定評のあるボーズのノイズキャンセリング技術を初めてインイヤー型に搭載したモデル。初めて使った人はたいてい驚くレベルの実力を持っている。また、外部雑音のうち人の声などが音楽に影響しないレベルで聞こえるようになる新提案「Aware Mode」(アウェア・モード)も特長だ。
外観はマット調のブラックとグレーを組み合わせたツートン。ケーブルの途中にノイズキャンセリングの処理回路とバッテリーが入ったコントローラーユニットが付いているが、バッテリーが切れてもパッシブなイヤフォンとして使えるなど利便性も考えられている。イヤーチップはウイング形状の「StayHear」タイプで、いわゆるカナル型(耳栓型)ではない。
肝心なのは、ノイズキャンセリングのユーザビリティーをさらに広げ、ここまで高めたこと。音だけでいえば、決して評価は高くないが、インイヤーのなかではIEシリーズなどと比べても格段に音が良くなっている点は高評価。
ノイズキャンセリングの効果を、この小さいインイヤーでここまで高めた技術力は、かなり驚いた。ただ、女性がタウンユースで毎日使うにはかなり微妙な存在。イヤフォンそのものの音をもう少し追求してくれたら……。
飛行機内で使用した際のノイズキャンセリング機能の質の高さに驚愕。この小さなボディーで、オーバーヘッド並みの効果を実現し、さらに人の声だけはちゃんと聴かせるAwareモードも搭載するなど、存在感は群を抜いている。
ハイブリッド型になった「XBAシリーズ」の最上位モデル。フルレンジのBAドライバーに加え、「HDスーパーツィーター」と呼ばれるBAユニットを搭載。これまで以上に高い周波数を再生できるようになった。さらに液晶ポリマーフィルム振動板を採用した16ミリ径ダイナミック型ドライバーも組み合わせて3ユニット構成とした。
形状記憶樹脂「テクノロート」を芯材に使用し、シリコンで表面を覆った「アジャストフリーイヤーハンガー」を採用。耳に合わせてハンガーの形状が変わる耳掛け式だ。内部に発泡クッション材料を使用して装着時の安定性と遮音性を向上させたシリコンフォームイヤーチップなど装着性にも注力しているが、そのあたりの評価は分かれたようだ。
低域がぶりぶりながら、中域までにはかぶらないギリギリのチューニング。ピークを限界まで下げ、ドンシャリなんだけど、まとまりの良い上質なサウンドに仕上げた。H2は聴き手を選ぶ製品だったが、こちらは幅広い層に支持されそう。
第一印象は完全なドンシャリ系かと思いきや、端々は上品でていねいに仕上げられている1本。低域から高域まで、派手な音が好きな大人にオススメしたい。ただ、やっぱり装着感が微妙なのはこの形状のため仕方がないのかもしれない。
H2の悪かった部分がすべて修正された感じ。空間も感じさせるし、ピアノの余韻までしっかりと聴かせてくれるので、気持ちがいいし、聴き疲れも感じない。装着感はこの形状の割にはシュア掛けすることでかなりフィット。
2011年の年末に「IE8」の後継モデルとして登場したインイヤーモニター。ドライバーはダイナミック型1基で、ハウジングのダイヤルを回して低域の量感を調整できるユニークなベースコントロール機能付きだ。
独特の形状をしたアルミ製ハウジングトップは好き嫌いが分かれそうだが、着脱式ケーブルや豊富な付属イヤーチップなどユーザビリティーは高い。なお、イヤーチップは標準のシリコンタイプ(S/M/L)に加え、ラメラ(S/M/L)、ウレタン(S/L)、モールド(S/L)とバリエーション豊かだ。
数年前のモデルだけに、たしかに解像感やS/Nのノイズレベルなどはその当時のレベルながら、音楽の表現力、再現性などはとにかく見事というしかない。音楽の楽しさをちゃんと伝えようとしているイヤフォン。いまだその魅力は色あせない。
