一方の「STR-DN2030」は、上位機「TA-DA5800ES」とほぼ同じネットワークエンジンを搭載しており、最大192kHz/24bit、5.1chまでのハイレゾ再生に対応する。これはフロントUSB端子に接続したストレージから楽曲ファイルを再生する場合でも同じだ。またWi-Fiの代わりではないが、背面に4ポートの100BASE-TX対応ハブを備えており、NASの直結などネットワークオーディオなどに活用できるメリットもある。「STR-DN1040」の手軽な無線LANに対し、こちらは有線ネットワークのハンドリングに優位性がある。
スマートフォンやタブレットと連携するためのアプリも違う。「STR-DN2030」は上位機と同じリモコン/音楽再生アプリ「ESリモート」をサポートしているが、「STR-DN1040」では新しい「Network Audio Remote」と「TV Side View」を利用できる。「Network Audio Remote」は、ネットワーク内にあるPCやNASの楽曲データを再生させるDLNAアプリ(iOS 4.3/Android 2.2以降)。「ESリモートと異なり、リモコンにはならないが、アプリ側にDLNAのDMC機能を持っている。アンプからDMCを分離して負荷を軽減できるほか、通常のDMCが1秒ごとに送信するパケット(接続機器や動作確認のため)を止め、音楽再生への影響を抑える」(渡辺氏)といった点が新しい。
一方、ネットワークエンジンを持つ「STR-DN2030」の大きな利点として、「SEN」(Sony Entertainment Network)、「Youtube」「ベルリン・フィル デジタル・コンサートホール」といった動画配信サービスをAVアンプ単体で利用できることも挙げられる。新しい「STR-DN1040」は直接アクセスができない代わり、フロントHDMI入力でMHLをサポートした。MHL対応のAndroid端末があれば、より幅広いネットサービスやアプリが楽しめる。
最新の技術トレンドをくみ上げ、手軽な機器連携を実現した「STR-DN1040」に対し、上位モデルゆずりの少しマニアックな機能を持つ「STR-DN2030」。性格はかなり違うことが分かったが、“中身”はどう変わったのだろうか。
パワーアンプ部は、「STR-DN2030」が「TA-DA3600ES」のそれをほぼ継承したのに対し、「STR-DN1040」は新規開発。名称も従来の「広帯域パワーアンプ」から「リニア広帯域パワーアンプ」にグレードアップしている。
アンプ部は基板の色から違う。これは「STR-DN2030」が「カミフェノール基板」を採用しているのに対し、「STR-DN1040」では高級モデルにも使われる「ガラスエポキシ基板」に変更したからだ。
カミフェノール基板は、その名の通り“紙”にエポキシ樹脂を含浸したもので、価格は安いが片面しか回路パターンを作成できず、強度も低め。このため「STR-DN2030」のアンプ回路は、小さなアルミ基板上に2チャンネル分の回路を作成してパッケージ化した「メタルコアモジュール」とし、メイン基板から浮かせる形で実装している。
一方、ガラスエポキシ基板を採用した「STR-DN1040」では、アンプ回路を基板への表面実装とし、電源リジェクションが良い(=電源ノイズに強い)アンプ回路を構成したという。「電源リジェクションが良いということは、電源からのノイズに強くなるということ。ノイズの抑制に加え、S/Nにも良い影響が現れる」(同氏)。
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