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ソニーのプレミアムヘッドフォン「MDR-1A」を前モデルと徹底比較――「PHA-3」とのバランス接続も試すハイレゾ対応ヘッドフォン検証(4/5 ページ)

» 2014年11月25日 17時00分 公開
[山本敦,ITmedia]
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 今回は「iPhone 5s」にインストールした「HF Player」アプリにハイレゾ音源を入れて、Lightning-USBカメラアダプターを介してUSBケーブルにつないで「MDR-1A」と「PHA-3」のタッグによる音を聴いた。圧巻の解像表現力とハイパワーだ。低域はより深く沈み、中高域の音も粒立ちがグンと高まる。SNがよくノイズフロアがとても低いので、奥行き方向の描写がより鮮明さを増してくる。

iPhone 5sでハイレゾ再生を確認した

変換アダプターとUSBケーブルを介してアンプのmicroUSB入力端子につなぐ

 TOTOはワイドレンジな音場の見晴らしがさらに明瞭度を増す。エレキギターの押し出しが強くなり、しなやかにメロディを歌いあげる。オーディエンスの歓声や拍手など、ライブ盤ならではのアンビエントサウンドも自然に再現され、会場のイメージがリアルに描き出される。ドラムの音色はヘッドフォン単体で聴くよりもさらにアタックの力強さとスピード感がアップするようだ。

 ビル・エヴァンス・トリオの演奏を聴いても空間表現や楽器の定位がヘッドフォン単体で聴くよりもさらに鮮明に浮き立ってくるのがわかる。アンプを通して聴くことでSNが高まるので、アコースティック楽器は旋律の抑揚感や、空気中にすうっと溶け込む滑らかな高域の階調感も秀逸だ。

 ピアノ・コンチェルトも、アンプを通して聴くことでダイナミックレンジが広がって、より壮大なスケールの演奏が展開される。ストリングスの旋律はふくよかでありながらシルキーなタッチ。ピアノの音色も暴れることがなく、正確に鍵盤を滑る指の動きを蘇らせる。

 艶やかでウェットなノラ・ジョーンズのボーカルは表情がより豊かに輝きを増す。ディティールの情報がさらに引き立ってきて、演奏者との距離感がさらに縮まるようだ。

 アンプの側面には2段階で切り替えられるゲイン・スイッチが設けられている。「MDR-1A」で聴く場合はポジションを「ノーマル」にして聴いても十分に実力を引き出すことができるが、敢えて「ハイ」と切り替えて音の違い楽しむのも面白いと思う。「ノーマル」はふくよかな低域と、中高域と自然につながった一体感のあるサウンドだ。スイッチを「ハイ」に切り替えてみると、中高域の微細な音が存在感を増して、低域のエネルギー感も上がる。「MDR-1A」との組み合わせでは少し中高域のエッジが立つような感触もある。つなぐヘッドフォンやイヤフォンに応じて好みで使い分けるのがいいだろう。

側面にゲインの切り替えや「DSEE HX」のスイッチを設ける

 「PHA-3」にはソニーの独自開発による、CD音源や圧縮音源をハイレゾ相当に高音質化する「DSEE HX」のアップスケーリング技術も搭載されている。ハイレゾを再生する際には関係ないが、iPhoneなど非ハイレゾのスマホやポータブルオーディオプレーヤーとの組み合わせでは、サウンドの鮮鋭感が引き立ってくる。特に高域の成分が豊さを増して、階調もきめ細かくなる印象だ。ボーカル系の楽曲では声の雑味が減り、力強さが加わるとともにノイズっぽさがなくなる。ダイナミックレンジの幅もグンと広がる印象だ。圧縮音源の再生時には常時オンにして使ってもいいと思う。

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