こうして作られるパーツと同様、それを組み立てるための段階も同じくらいていねいな作業が続けられる。基板の製造と組み立てを担っているのが、同じ米沢市内にあるグループ企業のサクサテクノだ。
同社の佐藤洋一副社長は、「バルミューダが求める生産ペースを実現するのに、中国の工場では4年かかったと聞いていますが、日本では1.5カ月で実現できました。質の高い工員たちによる熟練した手さばき、スピード感に加え、ライン自体の効率性にも圧倒的な差があるからだと思います。さらに今年は4月から生産開始しましたが、3日間で要求台数に達する製造ラインを構築できました。現在は日産で約1000台ペースで生産してますが、夏前にはもっと高められるでしょう」とのこと。
電子基板の製造エリアを見てみると、作業員の姿は少なく、ほぼ100%のオートメーション化が実現していた。ホコリが入ることを防ぐため、エリア自体はビニールで覆われていたのが印象的だった。
続いて、組み立て工程のラインをみて驚いたのは、工員1人1人の手さばきの早さと正確性が際立って高いこと。製品が組み上がると、工程検査員が医療用と同じ聴診器で異音がしないかをチェックする。見た目だけでは分からない不良部分も見逃さない体制だ。
日産で約400台ほど生産できる組み立てラインの隣には、その工程に合わせて、パーツなどを過不足く供給するためのサブラインが存在する。ラインはさらにもう1つあり、日産で約1000台ほどのペースで生産されるという。そしてラインの最後には製品を梱包する工程がある。工員たちの手でていねいに梱包される様子は、製品の上質さを象徴しているようだ。
このように、同じ製品でも質を高める一方で、ムダを省き、スピーディーに生産することができれば製造コストは下げられる。中国で同じレベルを実現するのは現状では無理だ。日本人ならではの勤勉さと緻密さがあって初めて成し得ることだろう。
バルミューダは、ハイレベルな製造環境を構築してメイド・イン・ジャパンの価値――上質な家電を作り始めた。そしておそらく、結果的には海外生産よりコストを抑えられることも「GreenFan Japan」によって証明してくれるだろう。
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