同社技術陣によると、エリアコントロールアルゴリズムの改良とS-LEDに用いる導光板の変更により、この漆黒と精妙な暗部階調を実現したという。また、前世代機から発光レベルも35%アップしたとのことで、確かに白の輝きも鮮烈だ。
いっぽう色再現にはもう一頑張りを望みたい。とくに赤の見せ方がやや単調で、紅、茜色(あかねいろ)、緋色(ひいろ)といった深い赤をもう少しきちんと描き分けてほしいと思う。
また、もう1つ指摘しておきたいのは、本機のデザインと仕上げの美しさである。アルミニウムをサンドブラスト処理した狭額ベゼルの質感もよいし、ネックを短くした楕円型スタンドとのバランスもみごと。まさに使い飽きしない、買って置いて満足感の得られるテレビだと思う。
さて、46インチというと、世間一般の感覚では12〜16畳くらいの広さのリビングルームにマッチする大画面テレビという認識だろう。だが、ぼくはそうは思わない。46インチ・クラスこそ6畳程度の狭小空間に置いて、部屋の照明を抑えて(できれば50ルクス以下の間接照明で)、一人じっくり映像作品と対峙するパーソナル・ユースで楽しんでほしいと思う。
思い出してみよう。精細度の高いハイビジョンテレビの最適視距離は、人間が映像から迫力を感じ始める視野角30度が得られる3H(画面高の3倍)だということを。本機の画面高を測ると58センチ。その3倍はたったの174センチなのである。これくらい画面に近づいて、部屋を暗くして映像モード『シアタープロ』を選んで観ると、誰もが本機で観るハイビジョン映画画質の凄さに驚くことだろう。
そう、大型テレビで映画を観ると楽しいということは世間一般に認知されてはいるけれど、実際にはその製品のほんとうの観方、実力を知らないまま使っておられる方はひじょうに多い。登場から6年経ったBlu-ray Discが伸び悩んでいるのも、じつはそんなところに遠因があるのかもしれない。(友人知人宅でよく見かけるケースだが)500ルクス前後の明るい部屋でテレビから5〜6Hほど離れて観る場合、BD(ハイビジョン)とDVDの画質の違いが認識できないという人は多いのではないか。とくに精細感の違いは、画面に近づかなければ絶対分からないはずである。
また本機は、音の貧弱な大画面テレビが多いなかで、音質面でも頑張っている。音響パワーイコライザー「CONEQ」を採用して、ドライバーユニットの非力さをうまく補っているのだ。しかし、本機の画質のよさにバランスさせるためには、昨今増え続けている良質な小型スピーカーを組み合わせて、ぜひ本格的なホームシアター・システムを構築してほしいとも思う。英KEFの「R100」(ペアで9万4000円)や米JBLの「4306」(ペアで14万2800円)などの小型スピーカーは、本機と組み合わせるのにまさにピッタリではないかと思う。
本機を中心に音のよいAVシステムを組み上げて、6畳程度の狭小空間を男の趣味部屋に仕上げ、良質な映画BDを観たり、ハイレゾミュージックファイルを聴く生活。そういうの、絶対かっこいいと思うけどなあ。
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