一方の「L1」は、アラウンドイヤータイプのセミオープン型ヘッドフォン。ドライバーは「M1」と同じ40ミリ口径を採用しているものの、ハウジング固定リングだけでなくハウジングやヘッドバンドなどにもアルミ素材が採用され、ヘッドバンドカバーにも本革が採用されるなど、外観的にはさらなる上質感が漂うスタイルに仕上げられている。
一方、装着感に関してもなかなかの良好さを保っている。「M1」に比べると側圧はやや高めなものの、イヤーパッドが柔らかく触り心地も良いためか、長時間の使用にも締め付け感による疲労は全くといっていいほど感じなかった。
加えて、意外に思ったのが音漏れの量だ。セミオープン型なので、結構盛大な音漏れがあると予想していたのだが、実際はそれほどでもなかった。電車内で使うのはさすがにはばかれるが、騒音レベルの高い場所であれば、野外でも使えるかもしれない。とはいえ、やはりある程度の音漏れはあるので、基本的には室内での使用がメインといえる。
なお、ケーブルは「M1」と同じくヘッドフォン本体から10センチ強の直付ケーブルが出ている着脱タイプ。ただし、付属のケーブルは「L1」のデザインに合わせてコネクター部がシルバーになっているほか、iPhone/ iPod/ iPad 対応のマイク付きリモコン(リモコン部もシルバーカラーになっていてデザインも「M1」とは異なる)と標準ケーブルの2本が付属している。
何という、素晴らしいサウンドだろう。フォーカス感がとても高く、格段に多い音数と広がり感のスムーズさによって、演奏のすべてが細部まで漏らさず伝わってくる。メリハリの表現はややぶっきらぼうだが、それがかえって演奏のノリや勢いの良さをさらに増してくれている。音質としての良好さはもちろんのこと、音楽性にとても豊かなサウンドを聴かせてくれるのだ。おかげで、聴き慣れたはずの曲が普段よりも数段気持ちよく楽しめる。まるで演奏者がノリノリでプレイしているかのよう。これはいい。
2012年は、素晴らしいクオリティーを持ち合わせるミドルクラスのヘッドフォンが次々と登場しているが、そんな数多あるライバルのなかでも、こと音楽性の豊かさ、演奏の“熱さ”においては一歩抜きんでた存在だと思う。とくにハードロックやジャズ、J-POPに関しては、かなり良好な相性を見せる。そういったジャンルをメインに聴く人にとっては、とても魅力的な製品と感じるはずだ。その証拠といっては何だが、ハードロックをよく聴く筆者もこの魅力にやられ、「L1」の導入を決意したことを報告しておこう。
音質評価 | M1 |
---|---|
解像度感 | (粗い−−○−−きめ細かい) |
空間表現 | (ナロー−○−−−ワイド) |
帯域バランス | (低域強調−○−−−フラット) |
音色傾向 | (迫力重視−○−−−質感重視) |
音質評価 | L1 |
---|---|
解像度感 | (粗い−−−○−きめ細かい) |
空間表現 | (ナロー−−−○−ワイド) |
帯域バランス | (低域強調−○−−−フラット) |
音色傾向 | (迫力重視−−○−−質感重視) |
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