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とうとう全国ネットで放送される「JoinTV」、仮想世界「OZ」にログインしてみる?本田雅一のTV Style

» 2012年07月12日 14時42分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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 今週からは海外での放送事情とテレビを……と思っていたのだけど、突然、この春まで僕が出演していた日本テレビ「iCon(関東ローカル)」の元プロデューサーから連絡。「”JoiNTV”が、”JoinTV”になったんですよ〜」とのこと。彼はJoiNTVの企画を行った人物でもあるからだ。

 なんだ、名前が変わっただけ? と思ったのだけど、実はここに深い意味があった。JoiNTVが全国ネットでの放送を行うのに伴い、”NTV"(日本テレビ)を強調しないJoinTVとなったということ(細かい!)。これで関東エリア以外の人たちも、JoinTVがどんなものかを理解するチャンスが出てくる。この連載ではすでにJoiNTVを2回も取り上げてきたので、もう一度取り上げるのはどうか? と思ったが、ちょうど書きたいこともあったので、ものはついでで紹介したい。

 JoinTVがどんなサービスかは過去の記事を読んでいただくとして、新たに全国放送で実験されるのが、アニメ映画「サマーウォーズ」の世界観とFacebookの接続を、JoinTVを用いて行うというもの。7月20日の「金曜ロードSHOW!」をJoinTV対応として、サマーウォーズの中に出てくる仮想世界「OZ(オズ)」に、Facebookアカウントを通じてログインしようという趣向だ。利用するには、あらかじめJoinTVに登録しておく必要がある。

「サマーウォーズ」に関するクイズに参加できる。左は友達の回答を集計したところ(左)。ランキングも作成される(右)

 JoinTV登録してサマーウォーズを見ると、同じ番組を見ているFacebook上に登録されている友だちがテレビ画面に表示され、サマーウォーズに関するクイズに参加、友だちの間でクイズで得たOZポイントを競う「友だちランキング」などが見えるようになっている。最後には溜めたOZポイントやを使ったプレゼントや、参加者全員が申し込めるプレゼント企画に番組中から応募できる(→番組情報)。

NTVが検証した「OZ」とFacebookの類似性

 と、今回のニュースはここまでなのだけれど、書きたいと思っていたことは、まさにJoinTVのやり方の部分と関連している。BMLというHTMLのサブセットを使い、Webアプリケーションを動かせるテレビは、日本に1億台が存在している。すでにそこにあるテレビなんだから、それを使ってできることはやればいいじゃない、というのが、私がJoinTVを好意的に見ている理由だ。

 これを「テレビなんて見ない。ネットでやるべき。ニコ生に流せ」と言っても始まらない。放映権など権利処理の問題もあるが、多数の世帯に対して同じコンテンツを同時に流し込むのなら、通信より放送の方がはるかに効率的という側面もあるからだ。

 スマートフォン、PC、タブレットなどを中心に、ネットコンテンツばかりを楽しんでいると、テレビという媒体がとてつもなく旧態依然とした古いものに思えてくる時がある、というのは、同じことを考えたことがあるから理解できる。しかし、両者は特性がそもそも違うのだから、現時点で比較したところで優劣など決められるわけではない。

 それよりも、各々が得意な分野で番組を整備し、より多くの人が楽しめるよう、それぞれの立場でやればいいじゃないだろうか。多くの世帯に届ける電波をトリガーに、番組とネットワークサービスが結びつくという取り組みは放送局ができる最大限の努力だろう。

 それに実際のところ、テレビの視聴時間を分単位で調べると減っているという指摘もあるが、週に四日以上、テレビを見ている人、という設問では10年前と比べても1.2%下がった程度であまり変わっていないという調査もある。”通信 v.s. 放送”というではなく、それぞれが適したホームエンターテインメントの組み上げ方があるんじゃないかな?

 さてこのJoinTV、前回のコラムでも述べたように、タイプとしてはフジテレビのテレコアプリと同じく、番組制作スタッフと協業しながら番組企画と一緒に作り込むタイプのサービスだ(ただし、スマホのアプリはない)。今後も、同じような取り組みで、全国ネットの実験を何度もできるの?というと、なにやらまだ続けざまのアイデアがあるようだ。

 個人的には、そろそろ友だち同士のコミュニケーションやソーシャル視聴といった、ゆるやかな連携から一歩踏み出して、もっと積極的に番組横断的なゲームを企画するなど、次の一歩へと踏み出してほしい。そういえば、同じようにBMLを使った番組企画をやりたいと話していた別の在京キー局はどうしたのだろう? トライアルをしなければ、ノウハウは溜まらない。そろそろ別アプローチのライバルも登場してほしいところだ。

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