薄型テレビはどうなる? 「2012 International CES」で見えてきた2つの新しい潮流本田雅一が検証(2/3 ページ)

» 2012年01月30日 10時00分 公開
[本田雅一,PR/ITmedia]
PR

情報量の多い3Dや4Kはネット配信が有効

 テレビのスマート化に関しては、実はコンテンツ提供者も積極的になる理由がある。テレビ局や映画会社は、ネットワークを通じて提供される情報を、新たなビジネスへとつなぎたいと考えているからだ。単に放送するだけでなく、出演者が使っているアイテムの購買へとつなげたり、関連コンテンツのビデオ配信に誘導するなど、使い方はさまざま。「単純にVoDに対応しただけではスマートテレビと呼べない」ということはスマートテレビ研究会のスタート時から指摘してきたが、現在の状況はそれを裏付けている。

「2012 International CES」のシャープブース。NHKと共同開発した8KディスプレイをCES初披露

 例えばテレビ番組やネット動画を見るとき、関連情情報を引き出せると、視聴者はテレビを見る楽しみが増え、内容を理解するための助けになったりと利便性が高まる。またショッピングサイトへの誘導なども、人によっては便利な機能だと感じるはずだ。映画などのネット配信が本格化し、低価格化も始まったことも合わせ、この流れはさらに強まると見ている。

 さらにもう1つ。今回のCESで多かったのが、3Dコンテンツの映像配信サービスに関するアナウンスだ。日本ではいまひとつ盛り上がりに欠ける3Dだが、実は日本以外の地域では利用者がかなり増えている。3Dテレビがミドルレンジまで落ちてきたことも理由だが、3Dテレビ放送がコンスタントに行われている国が増えてきたこともあるだろう。

 また、今年7月に開幕する「ロンドンオリンピック」は、日本を除くほとんどの地域(中東、アジア、中国、韓国、南米も含む)で3D放送が予定されており、さらに視聴者の幅が拡がることが予想される。とはいえ、放送波の帯域で届けられる“サイド・バイ・サイド”(画面を左右に分割して解像度を犠牲にしながら3Dを実現する方法)では、3Dの品位向上に限界がある。また3D専門チャンネルを作るにしても、放送でチャンネルを増やすことは簡単ではない。このため、ネットワークによる映像配信で3Dを提供する方法が有力視されている。

 3Dの品質(情報量)を優先するなら、現状ではフルHDのフレームシーケンシャル表示がベター。情報量は単純計算でサイド・バイ・サイドの倍となるが、ネットであれば帯域幅が足りなくてもキャッシュしたり、丸ごとローカルにダウンロードする手段もある。またスマートテレビ研究会でも以前取り上げたように、右目用の映像は放送波で、左目用は通信で伝送するといったアイデアもある。実用化されれば、放送波で伝送する情報は通常のフルHDコンテンツと同等になる。

もっと大きく、もっと美しく――王道の進化も続く

 もう1つの傾向として、今回のCESでは”高画質”に対するニーズが、実は想像以上に高いのではないか? と感じさせる場面が少なくなかった。海外メーカーは、デザインを中心にした訴求を強めており、高画質化に関してはあまり大きな関心を示していないことが展示の中からも分かる。しかし、複数のメーカーが展示した有機ELなどの新パネルをはじめ、シャープが昨年の「CEATEC JAPAN」に続いて展示したI3(アイキューブド)研究所の映像処理技術「ICC」を使ったシアターデモなどにも関心が集まった。

「4K+ICC」の展示に多くの人が集まった(左)。日本未発売の80V型Quattron(クアトロン)も登場(右)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:シャープ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2012年2月19日