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ダイソン「DC48」、音を小さくできた工夫とは?(2/2 ページ)

» 2013年04月01日 15時16分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]
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――実際の音を聞くと、単純に音量が下がったたけでなく、耳に付く高い音が減ったように感じました

Steel氏:それを目指して設計しました。高い音というのは、波長の短い音波のため、空気経路を長く複雑にすることで排除できるのです。

 モーターのバランシング(不釣合い修正)にも気を使っています。V4は最大で10万1000回転/分と、非常に高速に回転するため、不釣り合いによる遠心力は振動や騒音を引き起こします。それを防ぐため、ダイソンの工場では1億ドルもするドイツ製の高価な機械を導入しています。ローターをゆっくりと回しながら重心を探り、最適なバランスを得られるように削って修正していくのです。

――それは量産品すべてに対して行うのですが?

Steel氏:そうです。ローター1つ1つに対して行います。工場には厳しい基準があり、最低でも最初に製造された時に比べて“7倍”はバランスの良い状態にしなければなりません。基準をクリアできなければ製品には組み込まれないのです。

――モーター周辺以外にも静音化ために新しい技術が入っていると聞きました

Steel氏:DC48の開発に際し、われわれは音の発生源を細かく検証しました。その1つが、フロアツールのギアボックス。DC48には2つの新しいフロアツールがありますが、こちらのモーターヘッドではモーターをソフトマウント(ゴム素材などを用いて振動を吸収する)して振動が本体に伝わらないように設計しています。またギアボックスもソフトマウントした上でゴムで覆い、音を軽減しています。

モーターヘッド

Steel氏:このほかにもサイクロンのマニホールドは2層式にしています。これは、2重窓と同様、音をシャットアウトする仕組みです。

サイクロンのマニホールドは2層式

――動作中の音は何dBでしょうか

Steel氏:デシベル数はテスト方法によって異なりますから、ダイソンでは数字を出してはいません。ただ、DC46と同じ条件で比較して40%下がったということです。

――V4モーターの技術は、ほかの製品にも応用できますか?

Steel氏:実は、欧州市場で販売しているハンドドライヤー「エアブレードV」の1600ワットモーターにはV4と近い技術を使っていて、やはり本体のコンパクト化を実現しています。まったく同じモーターではありませんが、製造ラインは共用できます。

 もちろん、これがゴールではありません。将来、新しいタイプの製品が出てくるとき、新しいオプション(選択肢)ができたと考えています。また、われわれはV4モーターの開発で多くのノウハウや技術を得ることができました。今後のモーター開発、製品開発に役立てていきたいと思っています。

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