な作り込みによる低振動/高剛性ボディーが与えられている。

天板は3.5ミリ厚のアルミ。アルミ押出材を使用するサイドパネルはL字型になっていて、内側から天板にビスどめして剛性を確保する凝った造りだ。セラミック製のインシュレーターで足元を固めたほか、電源ケーブルも極太仕様

 またシステムとしても、「UniPhier」が全体をくまなく制御、動作モードに応じて不要な回路を停止させる「インテリジェント ローノイズシステム」を搭載。「出たノイズを抑える」のではなく「初めから出さない」ことで、映像や音声に影響を与えるデジタルノイズの発生を低減しているという。

 実際のBD再生映像は、確かに素晴らしいものだった。階調表現がとても細やかで、さらに色合いがとてもピュア。おかげで、色ノリがよく、発色も美しい。なかでも人肌は、自然な色調でありながらも、血色が良好な生き生きとしたイメージで表現されている。ピークは変わらずとも、そこに至る表現が細やかになることで、ここまで表現力が増し、まぶしくすら感じるようになるのかと感心した次第だ。

 また階調表現の細やかさは、最暗部の表現にもかなりの粘りを与えている。しかも、単純に階調が細やかなだけでなく、色合いまでもが豊かに感じられるのだ。映画など全体的に暗いトーンの映像を見ると、細部までよく見えるうえ、色合いもはっきり伝わってくるため、映像の立体感とリアルさが格段に高まってくれる。レコーダーとは思えないばかりか、中堅どころのプレーヤーでもここまでの繊細さで映像を再生してくれるのはまれだ。もはや1年半前の「DMR-BWT3000」とは、まったくの別物となっている。

 3D映像に関しても、良好な再生画質を見せてくれた。なかでも映像の飛び出し量や奥行感を自在にコントロールできる「3D奥行コントローラー」はなかなかに使い勝手がよい。とくにマイナス調整(奥行き感を強調)はプロジェクターなどの大画面と相性がよく、深い奥行き感を違和感なく表現してくれる。積極的に利用したくなる機能だ。

オーディオプレーヤーとしても充分活用できる音質

 音声についても、なかなかの好印象を持った。基礎体力の高さと、余計な回路はすべてカットオフするという徹底的なこだわりから生まれるピュアサウンドは、先代に対しても着実なベースアップを感じるし、ましてや「DMR-BWT3000」とはまったく別物(しつこくて失礼)のレベル。イメージとしては、ピュア度が高く、ニュアンス表現が丁寧なサウンドといったところだろうか。

HDMI出力はメインとサブの2系統、アナログ入出力端子はすべて金メッキ仕様だ

 映像/音声の出力を分けたHDMI接続でAVアンプと接続、試聴してみると、ロックのライブ映像などは演奏全体がバランスよくまとまりつつも、各楽器や客席の歓声などがきれいにセパレーションされているので、ステージのリアリティー感をいつもより高めてくれる。一方で、ピアノなどのアコースティック楽器は、音色が素直なうえ響きもきれいなので、聴き心地がよい。音楽CDプレーヤーとしても、充分に活用できるレベルだ。

 このようにDMR-BZT9000は、最新BDレコーダーならではの高機能とともに、クオリティー面でもかなりの優秀さを誇る、フラッグシップにふさわしい製品であった。先代と比較しても確実に進化しており、まして数世代前に対しては圧倒的なレベルに達していることが確認できた。派手な機能的アップグレードはなく、「あとから変換」などいくつかの不満点もあるが、それを補ってあまりある魅力を持つ製品であることは事実だ。とくに筆者のような、旧世代の製品を持つものにとっては、悪魔のごとく甘い誘惑を持つ製品に見えるだろう。

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