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見た目からは分からない進化、ポータブルヘッドフォンアンプ“Fiio”「E07K」を試す野村ケンジのぶらんにゅ〜AV Review(2/2 ページ)

» 2013年03月15日 16時21分 公開
[野村ケンジ,ITmedia]
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ボーカルの表現力に大きな違い

 さて、肝心のサウンドはいかがなものなのだろう。まずは第5世代iPod touch(+Lightning変換アダプター)を使い、iPod touch直接視聴や先代「E7」と比較しつつ、実力の程をチェックしてみた。イヤフォンにはシュアの「SE535LTD-J」を使用している。

再生中はブルーのインジケーターが動作を知らせる。ちなみに充電時にはレッド、USB DACのみはブルー、USB DAC+充電時はパープルに光る

 まず第5世代iPod touch直接続との比較では、かなりていねいなサウンドに感じる。S/N感に圧倒的な差があるため、細かいニュアンス表現がしっかり伝わってくるし、抑揚も豊かに感じる。一方、「E7」との比較では、音のひずみが全くといっていいほど異なっている。「E7」の方が勢いの良さを感じるものの、ことサウンドクオリティーにおいては「E07K」の方が一段と良質。ダイレクト感が高まり、細やかなニュアンスがしっかり伝わってくるようになるので、ボーカルの表現力などは格別の感がある。とくに女性ボーカルは、ややハスキーながらも感情表現がしっかり伝わってくるため、音楽の世界にずいぶん没頭できるようになる。価格を考えると、かなりの出来といえるだろう。

 ものは試しにと、アンプにやたらと駆動力をもとめるAKG「Q701」をつなげてみた。音量的には全く問題ないが、さすがに低域側がドライブしきれていない、ハイ上がりなバランスになってしまう。ゼンハイザーの「HD600」も試してみたが、このあたりがギリギリといえる。逆にいえば、「HD600」が十分に楽しめるのだから、パワーとしては十分以上のレベルといえる。逆に、価格を考えるとかなりのハイ・コストパフォーマンスだ。

 最後に、「MacBookAir」を使ってUSB DAC接続も試してみた。こちらも基本的なサウンドクオリティーは変わらず、ていねいな表現でS/N感の良いサウンドを聴かせてくれた。据え置き型のUSB DACは音質的に良質な(その分価格もそれなりだが)ものが多くあるため、あえて「E07K」を据え置きメインに使う意義は見いだせないが、時々自宅でも使いたいというニーズには、ピッタリかもしれない。

 コンパクトで使い勝手も良く、先代に対して音質もかなりグレードアップした「E07K」。エントリークラスのポータブルヘッドフォンアンプからの買い替えはもちろん、ビギナーがいきなり導入しても十分に価値を見いだせる、良質な製品であることは確かだ。

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