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「10倍いい音」の狙いは? ポタフェスとTSUTAYAがタッグを組んだ理由(2/2 ページ)

» 2015年04月17日 11時32分 公開
[天野透ITmedia]
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 「われわれも『TSUTAYAミュージコ♪』『TSUTAYA TV』で音楽と映像のダウンロード販売をやっています。共存共栄をしながらもリアル店舗としての強みをどうやって生かすかということを考えると、今までどおりのCDレンタルでは立ち行きません。そこで見えてきたのが、音楽配信で用いられる一般的な圧縮音源と比較すると、約10倍を誇るCDの情報量でした。インターネットが発達し『なんでCD?』『なんでDVD?』という時代になりましたが、この圧倒的な情報量をアピールすることで、まだまだCDが持つ魅力をお伝えできると私たちは考えています」(石田氏)。

名古屋でのポタフェスの様子。昨今のヘッドフォン市場の盛り上がりを体現した会場だ

 TSUTAYAは従来、音源のラインアップを充実させて利便性の向上を目指してきたが、今回の取り組みでは音楽体験の質を向上させることに主眼が置かれている。「より良いものを提案する」という基本スタンスは変わらないが、「良いもの」の幅を拡げるというのが今回の企画における考え方だ。大量のCDをズラリと並べているだけでは、ユーザーには手に取ってもらえない。もう一歩違った提案をするために、高額商品、高音質という世界に目を向けなければいけないと石田氏は指摘した。

 「オーディオがお好きな方ならご存知でしょうが、同じ音源でも低音質なものと高音質なものでは全く感覚が異なります。『高音質で広がる世界』というものを感じていただくために、高級ヘッドフォンやプレイヤーは重要なのです」(石田氏)。

音楽をより楽しむためのTSUTAYAでありたい

 代官山蔦屋書店のジャズコーナーのように、TSUTAYAではマニアックなユーザーも満足出来る提案に力を入れているという。ハイエンドなポータブルオーディオ市場に対して、悪い意味での偏見は無く、音に対して強いこだわりを持つ人たちにも是非TSUTAYAのCDを借りてもらいたいとしている。

 「全国のTSUTAYAには特定分野にこだわりを持つ『名物店長』が数多く在籍しています。また、社員がユーザーに合わせたレコメンドを考え、店舗での棚づくりを企画するといったこともしています。どうすればよりお客様にご来店いただけるかという点は考慮する必要がありますが、まずはTSUTAYAのお店に来てもらいたいです。音楽の楽しみ方に対して、TSUTAYAは真面目に取り組んでいると知ってもらえるとうれしいですね」(石田氏)。

 こうした中、先日名古屋で開催されたポタフェスの盛況ぶりを受けて、社内でも前向きな意見が出てきたという。「広島のイベントでは日本に3台しかないMcIntosh製ヘッドフォンアンプ『MHA100』とヘッドフォン『MHP100』をeイヤホンさんにご手配いただき、店舗の在庫CDを持ち込んでの試聴を行いました。このようなポタフェス会場での取り組みを、店舗でもやらないといけません」と石田氏は語る。

広島会場のTSUTAYAブースの皆さん。店舗のレンタルCDを持ち込み、音の良さをアピールしていた

 「例えばShureのヘッドフォンを店舗の試聴機に使用するといったような、高音質体験の入り口をTSUTAYAの店舗で担うことが重要です。店舗で高級ヘッドフォンを扱うとすると、eイヤホンさんと何かしらの協業ができればとも考えたりしています。ですが、今後の展開に関してはまだ未定な部分が多く、今回(のコラボレーション企画)の結果を受けて今後の方針も検討していきます。そのためにも今回の全国キャラバンでは、ユーザーの皆さんと積極的に情報交換をしたいですね」(石田氏)。


 4月16日、「e☆イヤホン」を運営するタイムマシンとCCCモバイルは資本・業務提携を発表し、「ポタフェス」を含むイベント事業および店舗販売、EC事業のビジネスモデルについて協業を進めることを明らかにした。今後は「ポタフェス」の共同主催運営をはじめ、CCCグループの店舗内での「e☆イヤホン」インショップ展開、共同マーチャンダイジング、オリジナル商品開発などを進めるという。

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