ソニーブースには、「Life Space UX」のほかにも多くの注目展示がある。今回は新しい4Kテレビのほか、ヘッドマウントディスプレイ、ヘッドアップディスプレイのコンセプトモデルを紹介しよう。
テレビ関連の展示は、先に発表された北米向けのBRAVIA新製品が中心となっている。今回は4K対応テレビのラインアップ拡大が目玉の1つだが、技術的には4K対応最上位モデル「X950シリーズ」(北米での名称)に採用された直下型LEDバックライトと「X-tended Dynamic Range Pro」が注目だろう。ローカルディミング(LEDバックライトのエリア制御)の進化により、広いダイナミックレンジと高いピーク輝度を実現した。
このXDR技術は、入力信号で丸められてしまったダイナミックレンジを計算で補完したうえ、直下型LEDならではの手法で明るさを補完するもの。直下型LEDならではというのは、2011年のブラビア「HX920シリーズ」に初めて採用された「インテリジェントピークLED」をさらに進化させているためだ。つまり、バックライトの部分駆動時に、暗い部分(消灯時)の電力を明るい部分に“上乗せ”して輝度を向上させるというアプローチは同じだが、上乗せする電力量がアップし、アルゴリズムも改善。明るい部分はより明るく、暗い部分はより暗くなっている。
通常のLEDバックライトに比べ、輝度変化の幅(brightness range)は3倍に広がったという。またエッジ式LEDバックライトながらローカルディミングに対応し、「X-tended Dynamic Range」(PROはなし)をサポートする「X900シリーズ」などでも2倍になっている。
ブースのデモンストレーションでは、夜景や明暗の激しい映像を中心に機能紹介が行われていたが、ハイライトのあたった映像が浮き上がって見えたり、あるいは逆光状態の映像でもディテールが潰れずにきれいに濃淡が表現されるなど、文字通りメリハリが効いた状態になっていた。
ヘッドマウントディスプレイのコンセプトモデルも興味深い。ソニーのHMDは、すでに第3世代モデルが販売されているが、このコンセプトモデルでは加速度センサーなど本体の傾き検出が可能なセンサーユニットを搭載し、その傾きに応じてコンテンツの視点が変化する。
例えば大自然を疾走するような映像コンテンツがあった場合、標準で用意された固定視点だけではなく、HMDを装着した顔で左右を向いたり、上下に頭を動かすことで視点が変化し、固定視点では見られなかった風景を確認できる。
アクションカメラなどで撮影した映像があった場合、撮影した人物の直接の視点だけでなく、周囲の映像も後から確認できる。被験者が大きく左方向を向いたりしているのはそのためだ。これはHMDの新たな使い方として、コンテンツによっては非常に面白いものになるかもしれない。
ソニーブース最後の注目展示は「Smart Eyeglass」。「Google Glass」を想像してもらえると分かりやすいが、対象物から目を離すことなく情報を確認できるヘッドアップディスプレイ(Head-Up Display:HUD)と呼ばれる透過型ディスプレイ装置だ。
ソニーブースのステージでは、FIFAのサッカーゲーム映像が流れており、これをSmart Eyeglassを通して見ると画面にスコアなどの情報が緑色の文字で確認できた。映像のジャマにならないように画面下側にうっすらと表示される程度だが、ソニーがHMDだけでなくHUDの可能性も追求しているという点で面白い。
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