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付属イヤフォンからのステップアップに!――バイヤーズガイド2014年“春”(実売1万円以下編)3匹が聴く!(2/2 ページ)

» 2014年03月03日 18時46分 公開
[ITmedia]
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ファイナルオーディオデザイン「Heaven II」

ファイナルオーディオデザイン「Heaven II」

 ファイナルオーディオデザインが自社で開発した新しいバランスド・アーマチュア型ドライバーを初めて搭載した意欲作。シングルドライバー構成ながら、独自のBAM(Balancing Air Movement)機構と組み合わせ、奥行きのある空間表現と豊かな低音再生を実現したという。

 筐体(きょうたい)はステンレスの切削加工で、表面はバレル仕上げ。ケーブルは絡みにくく、タッチノイズも抑えるフラットタイプを採用。長さは1.2メートルだ。イヤーチップには、遮音性の高いタイプと共振音の少ないタイプの2種類を用意しており、いずれのタイプもS/M/Lの3サイズが付属する。カラーバリエーションは、ブラックとブルーグレイの2色を用意している。

野村 ☆☆☆☆

はじめてファイナルオーディオの中で汎用性をちゃんと考えて作ったモデル。解像感は高くないものの、BA1発でどれだけできるかを、シンプルに追求している。1万円以下では同社の「ピアノフォルテ」以来の名機かも。


坂井 ☆☆☆

音ひとつひとつの粒立っているものの、ちょっとだけ高音が耳にキーンときた。個人的にまろやかな音が好きなので、好みによるかも。音にもう少し一体感がほしい。なんとなく筐体がドラえもんの手みたいに見える。


滝田 ☆☆☆

見た目はシルバーメタル調でとにかくシンプル。北欧系のシンプルでスマートなデザインが好きな人は、思わず手に取りたくなるかも。女性ボーカルはいい感じに聴こえたものの、打ち込み系はやや表現力に欠ける。



シュア「SE215 Special Edition」

シュア「SE215 Special Edition」

 2012年11月の発売ながら、いまだ人気の衰えないシュアの低価格モデル。ダイナミック型ドライバー1基のシンプルな構成で、筐体色は「トランスルーセントブルー」となっている。

 MMCXコネクターによる着脱式ケーブルを採用しているが、長さは以前のSEシリーズに比べて短めの1.16メートルとなっている。これは、日常のモバイル利用に適した長さだという。

野村 ☆☆☆☆☆

数年前に発売されたモデルだが、それ以来、この低価格帯のリファレンス的存在。新たな基準を与えた名機として名高い。小口径のダイナミック型のいいところが出ていて、音の抜けがよく、J-popとの相性はいい。


坂井 ☆☆☆☆☆

女性が身につけていたら、完全にバンドでベースをやってそう。この価格帯でしっかりとした音を出してくれるのは、さすがはシュア。プレーヤー付属のイヤフォンに代えて、手に取ってほしいイヤフォン。


滝田 ☆☆☆☆☆

音楽の表現力、音質ともにこの価格帯では文句なしのクオリティー。ピアノや女性ボーカルもナチュラルで、臨場感も感じられる。シースルーのボディーは好き嫌い分かれそう。“シュア掛け”でフィット感も高い。



CarotOne「TITTA」

CarotOne「TITTA」

 イタリア生まれのオシャレなイヤフォン。「Carot One」ブランド製品に共通する鮮やかなオレンジ色に塗装された円筒形のアルミハウジング、そしてブルーのケーブルとイヤーチップが個性的だ。

 ドライバーは、11ミリ径ダイナミック型をシングルで搭載。ケーブルにはプラスチックとゴムの双方のメリットを持ち、絡みにくいTPE(熱可塑性エラストマー)を使用した。長さは1.2メートル。

野村 ☆☆☆☆

実は、エージングに100時間ぐらいかけることで本領を発揮するイヤフォン。伴奏は前面に立つ女性ボーカルのためにあるみたいな音楽に丁度いい。クラシックやクラブ系を聴き続けることで、がっちりハマる音楽が見つかるかも。


