最後に取り上げるのは、僕自身が自室で愛用している英Chord(コード)の「Hugo」(ヒューゴ)だ。USB-DAC搭載の可搬型ポータブルヘッドフォンアンプ、いわゆる「ポタアン」。それにしては値段が高いと思われるかもしれないが、据置型の単体USB-DACとして使っても驚くべきパフォーマンスを実感させてくれる逸品だ。ぼくは同社の据置型D/Aコンバーターの「QBD76HDSD」(93万9600円)も所有しているが、USB入力の音質を比較すると、値段が4分の1ほどの本機「Hugo」のほうが断然音がよいのである。
その秘密はいくつかある。まず心臓部となるD/Aコンバート・セクションに同社オリジナルのディスクリート構成のパルスアレイDACとこれまた独自設計のWTAフィルター(タップ数は過去最高の26368!)が最新のFPGAに書き込まれている。そう、「Hugo」には汎用のDACチップは用いられておらず、最新の研究に基づくD/Aコンバート・セクションをFPGAに実装しているのである。
さらに本機にはリチウムポリマー・バッテリーが内蔵されているのも重要なポイント。バッテリー駆動は電源環境から完全にアイソレートされるので、通常のAC駆動よりも音質面で有利と思えるケースは多い。筐体(きょうたい)は堅牢なアルミ削り出しだ。
入力はタイプBの Micro USB端子なので、付属の専用ケーブルを用いてPCオーディオ用のMac Book Airとつないでハイレゾファイル再生を楽しんでいるが、その音は非常に鮮度が高く、力強く繊細だ。この価格帯で、いま目の前で好きなミュージシャンが演奏してくれているというイリュージョンをこれほど生々しく甦らせてくれるUSB-DACは他に存在しないと断言できる。
携帯型ヘッドフォンアンプとして使っても、その音のよさに納得させられると思うが、それだけではもったいない。ぜひ本機を据置型単体DACとしてホームオーディオ・システムに組み込んで、良質なスピーカーでその音をご体験いただきたい。そうすれば、この値段に誰もが深く納得させられることだろう。
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