また、HDMI出力は480p/720p/1080iでの出力に対応するが、PlayStation Vita TVでは720p出力を標準としており、nasneと連携する「torne PlayStation Vita TV」も720p出力となる。しかも、DRモードで録画した番組に関しては、モバイル向けデータを用いて再生するため、3倍モードよりも低画質になってしまう。
このようにPlayStation Vita TVは対応ゲームも少ない上、ビデオ機器として利用しようにも、720pという解像度がネックだと感じる人は多いだろう。ただ、そこさえ妥協すれば、ビデオ機器としての利便性はそれなりに高い。これには操作に対する反応の早さもあるが、もう1つ、PlayStation 3と同様に、いわゆる「HDMIリンク」に対応している点も貢献している。
PS3では「本体設定」→「HDMI機器制御」で「入」にすれば利用できたが、PlayStation Vita TVでは、「設定」→「システム」の「HDMI機器リンクを有効にする」というチェックボックスが用意されている。これにより、テレビのリモコンでPlayStation Vita TVの操作が可能になる。基本的にはソニーのブラビアリンクを想定したものだろうが、自宅のプラズマビエラでもカーソル移動や「決定」「戻る」といった操作は可能だった。コントローラの代用とまではいかないが、「torne PlayStation Vita TV」だけではなく、ホーム画面や各種ビデオサービスのアプリケーションでも簡単な操作であれば、テレビのリモコンだけで可能なので、なかなか快適だ。
また、もう1つオマケ的な部分を挙げると、「PSP go」やPlayStation Vitaと同様に、Bluetooth機器として(PlayStation 3コントローラーに加えて)ヘッドフォン(A2DP及びAVRCPに対応)を登録可能という点にもメリットに感じる人はいるのではないだろうか。夜間などにリビングでテレビを観る際、家庭の事情でヘッドフォン装着をしいられるという方もいるかもしれないが、その場合、PlayStation Vita TVにBluetoothヘッドフォンを接続すれば、ワイヤレスで音声を流せる。PlayStation 3ではBluetoothのプロファイルの関係で、こういう使い方はできない。
あとは、本体9954円(税込)という価格をどう捉えるか。個人的には、PSP goでテレビ出力を行う際に必要だった追加投資、つまり、D端子ケーブル「PSP-N170」(2800円)、クレードル「PSP-N340」(4800円、充電しながら使うためには実質的に必須)を思い出せば、テレビ出力を備えたPlayStation Vita“本体”がこの価格であれば、十分に安いという気もする。そもそも、PlayStation Vita自体に最初からテレビ出力機能を付けてくれよ……という考え方もあるだろうが。
ただし、PlayStation Vita TVを本格的にリビングで活用するためには、やはり、DLNAクライアント機能はほしい。PlayStation Vitaでは、最近のシステムアップデートで「コンテンツ管理アシスタント」を利用して、PCに保存された動画ファイルなどを直接再生できるようになっており、PlayStation Vita TVもこの機能を利用可能だが、当然ながら、この機能はPlayStation Vitaの再生に適したMP4などが対象だ。「ちょっと、そういうのではないんだな……」と、nasne以外の録画機器などからのLAN再生もやはり必要だという方は少なくないだろう。
いずれにせよ、付属説明書にも書かれているとおり、PlayStation Vita TVは「アップデートで機能を追加することによって、どんどん進化する」こともたしかだ。ソニーが今後、この製品をいかに育てていくかという点には大いに期待したい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR