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どっちがお買い得? ソニーの低価格AVアンプ「STR-DN1040」と「STR-DN2030」(2/3 ページ)

» 2013年07月04日 19時50分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 一方の「STR-DN2030」は、上位機「TA-DA5800ES」とほぼ同じネットワークエンジンを搭載しており、最大192kHz/24bit、5.1chまでのハイレゾ再生に対応する。これはフロントUSB端子に接続したストレージから楽曲ファイルを再生する場合でも同じだ。またWi-Fiの代わりではないが、背面に4ポートの100BASE-TX対応ハブを備えており、NASの直結などネットワークオーディオなどに活用できるメリットもある。「STR-DN1040」の手軽な無線LANに対し、こちらは有線ネットワークのハンドリングに優位性がある。

「STR-DN2030」のネットワーク基板と有線ハブ。詳細は昨年末のインタビュー記事を参照してほしい

 スマートフォンやタブレットと連携するためのアプリも違う。「STR-DN2030」は上位機と同じリモコン/音楽再生アプリ「ESリモート」をサポートしているが、「STR-DN1040」では新しい「Network Audio Remote」と「TV Side View」を利用できる。「Network Audio Remote」は、ネットワーク内にあるPCやNASの楽曲データを再生させるDLNAアプリ(iOS 4.3/Android 2.2以降)。「ESリモートと異なり、リモコンにはならないが、アプリ側にDLNAのDMC機能を持っている。アンプからDMCを分離して負荷を軽減できるほか、通常のDMCが1秒ごとに送信するパケット(接続機器や動作確認のため)を止め、音楽再生への影響を抑える」(渡辺氏)といった点が新しい。

「Network Audio Remote」(左)と「TV Side View」(右)の画面。AVアンプのリモート操作はTV Side Viewが担当する

 一方、ネットワークエンジンを持つ「STR-DN2030」の大きな利点として、「SEN」(Sony Entertainment Network)、「Youtube」「ベルリン・フィル デジタル・コンサートホール」といった動画配信サービスをAVアンプ単体で利用できることも挙げられる。新しい「STR-DN1040」は直接アクセスができない代わり、フロントHDMI入力でMHLをサポートした。MHL対応のAndroid端末があれば、より幅広いネットサービスやアプリが楽しめる。

 最新の技術トレンドをくみ上げ、手軽な機器連携を実現した「STR-DN1040」に対し、上位モデルゆずりの少しマニアックな機能を持つ「STR-DN2030」。性格はかなり違うことが分かったが、“中身”はどう変わったのだろうか。

リファインされたアンプ部

 パワーアンプ部は、「STR-DN2030」が「TA-DA3600ES」のそれをほぼ継承したのに対し、「STR-DN1040」は新規開発。名称も従来の「広帯域パワーアンプ」から「リニア広帯域パワーアンプ」にグレードアップしている。

 アンプ部は基板の色から違う。これは「STR-DN2030」が「カミフェノール基板」を採用しているのに対し、「STR-DN1040」では高級モデルにも使われる「ガラスエポキシ基板」に変更したからだ。

緑色がガラスエポキシ基板、黒っぽいのがカミフェノール基板だ(左)。カミフェノール基板はねじったりすると意外にもろい(右)

 カミフェノール基板は、その名の通り“紙”にエポキシ樹脂を含浸したもので、価格は安いが片面しか回路パターンを作成できず、強度も低め。このため「STR-DN2030」のアンプ回路は、小さなアルミ基板上に2チャンネル分の回路を作成してパッケージ化した「メタルコアモジュール」とし、メイン基板から浮かせる形で実装している。

「STR-DN2030」の「メタルコアモジュール」。1つに2チャンネル分のパワーアンプ回路が入っている(左)。「STR-DN1040」のガラスエポキシ基板。パーツの両面実装も可能になり、信号伝達経路を短縮化(右)

 一方、ガラスエポキシ基板を採用した「STR-DN1040」では、アンプ回路を基板への表面実装とし、電源リジェクションが良い(=電源ノイズに強い)アンプ回路を構成したという。「電源リジェクションが良いということは、電源からのノイズに強くなるということ。ノイズの抑制に加え、S/Nにも良い影響が現れる」(同氏)。

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