画質はどうか。試聴環境をほぼ全暗にして47V型の「47Z7」の映像モードを「映画プロ」に設定、最近お気に入りの「マリリン・ザ・プレミアム/ブルーレイ・コレクション」の中から4Kマスタリングを経た「紳士は金髪がお好き」(1953年)を観てみた。
このBlu-ray Discは、まるで動くカラー印刷を見ているかのような超高画質作品で、約60年前の映画であることがにわかに信じられないS/Nのよさ。47Z7の「映画プロ」モードは、その魅力を見事に浮き彫りにし、間然とするところがない。ただし、往年の三色法テクニカラー作品のノスタルジックな味わいが十分に引き出されているかというと、そうともいえないことに気づく。
そこで、同社画質エンジニアと一緒に「マリリン画質モード」を仕上げていくことにした。まず調整項目の「色詳細調整」に入り、色温度を「映画プロ」モードのデフォルト値である02(D65)から00(5800ケルビン相当)に落とし、映画館のキセノンランプを彷彿させる濃厚なムードを演出する。それに加えてテクニカラー的な発色を狙って、色の濃さをデフォルトのー10からー6まで上げてみた。こうすることで、「映画プロ」モードで唯一不満に思えた色再現が大きく向上し、先述した往年の三色法テクニカラー作品のノスタルジックな味わいが楽しめるようになったのである。
それからもう1つ裏技を。この「紳士は金髪がお好き」のような超高S/N BD作品では、プロ調整項目の「1080p 画質モード」を『オート』から『モニター』に変更するとよい。こうすることで「3次元NR」と「3次元フレーム超解像」がパスされ、Y:Cb:Crがそれぞれ12ビットの色差信号がダイレクトに入力されるようになり、よりいっそう目の覚めるような高画質が実現されるのである。
Z7シリーズを購入した方で良質な12ビット4:4:4出力が可能な高級BDプレーヤー/レコーダーをお持ちの方はぜひ試していただきたい。
さて、47Z7は偏光方式の3D再生機能を有しているので、9月28日発売の4KマスタリングBlu-ray 3D作品「タイタニック」を軽いパッシブ3Dメガネをかけて観てみた。
この作品は2D→3D変換処理されており、あらかじめ3D演出がされているわけではないのだが、なかなかどうして実に見事な立体映像効果が随所で味わえる。ジャック(レオナルド・ディカプリオ)がローズ(ケイト・ウィンスレット)の客室で彼女の裸婦画を描くシーンを中心に観てみたが、配置演出が周到で3Dならではの立体感が存分に味わえた。
パッシブメガネ越しに観る47Z7の3D画質もきわめて快適だ。アクティブシャッター方式の3D画質と異なり画面が大きく暗くなることはなく、色相の偏差も少ない。
偏光方式の3Dは、画面上の偏光シートによって左右それぞれ垂直540画素の映像が水平に1ラインごと振り分けて表示される方式なので垂直解像度が足りず、スダレ越しに映像を観るイメージとなる。そんなわけで、本機で3D映像を観るときは、最低でも3H(画面高の3倍)くらいまで離れて観ることをお勧めする。
音質については、東芝オリジナルのサウンドイコライザーが新規搭載されたのが注目ポイントだ。信号波形の時間軸上の忠実な再現を目指したインパルスレスポンス改善技術や画面下から音が聴こえる違和感を緩和する音像補正技術が盛り込まれており、その意欲はおおいに買いたい。しかし、映画視聴を第一に考えるなら、最新のAVアンプとそれに見合うスピーカーを組み合わせて楽しんでいただきたいと思う。
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