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「春のヘッドフォン祭」で見つけた注目の新製品野村ケンジのぶらんにゅ〜AV Review(1/2 ページ)

» 2012年05月18日 00時01分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
ヘッドフォン祭の会場には見逃せないものがいっぱい

 いやもう、ホントにびっくりだ。5月12日に開催された「春のヘッドフォン祭 2012」。「スタジアムプレイス青山」の4フロア(7階から10階まで)を使いきるまでに至った展示会場は、すでに1日では回りきれないスケールに達しているが、HiFiMAN(ハイファイマン)やALOの社長がブースにいたり、会場を回っていたらSHURE「SRH1840」の開発者にバッタリ出会ったりと、海外からの注目度もずいぶん高まっている様子。

 うわさによると、すでに“世界最大のヘッドフォンイベント”といえる規模になっているらしい。時流があってこその盛り上がりとはいえ、なんとも素晴らしいかぎり。主催するフジヤエービックには、大いに感謝したい。

 それだけ注目度の高いイベントだけあってか、会場内の各ブースには、新製品や発売予定の製品がズラリと並んでいた。どれも興味をひかれるものばかりで、すべてをくまなく紹介したいところだが、膨大な数になってしまうため、今回はそのなかでも大いに注目を集めた(そして短時間なりにも試聴して確かな手応えを感じた)製品を紹介していこう。

ゼンハイザー「HD 700」

 「春のヘッドフォン祭2012」で、最も注目を集めていたのが、ゼンハイザーの新型高級ヘッドフォン、「HD 700」だ。型番から推測できるように、フラッグシップ「HD 800」と、人気モデル「HD 650」の中間位置する製品で、こと外観についてはHD 800に近い印象だ。

ゼンハイザーの「HD 700」

 しかしながら、よく見ると全くの別物。サウンドも独自の傾向を持ち、HD 800の超絶解像度趣向でも、HD 650のモニター系でもない、ナチュラルテイストといえるイメージを持つ。HD 650以上の解像度感や空間表現の巧みさを持ちつつも、いい意味でフラット志向の、聴き心地の良い音色が光る。どことなくHD 650の前身、HD 600に音色傾向の雰囲気はにているが、クオリティーはかなりレベルアップされている。向こうでの価格は、1000ドルをやや下回る程度なので、日本では10万円前後かと思ったが、もう少し下の実売価格になりそうだ。

デノン「新カナル型イヤフォン」

 デノンも、夏以降に発売予定の高級ヘッドフォンとカナル型イヤフォンの2モデルを、型番未定ながら先行発表した。このうちカナル型イヤフォン「AH-C××」は、BAドライバーを2基搭載、レイアウトや(ハウジングに亜鉛ダイキャストを採用するなど)素材に工夫を凝らすことで、クオリティーレベルの高いサウンドを実現しているという。

デノン「新カナル型イヤフォン」

 サンプル機を試聴してみると、つい「デノンらしい」と表現したくなるような、芯が強く輪郭のはっきりした、グルーブ感の高いサウンドを聴かせてくれた。カナル型イヤフォンでこういったテイストは、めったにお目にかかれない。既存のデノン製イヤフォンでも、ここまでのしっかり感はこれまで味わえなかった。最終調整でどこまで良くなるのか、期待したい製品だ。

TDK Life on Record「MA700」

 イメーションのブースで興味を引かれたのが、この夏あたりに発売予定となっている、新型カナル型イヤフォン「MA700」だ。こちらの製品、“マグネチックアーマチュア型”というイヤフォンの世界ではまったくといっていいほど見かけない、珍しい形式のドライバーを採用している。

TDK Life on Record「MA700」

 話を聞くと、警察無線などでよく使われるタイプのようで、人の声が明瞭(めいりょう)に聞こえる特長があるという。筐体も仮のもので、音質的にもまだまだ仕上げ前の段階だが、ヴォーカルの突き抜け感の良さに良好な手応えを感じた。BA型ドライバー搭載モデルとしては破格のコストパフォーマンスを示す「TH-ECBA700BK」とほぼ同じ(6000円前後)価格も大いに期待ができる。

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