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HDR対応に見事な色再現――パナソニック「CX800」シリーズはコスパの高い4Kテレビ山本浩司の「アレを観るならぜひコレで!」(2/2 ページ)

» 2015年06月22日 14時11分 公開
[山本浩司ITmedia]
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映画「美女と野獣」で感じた“色の魅力”

Blu-ray Disc「インサイド・ルーウィン・デイヴィス〜名もなき男の歌」は5076円。発売・販売元は東宝 Photo by Alison Rosa(c)2012 Long Strange Trip LLC

 「TH-60CX800N」と同社の最高峰BDレコーダーの「DMR-BZT9600」をHDMI接続、映像モードを「シネマプロ」に設定してさまざまな映画BDを観てみた。

 最初に観たのは「インサイド・ルーウィン・デイヴィス〜名もなき男の歌」のオープニング・シーン。主役のフォーク・シンガー、ルーウィン・デイヴィスを演じるオスカー・アイザックが薄暗いコーヒーハウスで歌うシークエンスは、液晶テレビにとって非常に厳しい場面。さすがに完全暗室ではTH-60CX800はうっすらと黒浮きが目立つ。パネル・コントラストに差があるのか、やはり黒の黒らしい表現力という点では、上位シリーズのAX900のほうが上だ。

 もっともこれは部屋を真っ暗にした環境でのこと。部屋の照度を50ルクスくらいのにほの暗い設定にすると、この黒浮きはほとんど気にならなくなる。

 このシーンで感心したのは、ローライトの適正なホワイトバランス。暗部が緑がかったり、赤みが強くなることなく、TH-60CX800Nはこの泰西名画のような美しい構図を陰影豊かに描き切ったのである。

「美女と野獣」は4104円で販売中。販売元はアミューズソフトエンタテインメント。(c)2014 ESKWAD – PATHE PRODUCTION – TF1 FILMS PRODUCTION – ACHTE / NEUNTE / ZWOLFTE / ACHTZEHNTE BABELSBERG FILM GMBH – 120 FILMS

 CX800の色の魅力を痛感させられたのが映画「美女と野獣」(2014年仏独合作版)だった。夜陰にまぎれてたどり着いた森の中の小屋で、娘ベル(レア・セドゥ)が外套を脱いで見せる真紅のドレスのつややかさ! しかもそのドレスのしわやディティールをCX800は見事に浮き彫りにするのである。

 低輝度シーンでの色域のねじれを解消し、微細な色情報を的確にすくい取る、4K VIERAならではの3次元カラーマネージメント回路の効能に改めて実感させられた。またレア・セドゥのスキントーンも抜けるように美しく、6軸補正でホワイトバランスを的確にチューニングできるヘキサクロマドライブの進化ぶりにも感心させられた。

 フルレンジ・ユニットが下向き、サブウーファーが後ろ向きという厳しい条件下にある内蔵スピーカーの音質については、巧みなイコライジング技術の効用か、思ったよりも聴きづらさはなく、台詞やヴォーカルにヘンなクセが感じられない。

 しかし、本機の画質のよさにバランスさせるには低音の量感や音の厚みが物足りないし、アンダースピーカーだけに、近接視聴では声が下から聞こえてきて、映像と音源位置が合致しない違和感がどうしても生じてしまう。本機でBlu-ray Discの高画質映画やアニメーション、音楽ライブを楽しみたいという方は、本機の両サイドにお気に入りにスピーカーを配置することをお勧めしたい。

 プラズマ高画質路線を突き進んできたパナソニックだけに、いずれは自発光デバイスを用いた高画質機の発売を期待したいが、それでもなおCX800シリーズのコストパフォーマンスの高さは、十分に評価できるものだというのが筆者の結論だ。

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