シャープが目指す“ロボット家電”は、人工知能や音声認識、センサー、スマートフォン連携といった先進技術を活用し、家事代行のみならず「快適かつ安心感のある暮らしを提供する」というコンセプトを持っている。このため、COCOROBOはスマートフォンにも使われる処理能力の高いプロセッサを搭載し、無線LANや130万画素カメラ、USBポートなど、従来の掃除機では考えられなかった装備を持つ(上位機のRX-V100のみ)。当然、ランドリー事業部だけでは対応できない部分も多く、開発にあたっては、「社内からスマートフォンやクラウドサービスを担当していた人員を集めた」という。
COCOROBOのために開発された人工知能「ココロエンジン」は、ユーザーが親近感や愛着を持ちやすい行動をとるようにプログラムされている。例えば、人間と同じようにそのときの状況によって気分が変わるという。
「きれいにして」と呼びかけた時、機嫌が良いと体を動かし(ダンス)、LEDを点灯しながら「ワカッタ♪」と明るく答えるが、気分が普通のときは「ハイ」、機嫌が悪いと「ハイハイ」。気分を左右するのは、部屋の温度、空気の状態、充電状態といった条件で、とくに前に掃除してから時間が経っていると機嫌が悪くなるようだ。
「ユーザーが予想しない反応をすることで、明日も使ってみようという気持ちにさせる。家事の代行だけではなく、人に寄り添うロボット家電を目指した」(同社)。
音声認識には、雑音に強いレイトロンの技術を採用した。認識できる言葉は30種程度と限られるが、一方でCOCOROBOのセリフはおよそ50種類あり、それぞれ中国語と英語、日本語(標準語)、そして関西弁という4言語(?)で話すマルチリンガル仕様だ。日本語に設定していても、ほかの言葉で独り言を言ったりするらしい。
ほかにも、ユーザーの声を録音し、指定した時刻に再生する「伝言」機能や、定型文を指定するとCOCOROBOの声で発声する「読み上げ」機能も用意した。定型文には「ごめんね」「はやく寝なさい」「おつかれさま」「愛してる」などがあり、家族で便利に使えるかもしれない。
スマートフォン連携もユニークだ。発売と同時期に提供予定の専用アプリ(Android/iOS版)を使えば、COCOROBOをリモート操縦して家の中を動き回りながら、内蔵カメラでVGAサイズのリアルタイム映像を確認できる(おうちでカメラ機能)。
また専用のクラウドサービスを使い、外出先から宅内の様子を確認できる「おそとでかんさつ」機能も用意。インターネット越しのため静止画になるものの、COCOROBOが90度ずつ回転しながら4方向の写真を連続撮影してくれるため、室内の様子が分かりやすい。「カメラの視点は低いが、ケージに入ったペットの様子などは確認できるだろう」。
シャープが目指すロボット家電には、「バージョンアップ」という要素も含まれている。「これまで、バージョンアップといえば情報機器が中心で、家電にはあまりなかった。しかしCOCOROBOは、ソフトとハードの両方がバージョンアップできる」という。
現在のところバージョンアップの具体的なスケジュールはないものの、例えばソフトウェア面ではボイスコミュニケーションに使う音声の変更など、またハード面ではUSBポートに接続する赤外線(Ir)インタフェースの提供が想定されている。赤外線インタフェースを装着すると、外出先からCOCOROBOをリモート操作して自宅の照明をオン/オフしたり、帰宅前にエアコンのスイッチを入れておくといったことも可能になるだろう。また映画やアニメなどとコラボレーションすれば、音声や外装デザインを変えたキャラクターモデルも展開も考えられる。
日本の家屋に適した実用的なロボット掃除機であり、親しみやすい愛玩ロボットでもあるCOCOROBO。今後の発展性にも期待できるロボットが登場したといえそうだ。
型番 | RX-V100 | RX-V80 |
---|---|---|
掃除方式 | 高速回転ターボファン、パワーブラシかき出し、サイドブラシ×2 | |
ココロエンジン | ○ | ○ |
ボイスコミュニケーション | ○ | なし |
対応言語 | 日本語(関西弁も可)、英語、中国語 | 日本語(関西弁も可) |
音声ガイダンス | 日本語(関西弁も可)、英語、中国語 | 日本語 |
無線LAN | ○ | なし |
カメラ | ○ | なし |
LEDライト | ○ | なし |
USBポート | ○ | なし |
外形寸法 | 346(幅)×346(奥行き)×96(高さ)ミリ | |
重量 | 約3.3キログラム | |
実売想定価格 | 13万円前後 | 9万円前後 |
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