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「炭釜」に「蒸気レス」――高級炊飯器を牽引する三菱電機の技術滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」(3/3 ページ)

» 2014年07月31日 17時33分 公開
[滝田勝紀,ITmedia]
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最新機種の提案

 2009年に送り出した初代蒸気レスIH炊飯器は、デザイン性を含めて高く評価されたが、同社の技術開発はもちろん止まらない。最新モデルの蒸気レスIH炊飯器「NJ-XW105J-R」では、お米の炊き分け機能の精度が高まった点が大きな特徴だ。

「NJ-XW105J-R」

 日本には現在300以上もの銘柄のお米が作付けされており、品種改良などによって現在も増え続けている。そんな無数にあるお米から自分に一番マッチしたお米を選ぶのは専門家でもない限り難しい話で、ほとんどの人はスーパーマーケットで特売のお米やメジャーな品種を適当に選んでいるだろう。せいぜい、お米屋さんに相談するくらいだ。

 長田氏は、「ご飯の美味しさは、人、国によって好みが異なるもの。食べる人それぞれの好みに応じて、炊き分けられる機能が必要です」と指摘する。「われわれは“カスタマイズ機能”と呼んでいますが、“メーカーの押しつけの味”から“自分好みの味”を実現できます。また最近はダイエット目的で玄米などを食べる人も増えていますが、白米に比べて美味しさという面で劣るのは否定できません。そのあたりも炊飯器でなんとかできるのではないか、と考えました」。

 蒸気レスIH炊飯器「NJ-XW105J-R」では、縦軸を“もちもち←→しゃっきり”、横軸を“かため←→やわらか”として、合計15個のマトリクスで自分の好みの食感や味を実現する「炊き分け名人機能」を搭載した。また、このエリアは寿司に合う、このエリアはカレーに合うなど、炊き方によってシーンまで提案してくれる。さらに「高清水食糧」というお米専門問屋に協力を求め、「銘柄芳醇(ほうじゅん)炊き機能」を追加した。開発時には、10台以上の炊飯器を並べ、それぞれのお米をさまざまな炊き方で炊き、実際に食べて検証するという作業を毎日ひたすら繰り返したという。最後は人間の舌がモノをいうのだ。

 「全国的に新銘柄の開発ラッシュが続き、特Aランク品がさらに増え続ける中、全国20銘柄の特性を吟味し、それぞれにあった極上の味に仕上がるモードも実現しました。これにより、全国作付け面積の8割方の米を網羅できています。例えばコシヒカリ、ササニシキ、あきたこまちなど昔から良く知られている銘柄はもちろん、ゆめぴりか、ミルキークイーン、さらには元気つくし、森のくまさんなど、各銘柄の特性を活かした炊き方をします」。

 そして前述の玄米も美味しく食べられる「玄米芳醇機能」も新たに搭載した。玄米なのに瑞々しい食感を得られ、冷えても美味しいという。「水を吸いにくい玄米にも、しっかりと吸わせてから炊くことができるようになりました。最初に温度を上げてから、その後、少し下げている時に水を吸わせ、その後沸騰させることで、美味しい食感になります。煮物やおでんなど、温度が下がっているときに味がしみこむといった原理と同じ方法ですね。玄米芳醇炊きについては、その仕上がりが本当に高く、玄米協会の方から、“冷えた玄米がこんなにも美味しく食べられるなんて、まさに玄米革命だ”と言われました」。

玄米の吸水量は従来の2.2倍に

 これまでは玄米というのは美味しさで食べるというのではなく、健康志向やダイエット目的で取り入れる人がほとんどだった。もちろん、これからもそのスタンスは変わらないかもしれないが、お弁当などに入れても、いわゆる玄米ならではのぱさぱさとして渋みのある食感というイメージを覆した。水分をしっかりと吸わせてから炊くため(吸水量は従来の2.2倍)、白米と遜色のない食感が得られるという。

 このように蒸気レスIH炊飯器「NJ-XW105J-R」には、これまでに培ってきた三菱電機の炊飯技術が詰め込まれている。さらにお米のプロの経験が組み合わさることで、ご飯を最高の状態に炊きあげる。そんな美味しいお米を、ぜひ皆さんにも食べてもらいたい。

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