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曲面テレビと4Kの展示が目立った今年のIFA――目玉不足の印象もIFA 2014(3/3 ページ)

» 2014年09月09日 12時30分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]
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もう1つの潮流、Android TVに注目

 先ほど手詰まり感というキーワードを使ったが、曲面パネルそのものはすでに優位性はなく、今回のIFAを見るだけでも中国メーカー勢のほとんどはキャッチアップして関連製品の展示を行っており、むしろ画質や付加価値の部分で差別化するしかないという印象だ。パネル供給メーカーであるという点と、webOSで独自の道を歩み始めたLGに比べ、このあたりがサムスンでは現状で若干厳しいという気がする。

中国TCLブース。こちらの目玉はOLEDと曲面テレビ

 このように「4K(UHD)」「曲面パネル」「OLED」というキーワードにはそれほど特別な印象がなくなりつつあるが、今回のIFAで面白い兆候として密かに盛り上がりつつあるのが「Android TV」だ。Android TVはGoogle TVの後継として2014年6月のGoogle I/Oで発表されたばかりだが、すでに中国メーカーを中心に搭載テレビ製品が登場し、北米など一部市場での出荷が開始されている。欧州での出荷スケジュールは早くて今年末から来年以降とされているが、来年のIFAは、今回よりもAndroid TVやスマートテレビ関連の話題が増えるかもしれない。

中国Haier(ハイアール)ブースもやはり4Kと曲面、そしてOLEDをプッシュした展示内容だ。こちらはAndroid TVの展示も行っており、欧州向けの製品展開が近々スタートするとのこと

中国Hisense(ハイセンス)は曲面テレビと4Kを中心に、タブレットなど関連製品を展示した。ブースの一角にはスマートテレビコーナーがあり、ここで「Vidaa」ブランドで北米展開しているAndroid TVが紹介されている

 欧州勢で面白かったのがオランダのPhilips(フィリップス)。今回「Powered by Android」を冠した曲面4Kテレビの展示が行われていた。中国メーカーのブースでスマートテレビ関連の質問をすると「実はこれがAndroid TVだ」という感じで紹介してくる程度で、別にAndroid TV搭載を前面に押し出しているわけではないのだが、同社の場合はAndroidのマスコットキャラである「Droid君」がブース周辺を徘徊して積極的にアピールするなど、Android TV採用が目玉となっていることが分かる。2013年は年初に船井電機への事業売却が報じられた後に、年末になって急遽キャンセルを表明するなど、迷走の続く印象のあった2013年のフィリップスの家電事業部だが、再び原点に立ち返って製品開発に注力し、その1つとして取り上げたのがAndroid TVということなのかもしれない。

4KテレビをプッシュするPhilips。曲面4Kテレビも展示されているが、こちらはなんとAndroid TVをベースにしたスマートテレビとなっており、同社としてAndroid TVを前面プッシュしていく計画のようだ

妙に足のラインが艶めかしいAndroidのマスコット「Droid君」が記念撮影に応じているPhilipsブース中心部。Android TVを積極的にアピールしているのはむしろ珍しいケースだ

スマートテレビのユーザーインタフェースは基本的にAndroid TVがベースになっており、ChromeによるWebブラウジングやAndroidアプリの利用が可能

コントローラーはリバーシブルタイプで、通常のリモコンをひっくり返すとキーボードモードとなる

 なお、Android TVに関してはGoogle TVの時代から搭載テレビの開発とGoogleとのパートナーシップを持つソニーが、同社製品ラインへのAndroid TV全面採用を表明しており、この製品に近いものが来年2015年のCESで披露されるといわれている。webOS TVの第2世代製品を出してくるLGとあわせ、来年はスマートテレビ戦略に再び注目が集まる可能性がある。

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