坂井 ☆☆

メルヘンチックな感じ。いろいろな音楽を聴いてみたものの、正直私は合う音楽がみつけられず。オレンジのボディーにブルーのケーブルと、見た目の陽気さは嫌いじゃないけど、さすがにこの不安定さは強くは薦められない。


滝田 ☆☆

見た目のインパクトは、ファッションアイテムとしても組み合わせるのが難しい。サウンドも一緒で、思いっきりエフェクトの掛かった女性ボーカル、例えばPerfumeとかの曲を聴くとノリがよく聴けるが……正直難しい。



AKG「K374」

AKG「K374」

 オーストリアに本拠を置くAKGが送り出した、「K3003」を頂点とする新世代カナル型イヤフォンのエントリーモデル。ビビッドカラーのアルミ製ハウジングに9ミリ径ダイナミック型ドライバーを収め、背圧を調整するポートをダブルにした「ダブル・ベンチレーション・システム」と組み合わせた。

 このほか、アップル製品対応のマイク付きリモコン搭載モデル「K375」、アクティブノイズキャンセリング機能を備えた「K391NC」もラインアップしている。

野村 ☆☆☆☆☆

音楽性の豊かさを感じさせてくれる1本。オーストリアのブランドなはずなのに、アメリカンロックやハードロックを特に屋外で聴くといい感じ。J-popやロックなどでノリのいい楽曲を表現豊かに聴かせてくれる。


坂井 ☆☆☆☆

表現が豊かなだけじゃなく、それがわざとらしくなく、さすがはAKG。コンパクトすぎるボディーでちゃんと音を作りあげる技術力はさすが。変に主張することがないので、いろいろなジャンルにマッチする1本。


滝田 ☆☆☆☆

コンパクトなボディーは耳の大きな人はやや不安かもしれないが、見た目の赤は美しくエレガント。大音量で聴いても耳に刺さることもなく、高音もどこか丸みがあって優しいところも好き。この価格なら満足。



日立マクセル「MXH-DD600」

日立マクセル「MXH-DD600」

 マクセルがオーディオに本気を出した証である“m”マーク製品の第1弾。登場は2012年秋と少し古めながら、金管楽器をモチーフとしたアルミ切削加工のハウジングは人目をひく。背面のアルミにはブラスト加工を施した。

 型番から想像できる通り、ネオジムマグネット搭載のダイナミック型ドライバーを2基搭載。中高域用の6ミリ径ドライバーを前方に、低域用の8ミリ径ドライバーを後方にずらして配置している。コードはからみにくいフラットタイプで、長さは1.2メートル。銀イオンを練り込んだ抗菌イヤーピースは、SS/S/M/Lの4サイズが付属する。

野村 ☆☆☆☆

デザインやシェイプを優先して設計したはずなのに、ちゃんといい音。デュアルダイナミックドライバーなのに、深い低域から高域までつなぎ目が感じられず、特に中域がいい。音にメリハリもあり、基礎体力が高い。


坂井 ☆☆☆☆

楽器のようなラウンドシェイプは、女性的でエレガント。ただ、ちょっと装着した際に耳から飛び出過ぎるところは微妙。音のメリハリが効いていて力強い。からみにくいフラットコードを採用しているところも好き。


滝田 ☆☆☆

ホーンを意識したシェイプは正直好き嫌いが分かれる。サウンド面は、デュアルドライバーで厚みのある音をじっくりと聴かせてくれる印象。ただ、マクセルという信頼のブランドだけに、次のモデルにはさらに期待かも。



まとめ

 5000円〜1万円クラスは悩ましい。3人のレビュアーは価格帯別に相対評価を行っており、今回の7製品の中で、もっとも評価の高かったのは全員が「5」をつけたシュア「SE215 Special Edition」だ(満点の15点)。ただし、SE215の実売価格は9980円とほぼ1万円であるのに対し、次点のAKG 「K374」(13点)は5282円と値段に倍近い差があることも確か。単純にコストパフォーマンスだけなら、AKGのほうが上かもしれない。

 というわけで、両方ともコストパフォーマンスの高い“Good buy”製品として認定し、栄誉(だけ)ある「付属イヤフォンからのステップアップに最適」賞を授与したい。

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