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アプリでテレビを楽しもう、テレビ局の提案(その1)本田雅一のTV Style

» 2012年06月26日 17時23分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 この記事を書いている6月25日には、日本テレビ放送網が「PON!」でソーシャルTVサービス「JoinTV」(ジョインティービー)の第2弾を放送した、はずだ。以前よりもパワーアップしたそうで、楽しみにしていたのだが、見逃してしまった。今週のPON!は、すべてJoinTVでの放送になるようなので、機会があれば見てみるといいだろう。

PON!の画面イメージ。自分と友達の星座や今日の運勢が表示される

 さて、このようにテレビ本体機能以外のところで、スマートテレビ的動きが目立っているのは興味深い。先日、幕張メッセで開催された「IMC TOKYO 2012」(Interop Media Convergence)でも、テレビ放送各局が、スマートフォン連携について、いくつかの提案を行なっていた。

 個人的に興味深く見ていたのが、フジテレビジョンの「テレコアプリ」と日本テレビ放送網の「wiz tv」の2つ。この2つは、どちらもスマートフォンを使ってテレビを面白くというアプローチなのだが、”スマートフォンを使う”という部分は同じなのに、そのコンセプトは真逆だからだ。

テレビ連動でコンテンツプッシュする「テレコアプリ」

 最初はテレコアプリから(余談だが、スカパー!の運営する『テレコ!』に対応する『テレコ!アプリ』とは別もの)話を進めよう。

 テレコアプリは、音声ウォーターマーク技術を用いて、特定のコンテンツをスマートフォン上に表示するというものだ。テレビを見ているときにテレコアプリを起動していると、画面に直接コンテンツが届く(ように見える)。

フジテレビの「テレコアプリ」

 音声ウォーターマークとは、音声の中に埋め込まれた、聴感上は気づかない印のこと。水に濡らすと浮かび上がる、普段は読めない印をウォーターマークというが、それと同じように特別なデコーダーを介さないと、埋め込まれた情報を取り出せない。

 テレコアプリはスマートフォンのマイク入力をモニタリングし、ウォーターマークとして埋め込まれたURL(?)を参照して情報を取り出す。と、こんな具合で機能する。ウォーターマークを活用したスマートフォン連携は、1月の「International CES」でもいくつかの技術が展示されていたので、それらを活用したものと推察される。

 単に番組の進行に合わせてコンテンツをプッシュするだけならば、わざわざウォーターマークを使わなくとも、あらかじめタイムテーブルに沿った形でキュー・データ(コンテンツ出しのタイミングを書いたデータ)をネットにおいておけばいい、という気もする。ただし音声データと連動させていれば録画視聴でもキュー出しができるので、あるいはそうした点を重視したのかもしれない。

 しかし、最初に「アイドリング!!」を使った特番でデビューした後、テレコアプリの次の番組が見えていない。番組制作と同時にプッシュするコンテンツを作らねば、企画として成り立たないのがテレコアプリの悩みどころといえるだろう。

ネットで盛り上がっているテレビ番組をビジュアル化する「wiz tv」

 一方のwiz tvもセカンドスクリーンアプリではあるのだが、かなりこれまでのセカンドスクリーンとはアプローチが異なる。wiz tvは、番組の中身と連動するのではなく、テレビ番組を見た視聴者が、ソーシャルネットワークの中でどんな反応を示しているのか? を可視化するツールだからだ。

放送中の番組で評判をチェックしたところ。どのぐらい盛り上がっているかを数値化したグラフが表示される(左)。Twitterのコメントも表示可能(右)

 起動するとキー局すべてについて、各局の番組でどのぐらい盛り上がっているかを数値化したグラフが表示される。この数値(指数)は、ツイッターで流れるハッシュタグの数や、番組名入でつぶやかれている数、Facebookの「いいね!」クリック数などなど、さまざまな要素が盛り込まれ、日々、調整がかけれられている。

 そして、この盛り上がりグラフと同期して、その時につぶやかれていたTwitterのコメントを表示することが可能だ。グラフはスクロールさせてさかのぼることができるため、何か盛り上がっている場所を見つけたなら、そこへとさかのぼってコメントを見ると、ちゃんとその時間前後に、そのチャンネルに対してつぶやかれた内容が表示される。

サッカーの試合で過去にさかのぼってコメントを確認したところ。何で盛り上がっていたのかが分かる

 現在はもちろん、過去にさかのぼって番組を中心にした場の盛り上がりを共有できるツールといえるだろうが、同時に”面白そうな番組を発見するためのツール”ともいえるだろう。日本テレビの開発だが、実際のグラフでは別の局がトップを取っていることも多く、確かにSNS界隈での話題と同期しているように感じる。

 今後は音声フィンガープリントを用い、録画番組を見ながら、まるで同じ時間を共有しているかのようにTwitterのコメントを時系列で楽しめる機能も盛り込むそうだ。フィンガープリントとは、音声データの特長を検出する機能で、どのテレビ局のどの番組の、どのタイムコードの場所かを特定できる(フィンガープリントのサービスは、別途NTTデータが提供するとのこと)。

 では、この2つのサービス。なぜ、どこが真逆のアプローチなのだろうか?(次回に続く)

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