ゼンハイザーらしい音というより、もう少し大衆よりというか、ミーハーな音作りで、クラブミュージックも聴けちゃう。発売から時が立っているので、細かいことはいろいろ劣るのかもしれないけど、そんなものは無問題で素晴らしい。
ロック、ピアノ、打ち込み、演歌となにを聴いても、その音楽が持っている魅力をしっかりと抽出してくれて、ずっと聴いていたくなる。リケーブルできたり低域のバランスコントロールできたりする機構面も面白い。
ゼンハイザー「IE80」と同じく、2011年の年末に登場したシュアのハイエンドモデル(当時)。“LTD”としながら2年以上販売しつづけていることに首をかしげる人もいるかもしれないが、“アジア地域限定モデル”という意味だ(数量限定ではない)。
以前の「SE535」と同じBA型の3ドライバー構成ながら、シュアジャパンからのリクエストに米国本社が応える形で“日本人向け”のチューニングが施された。ケーブルは着脱式で、もちろん“シュアがけ”に便利なワイヤー入り。イヤーチップもソフトフォームからトリプルフランジタイプなど豊富に付属している。
開発担当のマット氏ならではの厚みのしっかりある音と俯瞰した音楽表現の両立が興味深い。真っ赤なシースルー筐体もどこかエレガントさとギークさを内包。ニルヴァーナとかレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンなどを純粋に楽しく聴きたい。
音が表現する空気感がとにかく気持ちがいい。シュアならではの安定感に加えて、荒々しい勇ましさが音の端々に感じられる。ただ、そこを少し演出しすぎた感もあるような。赤い筐体は女性としても装着しやすいのでオススメ。
激しいところはより激しく、静寂のなかに感じる余韻はしっとりと。シュアの音楽再現性を余すこと無く発揮。音楽性の豊かさ、表現力ともに過剰なまでに伝わる1本。赤くてシースルーな筐体はギークから一般まで受け入れられる。
JVCの新「ウッドシリーズ」最上位モデル。カバ材を使用した振動板に加え、ユニット背後のウッドダンパー、ウッドリングアブソーバーなど木にこだわった製品だ。前回取り上げた「HA-FX750」との主な違いは、振動板のサイズが11ミリ径と大きくなっていること(FX750は11ミリ)、OFCコードが付属すること。
ケーブルはMMCXコネクターによる着脱式。イヤーチップは、音の通り道に反射音を抑えるディンプルを設けた「スパイラルドットイヤーピース」と低反発タイプの2種類が付属する。
11ミリ径ドライバーのアドバンテージを感じるクオリティー。1万円の差は音質だけでなく、着脱式ケーブルも含めてか。その後、かなりハマる曲と出会えたため、評価がかなり上向きに。シリーズ3製品のうち、最も欲しいと思うのはやはりこれ。
あらゆるジャンルをナチュラルに聴かせてくれる1本。こだわりがある人にとっては装着しているだけで、幸せな音に変えてくれるのかもしれない。でも、やっぱりFX750との1万円の価格差を払ってまで買う価値は伝わらなかった。
FX750と一緒でモノとしての素晴らしさ、ウッドの表現力など、文句ない仕上がり。作られたバックグラウンドストーリーまで考慮しても、思わず触れたくなるのは間違いない。ただし、FX750との圧倒的な差は感じられず。
毎年、数多くの製品が発売されるイヤフォンにあって、今回は2011年に発売されたゼンハイザー「IE80」が満点でトップ、次点も同年発売のシュア「SE535 LTD」となった(14点)。どちらも「売れ続けるには理由がある賞」にふさわしいGood Buy製品といえそうだ。新製品にもがんばってほしい。
次回はいよいよイヤフォン編の最終回。5万円以上の高額製品がそろった価格帯で3人のレビュアーがどのような評価をするのか、注目したい。
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