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朝の食卓においしい革命を起こす?――「BALMUDA The Toaster」のヒミツ滝田勝紀の「白物家電、スゴイ技術」(3/4 ページ)

» 2015年05月28日 18時27分 公開
[滝田勝紀ITmedia]
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もう1つのポイントは温度帯の制御

 当初は多めの水を使っていたが、なんとなく「少ない量の方がうまく焼けそうだ」と気づきはじめ、最終的にこのトースターサイズなら5ccという分量が、もっとも美味しくトーストを焼けるという結論にたどり着く。とはいえ、もちろん水を入れただけで、パンが美味しく焼けるというものではない。もう1つの重要なポイントは、ヒーターとその温度帯の制御だ。

公開されている内部のイメージ図。上部の750ワットと下部の550ワット、2本のヒーターを搭載するほか、スチームを発生させるボイラートレイも搭載

 「パンを焼くためには、60度、160度、220度という3つの温度帯の制御が重要だと考えました。パンの中のやわらかさと風味がよみがえるのが60度前後、表面がきつね色に色づき始めるのは160度前後、焦げ目が付き始めるのが220度前後です。この3つの温度帯を制御することで、どのようなパンでも最高の状態に焼き上げられます」。

トースト、クロワッサン、フランスパンによって、それぞれ温度が描くグラフの線は大きく異なっている。上部に示されているのは上下ヒーター(各750ワットと550ワット)のオン/オフのタイミングとスチーム量や時間

トースト、チーズトースト、フランスパン、クロワッサンという4つの専用モードに加え、手動でワット数を指定することも可能

 とはいえ、この制御パターンというのが非常に緻密(ちみつ)で、ソフトウェアを作り上げることが開発過程でもっとも大変だったという。「この制御は通常のトースター用のマイコンでは対応できないため、詳しくは言えませんが、もう少し高い……ハイエンドのマイコンを搭載しています。それにより、庫内のパンの状態をセンサーを使って1秒ごとにチェックしながら、すべてがちょうどいい感じで焼けるように上下のヒーターの火力を調整することに成功しました」。

扉のサイドには放熱用の穴があいている。この中に心臓部であるさまざまな回路が入っているからだ

右側には時間を設定するつまみがある

 各ヒーターのオン/オフパターンは、パンの種類によって異なる。またヒーター供給元の仕様が微妙に変更されたりすれば、それだけで焼き上がりが変わってしまう。そのたびにプログラムを微妙に書き換えるといったことを繰り返したという。しかし、美味しく焼き上げるという点においては妥協せず、「しつこく開発し続けた」。

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