「AT-PHA50BT」の音楽再生をチェックしてみよう。今回は筆者が普段リファレンスに使っている有線接続のヘッドフォン「ATH-MSR7」と、aptX対応のAndroidスマートフォン「Xpeira Z2」を使って、有線接続と切り替えながらアンプの音質を聴き比べている。
ポップスの楽曲ではボーカルの声の輪郭がより鮮やかになって、バンドの楽器とのセパレーションも向上する。声には力強さがのって、ディティールがより立体的に浮かび上がってくる。オーケストラを聴くとその違いはより明らかで、楽器の音の粒立ちや奥行きの臨場感に深みが増してくるとともに、ストリングスの和音が一層ふくよかに広がる。
アンプの出力はやや控えめに感じられるが、スマホとの有線接続による音に比べればさらに情報量が引き出され、音像に緻密さが加わってリスニング感もアップする。クラシックギターは弦の響きに艶が乗り、ジャズボーカルは声の輪郭がよりきめ細かくなる。エレクトロ系の楽曲では低域の変化に効果がみられ、より打ち込みが鋭くなって演奏に緊張感が生まれてきた。
本機の仕様として、もう1つ注目しておきたいのはBluetoothワイヤレス環境でワンセグ音声が聴けるようになるSCMS-T規格に対応している点だ。最近のスマホはiPhoneを除く多くのモデルがワンセグ、またはフルセグの視聴機能を搭載しているが、SCMS-T規格に対応しているBluetoothイヤフォン、ヘッドフォンでなければ、テレビ番組の音をワイヤレスで受けて聴くことができない。
またSCMS-T規格をサポートしていない機器では、自宅のBlu-ray Discレコーダーから番組をストリーミング再生する「リモート視聴」のテレビ音声もミュートされて聴けなくなってしまう。だから、リモート視聴を活用されている方で、ワイヤレスのイヤフォン、ヘッドフォンの導入を考えているならば“SCMS-T対応”にも気を配りつつ製品を選んでほしい。
今回はリモート視聴によるテレビ番組の視聴も試してみた。話者のセリフがより明瞭(めいりょう)に聞こえるようになり、効果音の迫力もアップする。アニメやドラマをより臨場感たっぷりに楽しむには欠かせなくなりそうだ。ゲームを楽しむ際の効果と一緒で、ワイヤレスになるとスマホの本体から飛び出る端子に手にぶつかることがなくなり、より快適に視聴できる環境もつくることができる。ワンセグやフルセグ再生に比べると、リモート視聴は安定した通信環境ならより高品位な映像がみられるので快適だ。カフェでのちょっとした時間つぶしのときなど、より身軽にテレビ視聴が楽しめるのがうれしい。
本機にいっそうの進化を期待するならば、マルチポイント接続への対応だ。iPhoneやウォークマンなどBluetooth対応のオーディオ専用プレーヤーに接続して音楽を聴きながら、同時にスマホにもペアリングしておくことができれば、音楽再生中にかかってきた電話にも気が付くことができて便利になるだろう。
作年秋から、本体にイヤフォンやヘッドフォンを直接挿してハイレゾが聴けるスマートフォンも登場した。もちろんハイレゾの場合はお気に入りのヘッドフォンを有線接続して聴いた方が音質的にメリットが高いが、その他のコンテンツは臨機応変にワイヤレス接続も併用しながら楽しむのも良いと思う。今回取り上げたオーディオテクニカの「AT-PHA50BT」は、本稿掲載時点での市場想定価格は1万2000円前後と、比較的手頃な価格で購入できるのでぜひ試してみてはいかがだろうか。
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