“4K”に本気を出したパナソニック、注目の「AX800シリーズ」を麻倉怜士はどう見る?(2/2 ページ)

» 2014年05月12日 10時00分 公開
[麻倉怜士,PR/ITmedia]
PR
前のページへ 1|2       

 さらにカラーリマスター回路の処理の1つを「ダイナミックモード」に限って採用するという新しいアプローチも加えています。ダイナミックモードというと、一般的に店頭展示を意識した極端に明るいモードというイメージですが、一般家庭でも日差しのある明るい部屋でも映像をはっきり見せるには役立つモードです。これは明るい環境でテレビを見るときでも、より正確な色で映像が再生できることにつながるのです。実際の使用状況を鑑みると適切な判断でしょう。

好みのコンテンツを教えてくれる「マイチャンネル」

 もう1つ、新型ビエラを語る上で欠かせないのがスマートテレビ機能を軸とする“使いやすさ”に対するアプローチです。スマートテレビは、テレビ番組からネット動画まで、さまざまなコンテンツにアクセスできますが、逆にコンテンツがたくさんありすぎて「何を見ていいのか分からない」という声もよく聞きます。

 こうした課題に対し、パナソニックは2013年の製品でユーザーがメニューを自分専用にカスタマイズしてコンテンツへのアクセスを容易にした「マイホーム」機能を設けました。2014年の製品ではさらに一歩進め、好みのコンテンツを簡単に探し出せる検索機能とレコメンド(おすすめ)の機能を充実させました。例えば「インフォメーションバー」は、テレビの前に立つと、自動的に天気予報や時刻、その人へのおすすめコンテンツなどを表示してくれます。テレビ内蔵の人感センサーとカメラを使い、ユーザーの顔を認識する仕組みです。

画面の下部に出てくる「インフォメーションバー」。天気予報や時刻、その人へのおすすめコンテンツなどを表示する

 中でも私が注目したのは「マイチャンネル」という新機能です。テレビ番組やYouTubeの動画などから横断的におすすめコンテンツを探しだし、一覧表示するというもので、付属の「音声タッチパッドリモコン」を使って音声検索も可能です。任意のキーワードを話すと、それに合致するYouTube動画やVoDサービスのコンテンツ、さらに外付けHDDで録画した番組などをピックアップしてくれますし、電子番組表の中に合致する番組があれば録画予約も可能です。操作性が良く、簡単に目的のコンテンツにアクセスできます。そしてリモコンに新設された「☆」マークの「マイボタン」を押すと、気に入ったコンテンツを学習してオススメの精度が上がっていきます。

「マイチャンネル」では、テレビ番組やYouTubeの動画などからおすすめコンテンツが表示される

付属の「音声タッチパッドリモコン」はマイクを内蔵し、音声操作や音声認識による検索キーワードの入力が可能だ。音声操作のコマンドが大幅に増えたほか、リモコン左下にある「☆」マークの「マイボタン」を使ってお気に入りのコンテンツを学習させることができる

 これにディーガの全録機能(チャンネル録画)搭載モデルなど(DMR-BXT970/870)を組み合わせると、さらに便利ですね。膨大(ぼうだい)な録画番組を持ち、ネット上にもコンテンツが氾濫する今の時代において、いかに簡単に“見たいもの”を見つけられるかはとても重要な条件です。テレビがそれを教えてくれるのですから、ユーザーのライフスタイルも変わってくるのではないでしょうか。

PDPのノウハウが生きた正確で印象的な“赤”

 駆け足で新型4Kビエラの特長を語ってきましたが、中でも印象的なのは、やはり色再現性の高さです。ご存じの通り、PDP時代からパナソニックは色再現性にこだわり、力を入れてきたメーカーです。デバイスは変わっても、デジタルシネマの基準となるDCIの色域を目標にしているのは同じ。色再現性を追求してきた長い歴史とノウハウに新しい技術が加わり、より正確で高い彩度、しかし不自然にはならない、ぎりぎりのバランスをうまくとったという印象です。

 世の中には、色のキャラクターを強調して目立つテレビもありますが、パナソニックの場合は“強調する”とか“際立たせる”といった恣意(しい)的な部分はほとんどと言っていいほど感じさせず、トータルバランスで“色の力”を上げるというアプローチです。色相が適切なだけでなく、全体に彩度が高く、かつ色の階調感もよく出ていました。


 65V型の「TH-65AX800」で、アカデミー賞をとったレスリー・キャロン主演の「Gigi」(邦題:恋の手ほどき)Blu-ray Discを試聴しました。こってりとした赤が印象的なタイトルで、しかも赤と緑といった対比色が1つの画面に同居する、テレビの実力が試される映画です。しかしAX800は、同じ赤でも色相がわずかに異なるだけのさまざまな“赤”を多彩に描き分け、被写体に色の階調による立体感を与えていました。パナソニックの目標「プラズマを超える」に向けた進歩であり、液晶テレビでは格段の色再現であることは間違いありません。私の希望としては、これからはコントラストで液晶テレビの枠を超えたチャレンジが欲しいですね。

麻倉怜士氏、4Kビエラ「AX800/AX800F」を動画で語る(1分45秒、音量にご注意ください)

HDMI 2.0とHDCP 2.2は次世代のスタンダード

 新しいVIERA(ビエラ)「AX800シリーズ」には、4つのHDMI入力があります。このうち1つはHDMI 2.0に対応し、4K/60p入力をサポートしました。しかもクロマフォーマット(Y:Cb:Cr)は最大4:4:4対応です。NexTV-Fが計画している4K放送は4:2:0のため、現在はオーバースペックに思えるかもしれませんが、DIGA(ディーガ)の上位モデルは4:4:4出力に対応していますし、将来の4K対応Blu-ray Discは4:4:4対応を目指しています。今後数年を考えたとき、4:4:4対応は重要な要素になるでしょう。

 そしてもう1つ重要なのが、最新の著作権保護規格である「HDCP 2.2」をサポートしたこと。ハリウッドの映画スタジオは、将来の“プレミアムコンテンツ配信”において、テレビ側にHDCP 2.2への対応を求めています。今後登場する高画質の4Kコンテンツを見たいのであれば、HDMI 2.0とHDCP 2.2の両方に対応した4Kテレビを選んでおくと安心ですね。



麻倉怜士(あさくられいじ)氏 略歴

1950年生まれ。1973年横浜市立大学卒業。 日本経済新聞社、プレジデント社(雑誌「プレジデント」副編集長、雑誌「ノートブックパソコン研究」編集長)を経て、1991年にデジタルメディア評論家として独立。自宅の専用シアタールームに150インチの巨大スクリーンを据え、日々最新AV機器の映像チェックを行っている“映像の鬼”。現在は評論活動のほかに、映像・ディスプレイ関係者がホットな情報を交わす「日本画質学会」で副会長という大役を任され、さらに津田塾大学の講師(音楽史、音楽理論)まで務めるという“3足のワラジ”生活の中、精力的に活動している。



前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:パナソニック株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia LifeStyle 編集部/掲載内容有効期限:2014年6月11日